第十三話 愛の告白
私とステラは神楽さんの家の前ーー素直に言って穴だけどーーの前まで戻ってきて来ていた。
「この穴が、みゃーこお姉さんのお家?
猫なのに鼠みたいに穴の中に住んでるって
みゃーこお姉さん、やっぱり変わってるね♪」
穴で怒り出したらどうしようかと思ったんだけど、機嫌が良さそうで、良かった。
「正式には私の家じゃないけどね……
さあ、こっちだよ」
そう言いながら穴の中に入り、階段を降り始めた私。
それにステラも付いて来る。
「じゃあ、正式にみゃーこお姉さんのお家にする?
優しい私が手伝ってあげるよ♪」
私の後ろに居るステラがそんな物騒な事を言い出した。
言ってる事と姿は可愛いが……
それって、殺して奪い取るって事だよね……
「要らない!要らない!!
私の家は別にあるから!!
気を使ってくれなくて、大丈夫だよ?!」
そう、少し青ざめた顔をしながら必死に否定をする私。
「何が要らないんですか?」
そんな時、階段の奥、暗闇の中から声が聞こえてきた。
「ミ、ミケ……こんな所で、どうしたの?」
そう、声の主はミケだった。暗闇の中から階段を登って、すでに私の前まで辿り着いていた。
「みゃーこ様が遅いから、迎えに行こうかと思って……」
なんともタイミングが悪い……
着いて早々、想定外の事態発生……
ここで空気の読めないミケとステラに会話させるのは非常にマズイ……
せめてタマのフォローが無いとどうなるか……
ミケがステラに気がつく前に奥に行かないと……
そう思いながら、ミケの視線にステラが入らない様に体を動かした私。
「ってあれ? そちらの方はどなたですか?」
しかし、それが逆効果だった様で、ミケがステラの存在に気がついてしまった。
「しょ、紹介は皆んなのま「私はみゃーこお姉さんの友達のステラだよ♪ よろしくね♪ ねこちゃん♪」
私の言葉を遮ったステラが勝手に自己紹介を始めてしまった……
こうなっては私一人で惨劇を回避するしかない。
やばそうだったら全力でフォローしよう。
そんな事を心の中で決意し、ハラハラしながら、2人の会話を見守った。
「みゃーこ様のお友達ですか?!
初めてまして! 私はミケと申します!
こちらこそ、よろしくお願いします!!」
ミケは背筋をピンッとして、敬礼でもするんではないかと言う勢いだ。
「ミケちゃんね♪ みゃーこお姉さんとは友達かな?」
「いえ、番いをやらせて頂いています!!」
何故かよく分からないがさっきから、敬語を使い続けているミケ。
様子がおかしい。なんか緊張している様な……
まあ、今は好都合では有るんだけど……
「ミケちゃん、みゃーこお姉さんのお嫁ちゃんなら悪い様にはしないから
もっとフランク に話してくれて良いんだよ?」
それを聞いた私は、「私の嫁じゃなかったら何をするつもりなんでしょうか……」とは聞けるわけもなく、心の中で留めておいた。
「いえ! 恐れ多いです!!
みゃーこ様のお友達と言う事は、それは神にも等しいお方!
そんなお方に、フランクに話す事など私には出来ません!!」
そのミケの言葉を聞いて、ステラが怒るんじゃないかとヒヤヒヤしたが
その当の本人は、満更でもないのかウンウン頷いていた。
良かった……
理由がどうであれ、ステラに敬意を払っているミケに悪い気はしないみたい……
「あ、そうだ♪ ミケちゃんも私と友達になろう♪
これならいいよね?」
「ミ、ミケ! それが良いよ!
だから、私と話す感じでステラとも話したら良いよ!!」
私は慌てて、ミケにステラの提案に乗る様に進める。
あのままだと、どう考えても私の二の舞いになる様にしか思えない……
「えっ? まあ、みゃーこ様がそう言うなら……
じゃあ、ステラ様、よろしくお願いしますね!」
私の慌てた表情にミケは一瞬、驚いた表情をしたが、ステラの提案を受け入れてくれる。
「まだちょっと固いけど、みゃーこお姉さんと同じなら良いか♪」
そしてステラも、満更ではない様子……
まあ理由がちょっとアレだけど……そこは目を瞑ろう。
自己紹介タイムも終わり、今度は階段の下にいたミケを先頭に階段を降り始めた三人。
経過はどうであれ、結果は満点に近い出来でホッとした表情を浮かべていた私。
「ミケちゃんも面白い子だね♪
私、気に入っちゃた♪」
そんな私の耳元でステラがそんな感想を述べた。
さっきの満点は訂正。
赤点で補習確定なやつだ……
そんな胃が痛い事を思いながら、私はステラに苦笑いを浮かべるしか無かった。
そんなやり取りをしていると、タマと神楽さんの居る場所に居間に着いた私達。
「おぉ、ようやく帰ってきたかのぉ」
「みゃーこはん、ミケはん、おかえり!
って、そちらさんは?」
先にステラに気が付いたのはタマだった。
よし、今度こそ私が主導権を!
