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ねこの国の勇者様  作者: かなぎ
二章
28/46

第六話 元々可愛い猫の擬人化など……


 吾輩は猫である。名前は……


 って冗談を言っている場合じゃない。


 そう、私は何故か猫になって居た。


「みゃーこ様! 流石です!

 遂に猫に進化したんですね!」


 おやっ!? ミヤコの ようすが……!


 とか言ってる場合でもない。

 思わずBボタンを連打してしまいそうな……

 いや猫は人間のご主人様だから進化した方がいいか……


 混乱して、そんな意味不明な事が

 頭の中をグルグル回って居た。


 どうしてこうなった……


 それは、遡る事1時間前の事……


 私達は神楽さんに色々と教わるため、家の外に出た。

 土で出来た階段を上がった先に有ったのは景色の良さそうな、見晴らしの良い丘……


 を下った所だった。


 “見晴らしの良い丘”は私のイメージです。

 実際とは異なる場合があります。


「あの丘からは星が良く見えるんじゃ」


 丘の方を見て居たからか、神楽さんが私の方にそう語りかける。

 とりあえず、星は綺麗らしい。


「へぇー、そうなんですねー」


 そんな当たり障りのないーー興味無さそうなーー事を言いながら、今度はあたりをキョロキョロする私。


 そうしていると、切り株の近くに大きな穴があるのに気が付いた。

 私でも入れそうな穴。興味本意で覗いて見るが、暗くて底が良く見えない。


「みゃーこ様。その穴には、あの坂から純白の玉を転がして、見事、この穴に入ると、鼠の家にご招待!

 と言う伝説があるんですよ」


「何なんじゃ……その伝説は……」


 家を勝手に伝説に仕立て上げられた神楽さんは困った顔で苦笑い。

 でも、その為に純白の玉と言う名のおにぎりを取りに行ったのか……


「それなら、隣村まで行かずに

 直接ここに来たら良か「それ、ウチ出番なくなるヤツやん!!」


 私のセリフを遮ってよく分からない否定するタマ。

 

 でも、そう言うことになるかな。

 忘れそうだけど、タマも私の嫁。怒るのも無理は無いか……


 そう考えた私は、取り敢えず無言でタマの頭を撫でてあげることにした。


 ナデナデナデナデ……


「いきなり何すんねん!

 べ、別に撫でて欲しかったワケや無かったんやで!」


 タマがそんなツンデレみたいなこと言い出した。

 いや、デレはまだ見てないのでツンツンか……


 そんな事を考えていると、今度はミケが近づいて来た。


「私も! みゃーこ様! 私も!!」


 タマとは違って積極的なミケ。

 求められてイヤと言う程鬼でもない私はミケも撫でてあげる。


 ナデナデナデナデ……


 凄く幸せそうに恍惚な表情をしているミケ。

 本当、性格が対照的なだねぇ。この二人は。


「いつまでワシを放置するんじゃ……

 もう帰っていいかの……」


 そんな嫁たちとの甘い空間を作り出していた私達に、神楽さんは痺れを切らして帰ろうとしていた。


「ごめんなさい!

 “ナイスミドル”な神楽さんに教わりたいです!!

 だから帰らないでください、“ナイスミドル”な神楽さん!」


 私が慌てて言ったのは謝罪と、見え透いたお世辞……

 だが効果があったようで


「し、仕方ないのぉ……」


 そう言いながら、神楽さんは若干ニヤついていた。

 新ジャンル(?)ちょろジイの誕生である。


 何はともあれ、漸く神楽さんの授業の時間が始まった。


「そうじゃのぉ、まずは気について説明しようかのぉ」


 そう言って一拍置いた神楽さんは更に言葉を続けた。


「この世界に住む者は、産まれながらにして気に色がついておる。

 ミケお嬢さんは青、タマお嬢さんは赤じゃな」


 水と火だから何となく想像は着いたけど、やっぱりそうなのか。

 なんて考えていると、


「私の色って青いんですね」

「ウチは赤いんかぁ」


 そんな事を言い出したミケとタマ。


「えっ? 知らなかったの?!」


「“ねずみの国”は精霊術が進んでおったからのぉ。

 “ねずみの国”が滅んだ今となってはロストテクノロジーみたいなものじゃ」


 そう言う神楽さんは少し悲しく遠い目をしていた。

 精霊術の真理を求め、精霊術の真理に近付き過ぎて、滅んでしまった。そんな悲しい国。

 ギリシャ神話の太陽に近付き過ぎて地に落とされた英雄の話に似てる気もする。


「その色が強くなるほど、精霊術も強力になる。

 逆に薄くなれば薄くなるほど、弱くなる。

 精霊術を使いすぎると、薄くなって最終的に使えなくなるのじゃ。

 まあ、使いすぎるぐらいじゃと寝たりするだけで回復するがの」


 なるほど、色の濃さが魔力とかMPみたいな物なのかな?


