表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこの国の勇者様  作者: かなぎ
一章
20/46

第十話 兄と妹達


 次の朝、私たちはタマのご家族とご飯を食べる事になったのだが……


「お姉ちゃんの尻尾伸びる!」

「ねえ、耳噛んでいい?」

「お姉ちゃん、面白い事してよ!」


 何故か、タマシスターズのお気に入り(のオモチャ)認定を受けたミケは三匹と(たわむ)れていた。


「みゃーこ様〜! 助けてくださいよ〜」


「まあ、頑張って」


 私はミケの助けに素っ気ない返事を返す。

 私が行くと真顔で断られるし……別に羨ましいとかじゃないからね!


「タマさ〜ん……」

「朝はやっぱり、うどんやな」


 タマは昨日の事を根に持ってるのか、ミケを無視して朝ご飯で出てきた「たらいうどん」に舌鼓を打っていた。


 タマにも見捨てられたミケは、周りをキョロキョロして助けてくれそうな人を探していたが、


「あらあら、お姉ちゃんに遊んでもろて良かったなぁ」

「………………」


 タマの母親はピントの外れた感じだし、父親は寡黙っぽくて、さっきから一言も喋ってないし。


 仕方ない。私が人肌脱ごう。


「ミケ、ガンバ!」


 そう、元気いっぱい応援してあげる優しい私!


「みゃーこ様の頼みでも、これは流石に酷いです…………私姫なのに……」


 ミケが始めて私を否定した?! でも、姫なの言われるまで忘れてたよ。

 頭をガジガジされながら、両腕を引っ張られてるお姫様とか初めて見た。


 あれ? そういえば、一人足りない気も……?


「来た時、もう一人ご家族いなかったっけ?」


「せやったっけ。まあ、ええんとちゃう」


 素っ気ない返事を疑問に思いながらも、まあいいかと思いかけた時


 バン!!!!! ダダダダダダダッ!!!!


 部屋の障子が勢いよく開き、白い猫が現れたかと思うと、凄い勢いでタマに駆け寄った。


「おぉ! マイスイートエンジェル!! 俺の事を待っていてくれたんだね!!」


 そう言うとその猫はタマを抱きしめて頬ずりし始めた。


「どちら様?」


「兄や……」

 

 心底嫌そうな顔をしているタマと、そんな会話をしていると、満面の笑みで頬ずりしていた兄が私に気がついた。

 急に目が憎悪に満ちて私の事を睨んでいる。


「き、貴様か! 天使を俺から奪おうとする悪魔め!!! 退治してくれる!!!」


「はあ」


「なんだその気の無い返事は!! これだからゴリーー「限精霊術 水式(みしき) 波濤(はとう)!!!!!!


ドカーン! キラッーン!


 あ、喋ってる最中に遠くに飛んで行った。


「みゃーこ様をゴリラ扱いする馬鹿は私が許しません!!!」


 兄らしき(ねこ)が飛んでった方向を向き、両腕を腰に当てて、そう吐き捨てるミケ。


「「「ミケお姉ちゃん、すごーい!!」」」


 何故か、タマシスターズが大喜びしている。さっきまでオモチャを見る目だったのが、尊敬の眼差しに変わってる気も……


 まあ、それは置いておいて、人の家でミケは何してるんだ……


 「ミケ……有難いけど、部屋の中で精霊術使っちゃダメだよ……壁に大きな穴空いてるし……」


「えっ?! あぁ!! タマさん、ごめんなさい!!」


 そんな私の指摘に、状況を理解して慌ててタマに謝るミケ。


「別にええよ。さっきのアレに直させるわ」


「いいんだ……」


 なんか兄の扱いが酷い気もするけど、タマは安堵の表情を浮かべているし、本気で嫌だったのか……

 そんな事を考えていると、遠くから誰かの走っている音が聞こえ、だんだん近づいて来た。


 ダダダダダダダッ!!!!


