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47話 銀の能力使い【挿絵あり】

 カイとマモルが襲われたのと同時刻。


 かつて能力使いの試験会場でカイ達と出会ったお嬢様『シロガネ・レイカ』は、1人で帰路についていた。


 しかし彼女は、何の脈絡も無しに唐突に異空間に閉じ込められた。


「あら」


 薄暗い空間、街灯に照らされた駐車場の中央で佇むレイカ。


 そんなレイカの周りにフェアリーゴーレムが幾つも姿を現し、レイカを取り囲んでいく。


「失礼します」


 ゴーレムの後方から1人の男性が姿を現した。妖精騎士団の団長、リーシュだ。


「あら、この私を強引に誘う殿方がいらっしゃるなんて……アポイントメントもなしに尋ねてくるなんて、随分と失礼な方ね」


「僭越ながら、普段から刺激を求めている貴方に試練をご用意させていただきました」


 リーシュは長い髪を靡かせ、無表情のまま話を進める。


「試練?」


「はい。ゴーレムを倒すだけの簡単な試練です」


「勝手な真似をするのね。申し訳なさそうに言うけど、私に「戦わない」という選択肢はないのでしょう?」


「よくお分かりで。では……失礼します」


 リーシュが手を上げると、周りにいたゴーレムは一斉に動き出した。ゴーレムの群れはレイカを目掛けて真っ直ぐ駆けていく。


 やがてゴーレムはレイカを囲い込んだ。拳や蹴脚を構えたゴーレムは、中心にいるレイカに向かって攻撃を仕掛ける。


「随分と舐められたものね」


 レイカはそう一言呟くと、両手から鋭い輝きを放つ長い物体を生成。両手を外に伸ばし、ゴーレムの中央で一回転した。


「!」


 ゴーレムはその場で停止したかと思うと、ガシャンと物音を立てて何かを落とした。


「これは……」



 レイカを囲んでいたゴーレムは腕や脚、頭部を見事に切断されていた。



 ゴーレムを構成していた一部は地面に落下し、派手な音を立てて消失。


「あの一瞬で……!」


 一瞬で周囲のゴーレムを一掃したレイカに、リーシュは目を見開く。



「私の力は、魔力を銀に変換する力……」


 ゴーレムが倒れて消え去り、囲まれていたレイカが姿を現す。


 そんな彼女の両手には、銀色に輝く剣身が装着されていた。


「手元から離れると呆気なく消え去ってしまうから、投擲はできないけれど……手元で生み出した銀を自由自在に操れるの」


 能力の説明をするレイカの背後から別のゴーレムが襲いかかる。


「手足に纏い、武器として使用するのは勿論のこと」


 レイカは脚に纏った銀の装備を構えると、ゴーレムの頭部を鋭い蹴りで思い切り蹴り飛ばした。


挿絵(By みてみん)


 頭部は高く飛び上がり、ついでに左腕が切断され地面に落ちる。


 頭を飛ばされ一瞬動きを止めたゴーレムに対し、レイカは振り上げた脚をゴーレムの胴体目掛けて振り下ろした。


 ゴーレムは何の抵抗もなく真っ二つに切断され、力を失いこの場から消え去った。


「魔力の特性を活かして、もっと面白いこともできるの」


 更に数体のゴーレムが襲いかかってくるが、レイカは平静を保ったまま説明を続ける。


 レイカはじっとゴーレムを見つめ、ゴーレムが眼前に来たタイミングで片手をグッと握りしめた。




 刹那。ゴーレムの足元から銀色の三角形が発生したかと思うと、三角形は天に向かって勢いよく飛び出した。




「!?」


 地面から現れたのは巨大な剣身。


 ゴーレムの群れは地面から突如として現れた巨大な剣身により全身を貫かれてしまった。


「説明はこんなところかしら。さて……覚悟はいい?」


 説明を終えたレイカは銀で覆われた両手を構え、ついにゴーレム一掃のために動き出した。



 レイカは両手、両足に装着した剣でゴーレムを次々と切断。


 腕を突き出してきたゴーレムを軽々と避けて胴体を斬り、蹴りを飛ばしてくるゴーレムを技ごと両断。


 群れで襲いかかって来たゴーレムの頭部を一斉に切り倒し一掃。


 それでもゴーレム達はめげずに攻撃を仕掛ける。


 ゴーレムとは思えない敏速な動きで駐車場を駆け、一目散にレイカを目指す。



 しかし、そんなゴーレムの進む道先の地面から、剣身を装着した甲冑の腕が出現。複数体のゴーレムの脚を切断した。



 バランスを失い転倒していくゴーレムを、レイカは両手両足の剣により次々と切り倒していく。



「妖精の弱点を持つ者とは理解していましたが、まさかここまでとは……」



 レイカに一撃すら与えられず呆気なく散るゴーレムを見たリーシュは戦慄する。


「ならば、難易度を上げるまで!」


 リーシュは手元から謎の円盤を取り出したかと思うと、地面に思い切り叩きつけた。


 地面に叩きつけられ割れた円盤から魔法陣が展開し、魔法陣からフェアリーゴーレムの群れが出現した。


「まだ懲りないのね。いいわ、全部薙ぎ払ってあげる」


 そう言うとレイカは右手を構え、右手に魔力を集中させた。


 レイカの構える右手の剣身から分厚い円状の刃物が出現すると、円状の刃物は高速で回転を始め、悍ましい金属音を発しはじめる。


「走れっ!」


 レイカは円状の刃物を地面に押し当て、刃物の高速回転を利用してとんでもない速さで移動を始めた。


 さながらタイヤのように扱われた円盤状の刃物は、地面を抉りながらゴーレム目掛けて斬り走る。


 やがてゴーレムの群れに到達したレイカは、円状の刃物を構えながら回転して突撃した。


「はああっ!」


 ゴーレムの群れは円盤刃物の凄まじい回転斬り巻き込まれ、バラバラに切り刻まれて呆気なく消滅。


 大勢のゴーレムは一瞬にして塵芥となり姿を消したのだった。




「……!」


 驚きを隠せないリーシュに、レイカは両手の刃物を構えたまま歩み寄る。

 レイカはリーシュの前で停止すると、固く結んでいた口を開いた。


「トラペゾのフェアリーゴーレムね」


 レイカは黙り込むリーシュを前に話を続ける。


「魔獣の出没する地域で重宝されている、対魔物兵器……平和なゼウシリーアでは確実にお目にかかれない上に、一般市民の手には到底届かない貴重品……それを何故、貴方が複数体所持しているのかしら?」


 レイカは楽しそうにリーシュに問いかける。


「何をするのか、私にも教えてくださる?」

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