23.ハートだらけのクリスマス
今日はクリスマス。
1年は365日もあるのに、クリスマスは1回しかないんだよ。
なんだか哲学みたいだね。
あと、水瀬と一緒にクリスマス会があったんだ。
前日から楽しみで眠れなかったの。
早く来ないかな、水瀬はどんな服を着てくるのかなって。
家が思ったより近くてびっくりしたよ。
もしかしたらどこかですれ違っていたかもね。
それはなかったか。
水瀬が食べ物を頬張っていた。
見たこともない食べ物だった。
ここが一番オススメなんだって。
勢いだけで生きていると思ってたけど、意外と物知りなんだなと思ったよ。
ほっぺに何かが付いていた。
仕方ないから取ってあげた。
どんな味がするのかな。
赤色でドロッとして不気味だなって思ったの。
少しだけ舐めてみたけど、よくわからなかった。
水瀬は不思議なものが好きなんだね。
この味を覚えておくよ。
水瀬が食べ終わったから、お店を出た。
どこ行こっかって水瀬は言ったけど、私は水瀬が行きたいところって言った。
水瀬は少し考えてから、そうだ!って私の手を引いた。
ここだよ!って言った場所では、おっきい箱がどこまでも並んでいて、びっくりした。
ぬいぐるみが中に入ってたり、なにかのフィギュアが入っていたり。
水瀬に聞いたら、中のものを取るんだって。
一回だけ水瀬がやって見せてくれたけど、難しそうだった。
ボタンを押すと、爪みたいなものが下りてきて、挟んだと思ったら、すぐ放しちゃった。
でも、水瀬がしたかったのはそれじゃなかったみたい。
奥に行くのは怖かったけど、水瀬がいたから大丈夫だったよ。
着いた先には、またよくわからないものがあって、びっくりした。
すごい行列ができてたし、音もすごく大きかった。
やっと順番が来て、中に入ったら、言葉にできないくらいの衝撃だった。
大画面に自分が映ってたから。
写真を撮って、シールになるんだって教えてくれた。
どんなポーズをしたらいいかわからないって言ったら、教えてくれるから大丈夫だよって、言ってたよね。
でも、恥ずかしいポーズばっかりだったよ。
シールはどこ?って聞いたら、落書きをしなくちゃって目を輝かせながら言ってたね。
日付を書いたり、名前を書いたり。
水瀬はたくさん書いてたけど、私は何を書いたらいいかわかんなかった。
ハートばっかりになってごめんね。
帰り際にごそごそしてるなって思ったら、ぷれぜんとをくれたね。
小さいくまのぬいぐるみ。
頭の方に輪っかが付いてるから、一緒に学校の鞄に付けようねって。
おそろい?水瀬がそう言ってたから、合ってるよね?
これが、嬉しいってことなんだなって思った。
水瀬は私に初めてをいっぱいくれるよね。
涙を拭いてくれたり、一緒に登校したり。
大変なこともあったけど、私は全部が楽しかった。
恥ずかしくてあんまり言えないけど、折角だから。
——
クリスマスありがとう
星月 りり
◇◇◇
冬休みが明け、今日は始業式。
座っているだけの式が終わり、あとは帰るだけ。
水瀬をじっと見つめていると、どうしたの?と問いかけてきた。
私は、スッと数枚の紙を水瀬の机に置いた。
「これ、家で……読んで、ね。」
ハートだらけの手紙が水瀬の手に渡ってしまった。
私は少しだけ後悔した。
24話も明日19時に投稿されます。




