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42話 街に繰り出す的な?

 街に放たれる可能性があるフェアリーゴーレムを倒すべく、カイとマモルは能力の質を向上させる修行を開始した。


 数日後……


「くそ〜頭いてぇ〜」


「頑張りなよダイキ、でないと補習一直線だよ」


 放課後。カイとマモルは、カイの友人である丸眼鏡の真面目なジェイと、ガタイのいい能天気なダイキと共に大きな図書館で勉強をしていた。


「えーと、ここは……」


 カイとダイキは中学生の教科書の内容を頑張って復習中。対するマモルとジェイはテスト範囲の勉強を淡々とこなしていた。


「な、何とかこの範囲は終わった……」


「俺。もう頭動かねえよ……」


「2人にしてはよく頑張ったね。さて、ここで少し休憩にしよっか」


「「やったー!!」」


「カイくん! ダイキくん! 図書館では静かに!!」


「ジェイも落ち着け」


 そんなこんなで4人は休憩の時間を取ることに。

 休憩に入ったタイミングで、ジェイから「そういえば……」の一言から、とある話題を切り出した。


「カイくん、マモルくん、あの黒パーカーの人はどうなったの?」


「ああ、あの時の……ジェイ、アイツとは和解したから安心してくれ!」


「カイの言う通りだ。アイツとは微笑み合いながらお互いに握手を交わして円満に終わったからな」


「首脳会談のワンシーン?」


 マモルの返事にジェイは半ば困惑しながら言葉を返す。


「とにかくアイツは大丈夫! ジェイ、心配してくれてありがとな!」


「うーん……別に大丈夫ならいいけど……」


「そんなことよりよぉ、そろそろ勉強切り上げてどっか遊びに行かね?」


「駄目だよダイキくん……遊びに行くのはテスト終えて赤点回避したらって言ったじゃん」


「固えこと言うなよ丸眼鏡! 勉強ばっかして時間を無駄に使って、学生らしいこと何ひとつできずに終わるなんてよぉ……!」


「勉強も学生の本分だぞ」


「うるせぇ眼鏡共! あークソッ! 俺、もっと青春してぇよぉ!」


「分かったから騒ぐなダイキ。後で夕陽に向かって一緒に走ってやるから」


「雑な青春像だなぁ……」


 マモルの発言にジェイはそれとなく指摘を入れる。


「ふーん……でも、そういうベタなのもやってみるのもいいかもな! 眼鏡のくせにいい案出すじゃねーか!」


「もしくは……」


「あ?」


「太陽を1と定めた場合、俺をX、ダイキをYと仮定するものとする。太陽の数値を加算した場合、XとYの……」


「ぐぅう! 急に難題を出すな眼鏡! おいジェイ、眼鏡が何を言ってるのか分かるか!?」


「分かるわけないでしょ……」


 この後、休憩を終えた4人は再び勉強を再開し、程なくして解散。




「あー疲れた……修行よりはマシだけど」


「我慢しろ。でないと赤点からの補習コースだぞ」


「はーい……」


 帰り道。ジェイとダイキと別れ、カイとマモルは一緒に同じ道を歩む。


 マモルは制服姿のままだが、カイは私服に着替え済みだ。


「カイ、それよりも……分かっているな?」


「街に繰り出そうとしてる謎の奴らのことだよな? 分かってるよ、ヴィオさんから貰ったシールドバッジもバッチリ持ってる!」


「バッヂだけにか」


「そう! あと私服を常に持ち歩くことにした!」


 カイはそう言いながらスカジャンの端を持ち上げ、裏側に付けていた盾のバッジを見せつけた。


「このバッジがあれば防御力上がるんだよな!」


「少なくとも大怪我はしないな。だが、相手はゴーレムを持ち出すような危険な奴らだ。こちらにはバッジがあるとはいえ、十分気をつけろよ」


「マモルこそ! 何かあったらすぐ知らせてくれよな!」


「分かった、じゃあな」


「じゃあなマモル!」


 お互いに注意し合った2人は、別れの挨拶をしてその場で解散した。



「テストやだなぁ……」


 街灯が点り始めた道を、カイは独り言を呟きながら歩く。


 いつも通りの平和な帰り道。しかし、公園の前に差し掛かったところで、唐突にカイの前を何者かが複数人横切った。


「ひぃい!?」


「逃げろぉ!」


「おっと!」


 目の前を横切ったのは不良っぽい学生の群れ。カイは軽く驚いたものの、軽々と後方へと飛んで不良の群れを避けた。


「何だ……?」