「貴様!! 死ぬかと思ったじゃないか!!」


 あっ、生きてた。しかし、さっきのは私のせいじゃ無い。


 私の目の前に来たタマ兄にそんな感想を抱いていると、私とタマ兄の間にミケが割り込んで仁王立ちになっている。


「みゃーこ様に話をするのなら、まずマネージャーの私を通していただけませんかね!!」


 ミケ、いつから貴方は私のマネージャーになったんだ。


「お前には関係ないだろ!!」


「姫である私とみゃーこ様は番い! つまり、みゃーこ様がこの国の支配者であるも同然!!!! つまり、この場で殺されても文句言えませんよ!!」


「そんな事関係あるか!! 我が天使のためなら死すら怖くないわ!!」


 ミケの職権濫用にシスコン発言で反論するタマ兄。

 そんな2人を呆れた目で見ていたタマは(おもむろ)にタマ兄に近づき、満面の笑みを浮かべた。


「お兄ちゃん♪」


「おぉ! なんだい? マイスイートエンジェルよ!」


「嫌い」


 満面の笑みから、冷たい目をした無表情に切り替えてそう言い放ったタマ。

 効果は抜群だったようで、タマ兄は、目を見開き、口をあんぐりと開けたまま、その場で固まった。


「やっと静かになったわ。早よ、うどん食べるで」


 そう言って、うどんを食べ始めるタマ。


「いいの? 放っておいて……」


「ええねん。どうせ勝手に復活しよるわ。あ〜あ、伸びてしもとる……」


 やっぱり、兄の扱いが酷い……


 置物と化したタマ兄を放置したまま。ご飯を再開。たらいうどんを再度食べ始めた。


 お湯の入った「たらい」にうどん入ってる、釜揚げの入れ物を豪華にしたようなうどん。美味しかったけど、ちょっぴり伸びていたのが残念。




 そして、ご飯も食べ終わり、出発の時。


 ミケとシスターズは仲良くなった?様で、ミケに対して「「「はい!お姉様!!」」」とか言ってる……?

 いや、気にしたら負けな気がする。


「じゃあ、行ってくるわ」

「タマ、体に気をつけるんやで」

「…………」


 タマは両親と、別れの言葉を掛け合っている。父親は相変わらず喋ってないけど……


 そんな光景を見ていた私にシスターズがトコトコ歩きながらが近づいて来た。


「ん? どうしたの?」


「「「お姉ちゃんをよろしくお願いします!!」」」


 三匹は声を合わせてそんな事を行ってくる。中々の良い子達!


「任せてよ! 今度は一緒に遊ぼうね!」


 私もそれに満面の笑みで答えた。


 が……


「い、いや、それは……」

「神にも等しい勇者様と遊ぶだなんて」

「恐れ多いです!!」


 そんな事を言い出すシスターズ……ミケか!!


「ミケ!! 何を教えたの!!」


 そう叫びながらミケの方を振り返ると……


「みゃーこ様の素晴らしさを説明してあげました」


 そんな事を抜かしながら、胸を張っていつものドヤ顔……


 私の子猫と戯れる夢は潰えた様です……


「アレが復活する前に、そろそろ行こか」


「あぁ……じゃあ行こうか」


「はい!」


 ウンザリしている私とタマと1人だけ元気なミケは

 村の外に向けて歩き出そうとした。


 ダダダダダダッ!!


 また聞こえてきただんだん近づいてくる走っている音。


「貴様!! 我が天使を攫っていくというなら、私を倒してからにしろ!!!」


 あ、この人の復活しちゃったよ……ずっと置物になっていてくれたら良かったのに……正直、面倒くさいなぁ……

 そんな事を考えていると、シスターズが、私とタマ兄の間に割って入った。


「「「お姉様のお姉様の邪魔はさせません!!!」」」


「き、貴様!! 天使1人じゃ飽き足らず、この三天使まで毒牙にかけやがって!!」


 そう言われても、私知らないし……ミケに言ってくれ……

 そう思ってミケを見てみると、三人の様子を見て、満足そうに「うんうん」頷いていた。

 お仕置きフルコース確定の瞬間である。


「「「あっちに言ってください!! お姉様のお姉様が穢れます!!!」」」


 そう追い討ちをかける様に言い放つシスターズの面々。

 ミケはとんでも無いものを盗んで行きました。


「ち、ちくしょー!! 覚えてろよー!!」


 そんな悪役(したっぱ)が言いそうな事を言いながら走り去っていくタマ兄。


「疲れるね……」


 つい私の口からそんなセリフが漏れ出した。


「せやろ……」


「それじゃあ、行きましょう!」


 一人だけ元気なミケを先頭に、私たちは村の出口に向かって歩き始めた。


 この村で、勇者みゃーこ教が発生するのはもうちょっとだけ先の話。


本日二話目。

次の投稿は、遅くても三連休中終わるまでにはします。


2017/02/08 一部地文修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