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ねこの国の勇者様  作者: かなぎ
二章
26/46

第五話 ずっとそばにいるよ?


 神楽さんの用意してくれた朝ごはんを食べる事になった私達。

 四角い卓袱台(ちゃぶだい)に時計回りに、神楽さん、ミケ、私、タマの順で座っていた。


 順番には嘘はない。

 ただ、ミケは私のすぐ隣……

 何故か私にベッタリとくっ付いて座っていた。


 付き合いたてのカップルか、私達は……


 卓袱台の大きさを考えると小さいミケなので一緒に座るだけなら問題はない。


 ただ、卓袱台の上にはお盆の上に乗せられたご飯、お漬物、味噌汁が並んでおり

 お互いにアーンとかやり出しそうな距離。流石に2人分のお盆を並べるには狭い。


 そう考えた私は、ミケに右側に座って貰おうと交渉を始めた。


「ミケ、ちょっとだけ

 ほんのちょっとだけなんだけど……

 狭くない……かな?」


「みゃーこ様! 私は大丈夫ですよ!」


 うん! ミケが大丈夫なのは私も嬉しい!


 けど、今はそうじゃない。

 何しろ、私が狭い。


「そっち側が空いてるよ?」


 そう言いながら、右側の空いた席を指差す。


「? 空いてますね?」


 それがどうした? みたいな顔をして

 空いている席をキョトンと見ているミケ。


 うーん……

 さっきと違うベクトルでミケの様子がおかしい……


 そんなミケの様子に困った私は、タマに助けを求めようと視線を送ったが……


「このお漬物、ご飯に良く合うわ!」


 などと言い、ご飯に夢中になっている……

 雰囲気を醸し出している。

 あれは絶対に演技である。


 毎度の事ながら、タマに見捨てられ自分でなんとかするしかなくなった私。

 もう少し、ハッキリとミケに伝える事にした。


「そっちに座らないの?」


「座りませんよ?」


 私のそんな遠回しな言葉に、直球で即答をしてくるミケ。

 今日のミケはいつもより手強い。

 もっと、ど真中に直球を投げ込まないといけないようだ。

 

「いや……ちょっと狭いから……

 そっちに座ってくれると……

 ありがたい……かな?」


 今度はど真ん中に……ただ超スローボール気味な言葉。

 その言葉を聞いたミケは、信じられないと言う顔をしたまま固まってしまった。


「ミ、ミケさん……?」


「………………」


「えっと……?」


 なんか、嫌な予感が……と私が思っていると……


 突然、ミケの目からは大量の涙が溢れ出てきた。


「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!

 ずっと一緒に居てくれるって!

 言ったのに! そう言ったのに!

 うぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」


 あまりの唐突な出来事に状況が理解できなかった私。

 しかし、ミケの魂の叫びはまだ続いた。


「みゃーこ様が! みゃーこ様が!

 邪魔って! 邪魔だからあっち行けって!

 うぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」


 いや、そこまでは言ってない。

 邪魔とか言ってない。


 混乱してミケの発言に頭の中でツッコミを入れてる私。


「あーあ。泣かしてもうたー」


 そんなタマの発言で我に帰った。


 タマはちょっと黙ってて!

 っと思ったが、そんなツッコミはどうでも良い。

 今は、まずミケをどうにかしないと!!


「ミケ! ここに座ってていい!

 ずっと一緒に居ていいから!!

 さっきのは……冗談!

 そう! 冗談だから!!」


「うぅぅ……グスッ……本当……ですか……?」


 目に涙を溜め、上目使いで私にそう聞いてくるミケ。

 それは反則! 可愛すぎて反則!

 そう心の中で叫びながら


「本当だよ! 本当!

 ずっと“隣に座って”ミケの事を守ってあげるから!

 だから、安心して“隣に座って”良いんだよ!

 私の事を信じて!」


 そんな前回とは違いかなり安っぽくなったセリフを言う私。

 しかし、ミケは満足したのか泣き止んで私の隣ーーより一層べったり引っ付いてーーに座ってくれた。


「みゃーこ様、意地悪です!」

 そう言って、頬っぺたを膨らませるミケ。


「ハハハ……ご、ごめんね。ミケが可愛くてつい……」


「もう……みゃーこ様ったら……」

 くっ付いたまま恥ずかしいそうに体を揺らして、そう言うミケ。


 ミケのご機嫌も回復し、なんとか、テクニカルKOで済んだ?みたいだ。


「ええなぁ。ウチもみゃーこはんにアーンってして欲しいわぁ」


 タマのその発言を聞いて、ミケは私のお箸と私を交互に見ている。


 アーンはしてない! ミケも本気にしない!

 と言いかけたが、発言してしまってはタマの思う壺。ならば……


「ふーん? なんなら今から、私の左側くる?」


「いや、それは遠慮しとくわ」


 そう言うタマはちょっと寂しそうに居ている。


 ずっとミケの相手をしてたからタマも相手して欲しかったのかな……

 後でたっぷり撫でてあげよう!


