探索者1
グラたん「さらばギャルゲーです」
私の使命は異世界から開いてしまった門を閉じることだ。
何を言っているのだろうと諸君らは思うかもしれないが、事は単純だ。
1、勇者が異世界に召喚された。
2、勇者が魔王を倒して戻ってくる時に帰還の門が開きっぱなしになっている。
3、なので、地球に魔物が大量に落ちてきた。
馬鹿な話だと思うだろう? その戻ってきた勇者当人も知らないなんてナンセンスな話だ。
しかしそれ以前にも、勇者が召喚された際にも少なからず魔物が落ちてきている。あの頃は警察もてんやわんやだったなぁ。
魔法というものがある。本来は宝石を媒介にしたり儀式などによって起こされる奇跡みたいなもののことだ。私もいくつかの魔法を取得した魔法使いと言えよう。
それが、今や使い放題。異世界の扉が開きっぱなしになっているから魔力が無制限に放出されているのだ。魔法というのは大抵が危険極まるものばかりなこともあって悪用なんて実に簡単だ。
私の魔法使いの友人の数名も魔法の魅力に取りつかれ、好き勝手使うようになってしまった。
今時デスゲームだなんて流行しないというのに……。
私は彼らを止めなくてはいけない。
しかしながら私には他にもやることが多くある。超能力者、怪人の対処もその一つだ。
超能力者は勇者が召喚された際に目覚めたらしく、その多くが行方知れずとなった。
……どうにも陰謀が渦巻いているように思えてならない。
――。
――――。
この際だからハッキリ言うが、別段私が動かなくても他の誰かがやってくれる。私でなくても止められるだろう人物は多くいるのだ。
私は私にしかできないこと、門を封じることだけに専念することにする。
この物語の根本は結局そこなのだから。
門を閉じないことには物語は終わることができない。
門は人が見ることはできない。そこにあるが、視認することも知覚することも出来ない。
門は人の力で閉じることができない。それこそ大きな魔法でも使わない限りは。
門は内側からしか閉じることができない。取っ手が内側にしかないから。
門は時空を移動する。むやみに移動すれば奴に見つかる。
この四つの条件を私はクリアしなくてはならない。生きて帰らなくていいというのであれば三と四は無視しても良い。
門が見える丘の上。そこには何もないが、中から魔物が大量に溢れ出ている。
一刻も早く閉じなければ世界は核で滅ぶだろう。
魔物は銃や剣などの既存兵器が通用する。戦車の大砲、核ミサイル、それらも存分に有効打となる。
しかし国、地球側は受け身だ。常に後手に回らざるを得ないし、国家の上層部次第では簡単に滅ぶ国や反乱が起きる国もあるだろう。
この世界には大きく三つの敵がいる。
一つ目は魔物。異世界からやってきた未知の生物。
二つ目は怪人。近年になって現れた強力無比な個体。魔物の数十倍は強いとされている。
三つ目は魔法使い。頭のねじがぶっ飛んでいるから何をするか全くわからない。
これに対抗する勢力は三つ。
一、帰還した勇者。彼が動けば魔物など何千匹いようがあっという間に滅ぼすだろう。ただし彼は怪人を倒すことは出来ない。
ニ、ヒーロー。怪人と対になるようにして現れた変身能力を持つ超人。研究所からも数は少ないがヒーローになった人が多数いる。彼らは強いが魔物相手では分が悪い。
三、超能力者。魔物にも怪人にも有効打を与えられるが、彼らは基本的に身内狩りに没頭しているため当てにはできない。
他には警察やある程度の能力を持った学生くらいだろう。
率直に言って、コレ世界持たなくないか?
まあ私は私のやるべきことをしよう。結果的に日本が壊れようが大陸が消し飛ぼうが、私としては地球さえ壊れなければそれで良いのだから。
事前に書いておいたメモを見る。
門を視認するのに必要な『白い粉塵』。
門を閉じるのに必要な『閉門の術式』。
時空を移動する際に必要な『隠蔽の魔法』。
こちら側の時空に戻ってくるために必要な『黄金の蜂蜜酒』。
友人の協力もあってどうにかここまで情報を集められたが、さてどうやって集めようか。
「まぁ、やるしかないか」
私は絶望的な心境になりながらも『世界のため』と言い訳して立ち上がった。




