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ねこの国の勇者様  作者: かなぎ
二章
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第四話 ずっとそばにいるよ


「みゃーこ様を早く解放してください!!」


 言い争う声ーーミケの大きな声で目が覚めた。

 私は、何事かと思いながら、ズキズキとする痛みを堪え、体を起こした。


「ミケはん! ちょっと落ち着いてや!」


「ワシは別に捕らえておらんのだがのぉ」


 そして見えたのは、形代を手に持って騒いでいるミケと、それを止めているタマ。

 後、ミケの視線の先には困った顔をした神楽さんもいた。


 その光景を見て、昨日の神楽さんの話が頭を過ぎる。


 ーー恐怖し、そして忌み嫌い……

 ーー鼠であるワシを受け入れてくれる所はなかった。


 正直、頭が痛い……

 でも、あのまま放っておくと確実に精霊術を使っちゃうよねぇ……


 流石にそれはマズイと考えた私は

 小さくため息をついた後、注意を引くために少し大きめに声をかけた。


「一体、何があったの?! まだ眠たいんだけど!」


 私の目論見は成功したようで、皆の視線がこちらの方に向けられる。


「あ!! みゃーこ様!! 今すぐ助け出しますからね!!」


「だから、あかんって言うてるやろ!」


 ミケは今度は、私を庇う様に仁王立ちになり、精霊術を準備しようとしている。


 昨日はグッスリ寝てたのに何言ってるんだ、この娘は……


 私は、ミケの暴走に少し呆れながらも

 辞めさせる為の、次の一手を打って出た。


「そんな事より、私の怪我を治してくれないかな?

 骨が折れてるん「何で早く言ってくれないんですか!!

 足ですか?! 腕ですか?! 胸ですか?!」


 胸にエアバックが無いとでも言いたいんですかね?


 とつい口に出かけたが、虚しくなるので辞めた。


 ただ、辞めさせる作戦はまんまと成功したようで

 私が言い終わる前に大声を出しながら駆け寄ってきたミケ。


「肋骨だとおも「肋骨ですね!! わかりました!!」


 ミケさんが人の話を最後まで聞いてくれない……


 再度、私の話を遮って話を進めようとするミケ。


 ちょっと落ちついてよ。

 そう注意しようと、しゃがみ込んだミケに視線を送ると


「極精霊術 水式 天照(てんしょう)水癒(みゆ)!!」


 既に終わってた。

 っていうか始まってた。


 水色の光の玉が私にサササッと集まって

 サササッと体の痛みと疲れが取れていく……


 って、なんかエフェクトまで適当になっていませんかね?

 まあ、痛みも疲労感も無くなったし、良いけど……


 とか、色々考えていると


「みゃーこ様! どうですか?! 大丈夫ですか?! 治りましたか?!」


 まだ慌てている、ミケさんは、私の目の前に立っていた。

 正直、ちょっとビックリした。


「うん! もう大丈「良かったです! じゃあ、アイツをやっつけましょう!!」


 そう言って、少し離れた所で精霊術を準備し始めるミケ。


 うん。ミケの様子が明らかにおかしい。


 そう感じた私はタマに視線を送るが

 タマにもどうしようもない様で、何も言わずに目を瞑って首を横に振っている。


 仕方ない。私が止めるしかないか……


 そう決意した私は、痛みの引いた体で立ち上がり、歩いてミケに近付く。


「ミケ……」


「みゃーこ様! もう大丈夫ですよ!

 私が助け出しますから!」


 ミケは、下を向いたまま手を止めずにそう答えて、必死に準備をしてる。


 そんなミケを見て……


 ミケがどうしてこうなったのか

 何を慌てているのか


 何となく分かってきた私。


 ミケの目の前に行き、しゃがみ込んで

 ミケの事を抱きしめた。


「みゃ、みゃーこ様……

 抱きしめられたら準備出来ませんよ……」


 そう言うミケを無視して、抱きしめたままミケの頭を撫でる。

 そして、優しく、ゆっくりと、耳元で囁く様に言った。


「私はここに居るから……

 ミケの側に居るから……

 だから、落ち着いて。ね?」


 ミケの動きが止まったのがわかった。

 でも、私は更に言葉を続けた。


「昨日は離れ離れになってごめんね。

 でも、もう何処にも行かないからね。

 ずっとミケの側に居る。

 だから、安心して」


「私……私……」


 そう言いながらミケは、私の腕の中で震えて居るのがわかる。


「大丈夫……大丈夫だよ……」


「父上と……母上が……居なくなって……

 みゃーこ様まで……居なくなって……

 私……私……」


 掠れて今にも聞こえなくなりそうな

 ミケのか弱い声。


「もう大丈夫だよ。私はもう居なくならない。

 ずっと側でミケの事を守ってあげるから。

 もう安心して良いんだよ。だから……

 私の事、信じて」


「うっ……うう……うっ……うぇぇぇぇぇぇん!!

 みゃーこ様! みゃーこ様! みゃーこ様!!」


 そう、私の存在を確かめる様に私の名前を呼び続けるミケ。

 それに答える様に私はずっとミケを強く抱きしめて、頭を撫で続けた。


 10分ぐらい経った頃だろうか。

 ミケの泣き声が止んで少しした時、抱きしめられたままのミケの方から私に話しかけてきた。


「みゃーこ様……ありがとうございました……

 もう……大丈夫です……」


 そのミケの言葉を聞いた私は、もう一度ミケを抱きしめて居る手に力を入れ、ギュッと抱きしめてから、ミケを解放した。


 解放されたミケは、恥ずかしそうにモジモジしながら、泣き腫らして真っ赤になった目を下に向けて居た。


「ウチもミケはんみたいに優しく抱きしめて欲しいわぁ」


 誰と言わなくても、分かる声の主。

 それを聞いたミケは更に恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている。

 私は、そんな軽い空気を振りまく声の主にお仕置きしてあげようと、視線を送る。


「じゃあ、今からしてあげようか?

 タマにはお世話になってるし、尻尾サービスも付けるよ?」


「いや……それは、遠慮しとくわ……」


 そう言うタマは少し寂しそうにして居るのがわかった。


 まあ、昨日の晩お世話になったのは事実だし、今度してあげよう。

 本人に言うと調子に乗りそうだから言わないけど。


「ワシはそろそろご飯が食べたいんじゃがのぉ……」


 すっかり存在感をなくしてしまった神楽さん。

 若干呆れたながらも、嬉しそうに微笑みながらそう言っている。


「あ、ごめんなさい……」


「まあ、ミケお嬢さんも落ち着いて良かったのぉ」


 そう言いながら食事の準備を始める神楽さん。


 ミケは落ち着いてはいるが、神楽さんが怖いのか

 陰に隠れる様に私の足にギュッとしがみ付いたまま離れようとしない。


 まず、ミケに説明してあげるのが先かなぁ……

 怖がってるミケも、それはそれで可愛いけどね。


 私はそんな事を考えながら

 ミケの頭を優しく撫でてあげたのだった。

 


次回更新は1週間以内予定です。


2018/02/12 一部文章を加筆修正

      (ストーリー上、影響がない範囲)

2018/03/02 前書きの空行削除

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