 そんなやり取りをしながら、漸くご飯を食べ始めた私とミケ。


 でも、今回の一件でミケが以前にも増して私に依存してしまっている事に気がついた。


 さっきも、神楽さんが怖くて私の足にギュッとしがみ付いてたのかと思ってたけど

 私に引っ付いて居たかっただけかも……


 そんな結論に至った私は、ミケに聞いてみる事にした。


「ミケ?」


「みゃーこ様、なんでしょう?」


 私の方に顔を向けて、鼻歌を歌い出しそうなぐらいニコニコご機嫌なミケ。


 そういえば、どう聞こうか……

 まあ、ミケだし直球で聞けばいいよね。


「神楽さん、怖い?」


 そう言いながら、神楽さんに視線を向ける。


「ブフッ! いきなり何を言うんじゃ……」


 唐突に話題に乗せられて、驚いて口の中の物を吹き出した神楽さん。

 正直、汚いです。


「へ? みゃーこ様が守ってくれるのに、何で怖いんですか?」


 怖さなんか1ミリも感じてなさそうなミケの返事。


 ちょっと盲目すぎるのは怖いけど、概ね想定通り。


 じゃあ、神楽さんが怖くない説明は話に混ぜちゃって大丈夫かな。

 

 そう考えた私は、まず昨日の出来事を説明した。


 現れた男の事

 男に負けた事

 そして、神楽さんに助けられた事


 ただ、私が男に負けた事に関しては

 ミケは理解出来なかった。

 いや、頑なに「みゃーこ様が負けるはずありません」と言って

 理解しようとしてくれなかった。

 まあ、強い敵とは認識してくれたので、今は良しとしておこう。


 正直、今後が思いやられるけど……


 あと、神楽さんが私の命の恩人と知って

 大慌てでタマと二人で謝罪したりもしていた。


「それで、ここからが本題なんだけど」


 昨日の出来事の説明を終え、そう切り出した私に

 真剣な目で答えてくれるミケとタマ。


 私は一度目を瞑って深呼吸してから

 私の決意を表明した。


「私は、強くなりたい」


 その言葉にタマは少し嬉しそうな顔をしてくれた。

 が……


「へっ? みゃーこ様は、元々凄く強いですよ?」


 ミケは、本気でそう思っているようで……

 不思議そうな顔で私を見つめていた。


 盲目さ故に、凄く面倒くさい事になった。

 さて、どう説明したものか……


 そう考えていると、今度はタマから助け舟を出してくれた。


「ミケはん、みゃーこはんは、もっと強くなりたい言うてるんや」


 私はミケに気づかれないようにタマにサムズアップする。


「あ!! その向上心!

 流石、私のみゃーこ様です!!」


「まあ、それ程でもないよ?

 それで、神楽さんの所で色々教えてもらおうと思うんだけど……

 どうかな?」


 本当に“それ程でもない”ので、さっさと本題を切り出した。


「はい! 私はみゃーこ様と一心同体ですので!!」


「みゃーこはんを()しかけたのウチやし、聞かんでもわかるやろ?」


 2人はそれぞれの言葉で肯定の意を唱えてくれる。

 ただ、一点だけ気がかりな事があった。

 それは、ミケのご両親をどうするかについて……


 探すとなると、あの男と接触するのは火を見るより明らかだ。

 しかし、今の私では2人を守れる自信がない。


 今回の私の提案は、ミケの両親を探すにしても必要な事だと思っている。


「みゃーこ様? どうかされましたか?」


 私が黙り込んでいたからだろうか。ミケが心配そうに私を見ていた。


 ミケの気持ちを聞くのは、二人っきりになった時に落ち着いて話そう。

 そう心に決め、私は言葉を飲み込んだ。


「いや、何でもないよ。

 という事で、神楽さん、よろしくお願いします。」


そう言いながら、神楽さんの方を向いて頭を下げた。


「ほっほっほっ。若いって良いのぉ」


 そうよく分からない返事をされたが

 顔はにこやかで、笑みを浮かべているぐらいなで肯定と受け取って良さそうだ。


「じゃあ、さっさとご飯を食べてしまおう!」


 そう言って、みんなにご飯食べるのを催促する私。

 

 逃げるのはもうちょっと後でいい。

 今は、2人を守れる力を手に入れよう!


 そう胸の中で決意し、私は残ったご飯を再度、食べ始めたのであった……








「みゃーこはん以外、みんな食べ終わってるのに……

 あの人、何言ってるんやろ?」


「みゃーこ様、偶にあんな感じで自分の世界に入りますよね」



次回投稿は一週間以内を予定しています。


※いつもより日が空く可能性があります


2018/03/02 誤字脱字修正

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