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8.完成
短いですが、重要、かも?です
「へぇ……これは、また……」
薫はあれからいつにない速さで真也の絵を仕上げた。
黒木は絵をキャンバスにたてかけ、少し遠目にじっくり見て、ぽつりと言った。
「うん。この距離だな……」
薫は真也を見ていた正確な距離を当てられ、驚いた。普段の軽いノリで忘れていたが、黒木は個展を開くほどの実力者だ。
「分かるんですか」
「分かるよ。まさかお前が鉛筆デッサンで来るとは思わなかったけどな。得意は油絵だろ。……でも、良い絵だ」
黒木は顎に手を当て、少しだけ目を細めた。
「描けてるじゃないか。見かけじゃないところも」
「ありがとう、ございます……」
薫は思わず視線を逸らした。顔が熱くなるのが自分でもわかった。
元々は得意な油絵にしようと思っていたが、あの日、何か違うと感じ、鉛筆デッサンに切り替えたのだった。白と黒のみで表現する方が、この男にはふさわしい。そう思ってのことだった。おかげで、期限はギリギリになってしまったが。
ーー初めてだった。
人を描いて、清々しい気持ちになったのは。
ゆっくり投稿していきます。
お付き合いいただけると幸いです




