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あの日の夢の中で。  作者: たなえび
第一章«夢の初めは»
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第十一話《厚さ一ミリの仮面》

「なるほど...」


 レノの考案した、途中で裏切る作戦を皆に伝える。


 途中プリスが話を聞いておらず滞った話し合いも、今や皆が思い思いに思索に耽っていた。


「その、いいとは思うんだけど、それって上手く行く?」


 スーが恐る恐る手を上げる。


 リュネルとレノを交互に見ながら言うので、リュネルもレノを見てみると頬を膨らませていた。


「いや、違うの! レノの作戦がダメなんじゃなくて、スーパルトの奴らがその辺対策してないわけないんじゃないかなぁって、」


 ね?、とレノに言い聞かせるように言う。

 みるみるレノの頬の膨らみ度は増していく。

 レノが不機嫌になると話が進まなくなってしまうので、スーも気を使っているのだろう。


 実際、スーの意見は最もだ。


 出た意見の中で一番まともで確実性が高かったゆえに伝えた作戦だが、分かりやすい代わりに相手も対策しやすい。


 作戦の内容は至ってシンプル。


 入口、そして道中こそスーパルト側と行動を共にするが、アルテネ無しでは突破できないような、例えば物理攻撃に大きく耐性があるモンスターが出たり、魔導に反応する仕掛けなどが出てきた場合。


 そのタイミングで、アルテネ側はスーパルト側を切り離し、単独行動をとる。その際、スーパルトが着いてこないように足止め係も設けられれば完璧だろう。

 名目としては共同任務の遺跡調査となっているが、別に仲良しこよしでどこまでも一緒という訳では無いし、そんなこと出来るはずもないことは、王族とて理解しているだろう。それを加味した上で王族にとって魅力的な条件をつけられたから、首を縦に振ったと、そういう風にリュネルは考える。


 そして本来の遺跡調査の目的、アルテネが遺跡調査に踏み出した要因は、最奥にある部屋から、異常なまでのロネアの反応が見られたからだった。恐らく、なんらかの魔道具か、誰かが高出力でロネアを練り続けているか、だとうちの魔導師達は噂している。


 それを探るための遺跡調査なので、スーパルトなんてほんとに足でまとい以外の何者でもないのだ。

 スポーツの試合中に観客がコートに出てくる、みたいな。


「例えばさ、スーパルト側がアルテネの王族とどんな条件で今回の交渉を成功させたのか知らないけど、私たち個人の情報が漏れてたりしたら対策のしようなんていくらでもあるし、それこそ戦闘でさえままならない」


 個人の情報というのは、各々の属性や魔導の話だろうか。あとは性格とか?


「つっても、俺の土魔導なんか王族にだって見せたことないぞ? それにレノの夢魔導があれば何とかなるだろ。魔導が無理ってんなら、俺がぶん殴ってやるぜ!」


 スーの懸念をシンが払拭しようと自慢のマッスルポーズをするも、スーは未だ険しい顔つきのままだ。脳筋のシンはそう考えるだろうが、対策を練られる可能性を潰してまで脳筋手段を使う程、俺達は馬鹿じゃない。


 ふむ...