 さっきから、そんな余計な事を考えている私とは違い、ミケとタマは真剣な表情で神楽さんの話を聞き入っていた。


「それに気の濃さは、その時の気持ちにも左右されるんじゃ。

 気持ちの盛り上がっている時は、より濃く

 逆に盛り下がっている時は、薄く、淡くなる。

 ミケお嬢さんとタマお嬢さんは

 生まれ持った素質もある様じゃが

 でも、それだけじゃない様じゃの。

 今が幸せじゃと感じておるんじゃな」


 そんな、神楽さんの突然の言葉に

 ミケは私の事を嬉しそうにニコニコしながら見ていて

 タマは恥ずかしそうに明後日の方向を向いている。


 やっぱり、対照的で面白い二人。


「それで、ここからが本題じゃ」


 以前の私なら“自分の世界”に入って

 長い前置きの部分は聞いてなかっただろうなぁ……

 今は大事な二人の為に

 この世界と向き合うと決めたから

 ちゃんと聞くけどね。


 そんな事を考えながら、神楽さんの事をより真剣な表情で見つめる私。


「とは言っても、桜お嬢さんの様な真っ白な気を持った者など“ねずみの国”にも居らなんだからのぉ」


 その言葉に思わず、呆れた顔をしてしまった私。

 ここまで引っ張っておいてそれはない……

 思わず「言葉が出ません。唖然としたかな」とか言っちゃいそうになる。

 そんな事を考えているのが伝わったのか、神楽さんは少し焦った表情をしていた。


「桜お嬢さん、話は最後まで聞くのじゃ」


 なんか言ってるよ。このジジイ。


 そんな、心の中で暴言を吐いている私に

 神楽さんは言葉を続ける。


「気とは気持ち。

 二人の気持ちを感じ取り

 気持ちを合わせる事で

 桜お嬢さんの気もまた

 二人の色に染まるはずじゃ」


 一見、まともそうな事を言ってるけど……

 あくまでも机上の空論だしなぁ……

 そんな事を考えていた私。


「良いじゃないですか! やって見ましょうよ!

 さあ、私の気を感じ取って

 私の色に染まってください!!」


 “私がミケの色に染まる”って所に、余程の何かを感じたミケ。

 興奮した表情で、私の目の前に来て

 手を横に広げている。


「さあ! みゃーこ様! さあ!!」


「まあ、ミケがそこまで言うなら……」


 ミケの勢いに負けた私は、とりあえず目を瞑ってミケの気持ちを考えてみる。


 ミケの気持ち……

 ミケの気持ち……


 私大好きとかかな……


 そんな事を考えながら、ミケが居るであろう方向に意識を向けてみる。



 ………………


 ………………


 ………………


 うーん……何も感じない様な……


 いや……なんか青いの見えてきた気も……


 ………うーん……気のせい……?


 ミケの気持ち……気持ち……


 …………やっぱり……見えない……


 そう、諦めかけた時……


 み………こ…………


 ん……なんか聞こえた気が……


 みゃー……ま……


 みゃーこ様……


 なんか……ミケの声が……聞こえる……気が……する……


 みゃーこ様…………したい……


 ん……したい……?


 みゃーこ様と”ピー“したい。


「うわぁぁぁああああああ!!!」


 ミケの“ピー”発言で大きな声で叫んでしまった私。


「みゃーこ様! どうかしましたか?!」


 何食わぬ顔をして私の事を心配しているミケ。

 きっとあれは嘘だ。気のせいだ。


「いや……ミケが私と“ピー”したいとか聞こえた気がしたから……そんな訳ないのにね」


 そんな、願望を込めた私の願い。


「えっ……そ、そ、そんな、わけ、ないで、すよ?」


 そんな私の願いは裏切られ、ミケは明らかに挙動不信になっていた。



 ミケは、むっつりスケベの称号を手に入れた!!


 何故かファンファーレが鳴った気がした。


「うん。無いよね。うんうん。じゃあ、もう一回」


 何も無かった。

 そう、何も無かったのだ。


 そう心に唱えながら、もう一度瞑想を始めた。


 さっきの……感覚……感覚……感覚……


 ………………


 …………こ様……


 みゃーこ様…………


 聞こえてきた……気がする…………


 みゃーこ様……好き……


 今度は……普通……ぽい……


 みゃーこ様……ずっと一緒……


 なんか赤い色がどんどん大きくなってきた……


 みゃーこ様と私は一心同体……ずっと一緒……


 なんか……幸せな……気持ちに……


 みゃーこ様……好き好き……


 私も……好きだよ……


 みゃーこ様……好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き……


「にゃーーーーーーーーー!!」


 ミケのヤンデレぽい気持ちに、思わず叫び声を上げてしまった私。


 え……? にゃー……?


「みゃーこ様! 流石です!

 遂に猫に進化したんですね!」


 目の前にはミケがいた。

 ただ、いつものように10倍位大きく見えるミケ。


「って、えっ? 猫?」


 慌てて自分の体を見てみると……


 全身にはえた毛、灰色と独特の黒い縞模様……これ、アメショー……?


「流石私のみゃーこ様! 私と同じ種類ですね!」


 私の目の前には、私と同じ目線、いや私より少し大きいミケが立っている。


「まさか、ここまでとはのぉ……」

「みゃーこはんが猫になってもうた……」


 無責任な神楽さんと唖然としているタマ。


 やっぱり、ミケが大きくなったのでは無い……

 私が猫、いやアメショーになってしまっていた。


 どうしてこうなった……




色々あって、今回はいつもより時間が空いてしまいましたが

次話投稿は今日中に行う予定です。

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