表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこの国の勇者様  作者: かなぎ
一章
11/46

第二話 緑色の宝石


 音の方に向き直した私は、竹刀を構えた。


「む、虫です! あれが虫です!」


「え……あれが……虫? 思ってたのと違う……」


 確かに虫っぽい物が1匹いた。良く見ると蟻に似ている……

 でも、私の知っている蟻とは明らかに違った。


 一番初めに気がついたのは、大きさ。

 少なくともミケよりは大きかった。現実世界で言う猪ほどのサイズがあった。


「お、大きくない?」


「いえ、あれが標準的なサイズです」


 えぇ……やめて欲しいなぁ……こんなサイズの蟻が大量にいたら夢に見るよ……


 そう思って蟻の方を見ていた。どうやらこちらの動きを警戒しているように見える。


 ただ、何かが引っかかる。見た目は蟻っぽいけど……


 そう思っていると、蟻の方からジリジリこちらに近づいてきていた。


「一応聞くけど、アレって友好的ではないよね……?」


「はい……住民が被害にあったりしてますので……」


 ですよね。なら、やる事は一つ。確かめたい事も出来たしね。


「ミケ! ちょっと隠れてて!」


「で、でも!!」


「守ってあげるって約束だったでしょ! ほら! 早く!」


 まあ、約束をちゃんと覚えてるわけではないけど……「無理しないでくださいね……」っと言いながら、ミケが隠れてくれたから良しとしよう。


 そう考えていると、蟻の方からこちらに突進してきた。


 直線的! 横になら避けれる!


 っと思い横に飛んだ瞬間…………

 通常とは違う感覚に体制を崩し、倒れかけた。が、バランス感覚が上がっていたせいか、なんとか持ちこたえれた。


「えっ??」


 ただ避けようと横に飛んだだけ。そう、ただそれだけなのに何故か3mぐらい移動していた。


 いや、驚いているは暇ない! そう思い蟻に視線をやったが、蟻は藪に突っ込んでもがいていた。


「チャンス!」


 蟻に近づき一撃! と駆け出した瞬間、思わぬ加速に足を止めた。


 何? なんか体が変……


 ふと、思い当たる節があったので、軽くその場でジャンプする。すると、今度は自分の背丈ほどの大ジャンプ。


「なるほど。この靴の効果は……猫の様に動ける……」


 先に教えておいてよ! 聞かなかった私も私だけど! 後でお仕置きするからね!


 と心の中でミケに文句を言っていたが、蟻が藪から脱出しこちらを向きなおしていたので、再度戦闘に集中する。


 蟻が近づいて来た! 間合いを!っと後ろに飛んだら、飛びすぎてフラついてしまう。


 あっ、やば!! と思った瞬間、蟻がこちらに突進してきたのが見えた。


 なーんてね!


 そう、スキを作って突進を誘って見たらまんまと乗ってくれた! 全力で地面を蹴って飛び上がり、蟻を飛び越えて背後を取る。


 基本的に昆虫は素早く後退が出来ない。なので

「背後を取ればこっちのもの!」

 そう叫けび、大きく踏み込んで蟻の腹の部分に竹刀を一閃!!


 ガキッッッ!! っと言う音と共に弾かれる竹刀。


「固っ!!!」


 そう叫んだのも束の間、蟻が振って来た足が避けきれずに、頬にかすってしまう。


「くっ、踏み込みすぎた」


 バックステップの要領で一旦、後ろに下がり

「なら! ここはどう!」


 再度前進して私の顔を傷つけた左の後ろ足に渾身の一撃!

 バキッと言う音と共に足がへし折れた。


 足が折れたのを確認し、一旦、間合いをとる。折れた足からはバチバチと火花が散っているのが見えた。


「やっぱりこれ蟻じゃない! ロボットじゃん!」


 そう、これがさっきから気になっていた違和感の正体。息使い、体の動きなどに生命っぽさがなかったのだ。


 そんな蟻改め、蟻型ロボットはこちらを向こうとしていたが、足を一本失って明らかにバランスを取れていない。


「もう勝ったも同然!」


 そう叫びながら、蟻の側面に回り、残った左側の二本をへし折る。


 さらに後ろから残った右側三本に向けて振り下ろす!