「スーは、結局何が言いたいの? スーパルトが怖いの? 私がヨシヨシしてあげましょうか?」


 プリスがニヤニヤしてスーを煽りにかかる。


「結構です、おばあちゃんは腰を痛めないように任務すら来なくていいよ?」


 ニコッと可愛らしく笑って返すが一方プリスは顔を歪めて舌打ちをする。


「大して歳変わらないじゃない!!」


 煽っといていなされたらキレるってプリスさん、どうなんですかねそれ...。


「心配してるんじゃない、何よ」


 ボソッとそう言った。


「は? 何? まだ何かあんの?」


 不機嫌そうにスーがプリスに聞く。


「何も無いわよ!!」


「? 何なの、」


 不思議そうにプリスを見るスーと、目をそらすプリス。

 小声で言ったので、誰も聞き取れなかったようだ。シンもはてな顔だ。ただ近くにいたリュネルには聞こえていた。


 ほんと、仲良いよなこいつら。

 プリスもいつもはスーにつんつんしているが、いざ戦闘になるとお互い背を預けあって戦うことも少なくない。

 いいチームだと思う。


「でも確かに何が言いたいんだ、スー。対策されやすいのはその通りだけどそれ諸共打ち砕く事はシンの言う通り可能だ。ただ、したくないんだな?」


 とりあえずみんなの意見を噛み砕いてスーにぶつける。


 皆が出す意見を吸収し、折衷案を作る。ラノはいつもそうしていた。

 リーダーのリュネルが優柔不断で自分から意見を出さないのも、ひとつの要因だが。

 苦手なんだよな、自分の決めたことを周りに押し付けるの。


 リュネルの問いかけにスーは黙って頷き、皆にちょいちょい、と手招きをし、集まるよう指示する。


 嫌な顔をするプリスの肩を掴んで無理やり連れて来て、レノを小脇に抱えて近づき、みんなで小さな円を作ってしゃがむ。


「あたしたちで、一番乗りしない?」


 赤い眼が、ギラっと笑った。意地の悪そうな顔で、皆を見渡す。


「そんで、魔道具なら、誰かが貰っちゃおうよ。誰かいるなら、倒そう」


 どう?どう?とみんなの反応を見るように聞いてくる。

 まるで遠足の夜にイタズラをするみたいに。


「おい、ちょっと、待てよスー。流石に俺でもそれはないと思うぜ。だってどんな代物かわからないんだぜ?遺跡の中からロネアの反応なんて、怪しさMAXじゃねぇか」


 シンが珍しく脳筋案を否定した。


「あら、怖いの、シン?」


 それをプリスがすかさずイジる。


「いや、怖くはねぇよ!ただ、危なそうだしお前らが心配で、」


「やっぱり怖いんじゃない」


「違うって!!」


 あぁ、もう、と頭をガシガシする大きな体つきのビビり君。

 あら可愛い、とプリスがクスクス笑う。

 ビビってる、か。

 いや、まぁ俺にはそうは見えなかったけど。良い奴だな。


 しかし、これまた脳筋手段だな。よりによって一番提案しなさそうなスーが起案するとは。

 お転婆娘は何を考えてるんだか、わからないな。


「レノは、どう思う?」


 先程レノの意見を否定した上に、代案とも言えない代案を出したスーはどこかやりづらい所があるんだろう。まぁ当然か。


 ただレノがそう簡単に意志を曲げるとも思えな


「いいよ、れのもそれで」


「ほんとに?!」


「うん」


 曲げちゃったよ。


「いいのか、レノ?」


 再確認の意を込めて、聞いてみる。


「うん、みんなたのしそうだから」


 眠たいのか、無表情で感情を読み取りにくいが不機嫌になってはいない。

 ちゃんと理解した上で自分の意見を取り下げたのだろう。


 親でも無いのに、レノがスーの言葉を飲み込んでくれたことが、何だか嬉しかった。子供の成長、感じちゃってます。


「さて、」


 あまり話さなかったリュネルだが、ここからは意見をまとめる為にも、口を開かなくてはならない。


「じゃ、具体的に決めていきますか」


「あのさ」


 と、ようやく話そうとするリュネルを、スーが遮ってくる。


 他の三人もスーを見て、不思議そうな顔をしてる。


「前から思ってたんだけどさ、」


 至って真剣な表情で真っ直ぐリュネルを見て、少し重苦しい空気のまま、続きを口にする。



「そのクールぶった話し方やめたら?」


 ――――


 一瞬の沈黙。


 しかし途端に、皆が笑い出す。


「ははは、それはそうだな!リュネル、いっつもカッコつけてるよな!」


「ふふ、まぁリュネルはそこが可愛いんだけど」


「ちょっと、ださい」


 ......。


 ??????????????


「黙ってる時も『フッ、』とか顎に手を当てて『ほう、』とかさ。話したら話したで『打ち砕く』とかいうワード使っちゃって。別に普通にしてたらいいじゃない」


 四種四様な反応を見ても未だに理解出来ず、ぽかんと頭の上にハテナを浮かべていた。

 グッ、と胸を殴られた感じがして、思わず胸を抑えた。

 あぁ、痛い。イタイし、痛い。


 地味にレノの言葉が一番傷付いた。

 いや、バレてたんだ...?


 クールぶってないとダサくなりそうで怖かったんだよな。


 てゆうか、良いとこ見せたいとかカッコつけたいとか、別によくない?

 男なら誰しも思うだろ。かっこ悪いんだからカッコつけないと。


 それより。


 それより、さ、

 

「なんで、今そんなこと言うの...?」


 単純に気になった。当然言われて動揺していたが、これだけは気になって、簡単に口から出た。


 みんな思ってたの?とかそんなに見え見え?とか聞きたいことはいっぱい出てきたけど。



 スーがえー?と言いながらこちらを向いて、


「なんとなく」


 嘲笑うように赤い眼を輝かせた。


 こいつマジで零にしてやろうか。

なんか描きたいこと沢山出てきてなかなか調査行きませんが後ちょっとでバチバチに戦ったりするので読んでくれると幸いです。

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