と心の中で意気込む私。
「こちらは、私の「みゃーこお姉さんの友達のステラだよ♪ よろしくね♪」
うん知ってた。
まあ、意気込むのはフラグみたいな物ですね。今度から辞めとこ……
「ふーん……友達ねぇ……」
そう言いながらタマは、ステラの事を怪しげにジロジロ見て居る。
コレはいけません!!
「そうだよ!ステラは、私のすっっっごく大切な友達なんだよ!
だから、失礼の無い様にしてね!
お願いだから!!」
慌てた私は、そんなセリフをはきながら
タマと神楽さんにそう言いながら、目で必死に合図を送る。
「ウチはタマやで! ステラはん、よろしゅうに!」
「ワシは神楽じゃ。ステラお嬢さんよろしくのぉ」
タマと神楽さんは、私の必死の形相に何かを感じ取ってくれて、普通に挨拶をしてくれた。
が……
挨拶をされた当の本人は、タマや神楽さんの方ではなく
何故か私の方をジッと見ていた。
「みゃーこお姉さんって
そんなに私の事を大切に思ってたの?
大勢の前で言われると、ちょっと恥ずかしいよ♪」
私の目を見てちょっと照れた表情でそう言うステラ。
私はちょっとやり過ぎたかとも思ったが
こっちは命を狙われてるんだ!
やり過ぎるぐらいで丁度いいはず!
そう思い直した私は、ステラにまくし立てた。
「勿論だよ!!
ステラと私は友達!!
いや、友達なんか軽く超えた
唯一無二の親友!
言葉で言い表せないぐらい
大切に決まってるよ!!」
命が狙われているだけに“何としても穏便に済まさないと!”と言う意識が強くなり
つい言葉にも力が籠ってしまう。
その必死の形相で力説する私を見つめていたステラ。
感動させてしまった様で……目に涙を浮かべ始めていた……
「みゃーこお姉さん……」
そう私の名前を呟いて、俯いてしまうステラ。
あ……流石にやり過ぎた……
「ご、ごめん……
泣かすつもりはなかったんだけど……
つい力が籠っちゃって……」
そう言いながらステラの前まで行き
ステラの肩に手を置いた瞬間……
「私、決めたよ!!」
「ひゃっ?!」
突然、顔を上げたかと思うと、満面の笑みで私の事を見つめて居るステラと
それに驚いて変な声を上げてしまう私。
「みゃーこお姉さんがそこまで私の事を思っていたなんて♪
私はその気持ちに答えて……」
そこで一旦、言葉を切ったステラ。
あ……嫌な予感しかしない……
そう思い固まっていた私に、ステラは絶望の一言を発した……
「私もみゃーこお姉さんと番いになってあげるよ♪」
赤点どころじゃ無い……
コレは0点だ、0点。
考え得る限りで最悪の結果だ……
しかもまたステラ的には決定事項だ……
「えっと……本気ですか?」
「勿論だよ♪ 私は優しいから
みゃーこお姉さんの“愛の告白”を受けてあげるよ♪」
よくわからないが、何故か、私から愛の告白をした事になっている……?
取り敢えず、他の人に助けを……
そう思いながらタマの方に視線を向ける。
そこには……ステラが居た。
今度はミケの方に視線を向ける。
またそこには……ステラが居た。
今度は左右に視線を動かしてみると、本当の意味で目にも留まらぬ速さでステラが左右に動いている。
そして視線を止めると、ステラも止まる。
しかも息を切らすことすらなく、平然と立っている……
この娘はどれだけ身体能力が高いのか……
そんな事を考えていると、ステラのご機嫌が斜めになった様で……
目の色が赤く変わり始めて……
ダメだ!! 殺される!!
そう考えた私は私はステラ向かって慌てて叫ぶ様に言った。
「ステラ! 私の思いに答えてくれて、ありがとう!!
とても嬉しいよ!!」
私の声が周囲に響くと、ステラは何事も無かったかの様に、満面の笑みへと戻っていた。
「みゃーこお姉さんって、本当に恥ずかしがり屋だね♪
思わず殺しちゃう所だったよ♪」
「ははは……ステラ、ごめんね」
「いいよいいよ♪
私は優しいお嫁さんだからね♪
キャハッ♪」
こうして、私には
“私の命を狙う新しい嫁“が、出来ました。
どうして、こんな事になってしまったんだろう……
私は目を瞑り、今までの事を思い出していた。
どこで間違えたの?
そもそも、この悲劇は………………
………………
「まーた、みゃーこはん
自分の世界に入ってもうた……」
「また、入っちゃいましたね……」
「あ、ミケちゃん、同じお嫁さんとして
これからも、よろしくね♪」
「あ、ステラ様!
こちらこそ、よろしくお願いします!」
「ステラはん、ウチも!
ウチもみゃーこはんとは、番いやねん!」
「じゃあ、タマちゃんも♪ よろしくね♪」
「ステラはん! よろしゅうに!」
今回で二章は終了です。
2018/03/02 誤字脱字修正