 カイは逃げていく不良を目で追いかけ、ふと公園に目を向ける。


「あたた……」


「あっ!」


 公園の中央で、ワイルドで派手な見た目の若い男性が派手に尻餅をついていた。

 彼の髪色は薄紫に染まっている。恐らく彼も能力使いだろう。


「大丈夫ですか!?」


 カイは急いで園内に駆け込み、地面に座り込んでいた若い男性を助け起こした。


「あっ、ありがと! あたた……最近治安悪いな〜」


 ワイルドな髪型をした、そこそこガタイのいい男性は礼を述べながら立ち上がり、尻を軽く叩いて土を取り払う。


「もしかしてお兄さん、さっきの不良にやられたんですか?」


「そんなとこ。はぁ、マジ気分下がる……」


「まだ悪いことする奴らがいたんだな……あっ、怪我とかないですか?」


「大丈夫大丈夫!」


 大型犬を彷彿とさせる若者は、満面の笑顔をカイに向ける。


「てか君、すっげーいい子だね! マジ感謝! 俺はへーきだから!」


「良かった……じゃ、俺はこの辺で」


「サンキュー! じゃーね!」


 若い男性が無事なことを確認したカイは、この場から立ち去ろうと踵を返した。




 振り返ったカイの目の前にフェアリーゴーレムが立ち塞がっていた。



 

「……えっ!? フェアリーゴーレム!?」


 目の前に突如として現れたフェアリーゴーレムにカイは驚愕する。


「しかもこんな大勢……! いつの間に……!」


「ギヒヒ……」


 数十体もいるゴーレムに驚き戸惑うカイ。そんなカイの後方に立っていた若い男性は、随分と妙な笑い声を発し始めた。


「ヒヒ……いやぁ、まさかこんな簡単な罠にかかってくれるなんて……マジチョロ過ぎじゃん? 俺のダチ、気に入ってくれた?」


「!?」


 若い男性の発言にカイは驚く。


「ゴーレムのダチって……まさかお前!? リトの言ってた……!」


「おっ? 俺達のことなんとなーく知ってくれてる感じ? まあ軽く自己紹介すると、俺はこのゴーレム引き連れてるだけの奴なんだけどさ?」


 いつの間にかカイの周りを囲むゴーレムに戸惑うカイに対し、若い男性は上機嫌で話をしながらゴーレムに寄りかかる。


「俺さ、コイツら連れて街に繰り出す予定だったんだよ! コイツら、マジイカスだろ? だから街のみんなにも見てもらいたいなーって!」


「……!」


「でもでも、そんな時に髪色がイカす君が現れてくれたからな! 遊び相手変更って感じで、ちょっとちょっかいかけた的な?」


「不良にやられたフリして俺を誘き寄せたのか!?」


「結果的にそうなった感じだけど、まあそんなかんじじゃね? 勝手にこけて地面に転がってちょこっと怪我したのは間違いないけどもな! ギャハハハハ!」


 カイに返事をしつつ、若い男性は上機嫌に高笑いをする。


「あ、所で……今しがた、君と別れた友達はどうなってるだろうねぇ〜?」


「なっ……! まさかお前、マモルにも何かしたのか!?」


「どうなったか知りたいか? 知りたかったらまず、ここから抜け出してみたら?」


「ここから……?」


 若い男性の言葉にハッとして辺りを見回すカイ。


「しまった! 閉じ込められてる……!」


 公園の中は全て異空間と化していた。辺りは薄暗くなり、公園のグラウンドは異様なまでに広がっている。


 フェアリーゴーレムの群れに支配された異空間の中で、若い男性はカイに向かって楽しそうに語りかける。


「ダチ助けたかったらまず、この場にいるゴーレム達をぜーんぶ倒してみな?」




 一方マモルも、帰り道の途中でとある人物と対面していた。



「お前は……書店で出会った……」


 先端が茶色に染まった黒髪を持つ若い男性カゲマルを前に、マモルは静かに呟いた。


「あれ、俺のこと覚えてるの? そうそう、資格の本を取り合った奴だよ。俺って地味目だし忘れられがちだから、覚えられててちょっとびっくりかも」


 そんな地味な彼の周りを囲むようにフェアリーゴーレムが姿を現す。


「このゴーレム……そうか、お前は……」


「君は察しがいいね。話が早くて助かるよ」


 マモルの後方にもフェアリーゴーレムが立ちはだかり、世界は薄暗い闇に覆われる。


 マモルもカイと同様に異空間に閉じ込められ、その上でゴーレムに取り囲まれてしまった。


「ねえマモルくん、ちょっとだけ遊んでくれない?」

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