 バキッっと音を立ててへし折れた3本の足。


 私はまたバックステップで間合いを取り、小さく息を履いた。


 蟻型ロボットに脚は残っていない。多分もう大丈夫。

 そう思った私は、それを観察した。


 蟻型ロボットは無くなった足を動かそうと、必死にジタバタしている。折れた足の部分からは今もバチバチと火花が出ているのが見えた。


 さて、コレどうしようかな。このままにしておいて仲間を呼ばれても嫌だし……


 私は蟻型ロボットにゆっくりと近付いた。


 えっと、本体を狙っても竹刀じゃ効かないだろうし……狙うとしたら……

 私は、頭と胸の接合部分を狙い、竹刀を振り下ろした。


 バキッと音を立てて頭が本体から外れた。

 そして外れた頭と本体はだんだん動きが遅くなり活動を停止した。


「よし! 勝利!!!!」

 そう言いながらガッツポーズの意味も込めて、竹刀を高々と掲げた。


「みゃーこ様!!!!!!」

 すぐに隠れていたミケが走って近づいてきて私に抱きついた。


 それを私は優しく頭を撫でる……


 とみせかけて!

 両手でミケの頬っぺたを挟んでムニムニした!


「ひゃーこひゃま! にゃにしゅるんでしゅは!」


 うん。何言ってるか分からない。


「靴の効果を教えてくれてなかったお仕置き」


 そうとだけ伝えて、私は5分程ミケの頬っぺたを堪能した。



「それにしても、これ何だろうね?」


 そうミケに問いかけたが、当の本人は頬っぺを膨らませて明後日の方向を向いていた。


 怒ってる顔も可愛いなぁ。でも、流石にやりすぎたかな?


 そう思ったので、ミケに近付き、抱きしめ、頭を撫でた。

「ごめん、ごめん。ちょっとやり過ぎたね」


「本当ですよ! くすぐったかったんですからね!」


「まあまあ、勝ったんだから許してよ」


 私がそう言うと、ミケが慌てた顔をしてこっちを見ていた。


「みゃーこ様、血! 血が出てますよ!!」


 思い出した。さっき蟻にやられたっけ。


「まあ、平気だよ。かすった程度だか「平気じゃありません!!!!!!!」


 激おこミケさん登場……


 そんなミケさんは「全くもう!」とぷりぷり怒りながら、取り出した形代に水を垂らして目を瞑っていた。


 以前、人の足を引っ掻いたのは何処のどなたでしたっけ?


 そんな事を考えていると、周りに薄く霧が立ち込め来た。

 けど、なんか前回より激しい気が……あっという間に真っ白になったかと思うとあたりに蛍の様に光る小さな玉まで浮いてるし……


(きょく)精霊術 水式(みしき) 天照(てんしょう)水癒(みゆ)


 ミケのその言葉と同時に周囲一帯に水が溢れ、体の周りには小さな光の玉が集まって来た。

 私の体にも変化があった。体の底から力が湧いてくる感覚……そしてすごく心地が良い………………


「はい! 終わりましたよ!」


 ミケから声をかけられて、ハッと気がついた。少し惚けていたみたいだ。傷は勿論、疲労感まで全部吹き飛んだ感じがする。


「ミケ、ありがとうね」


 そう言いながらミケの頭を撫でた。


「みゃーこ様こそ、私の事守ってくれてありがとうございます! それにしても凄い戦闘でしたよ! あの虫を単騎の接近戦で倒すとか、今までにも聞いた事ないです! 流石、私のみゃーこ様です!」


 まあ、ミケには無理だろうなぁ……体格差的に接近戦で人間がゴリラと戦う様ものだし。武器持ってても勝てる気がしない。


「勇者装備のお陰かな?」

 まあ、初めから靴の効果を知ってたらもっと楽だったんだけど……とは言わなかった。


「勇者装備を使いこなせるなんて! 流石、私の勇者様です!」

 何故かミケさん大興奮。


「それにしてもこれ、何なんだろうね?」


 さっきと同じ質問を、興奮してるミケにしてみた。


「虫ですが? もう死んじゃってますけど」

 うん。知ってる。私がやった。

 いや、正確には元々生きてない。


「いや、これ生物じゃないよね?」

 そう言いながら、頭部の残骸の中を指差した。


「あれ? 確かに生き物にしては線がいっぱいですね?」


 ミケは不思議そうに中を覗いていた。


「これ生物じゃなく、ロボットだよ」

「??……ロボット???」


 あ、これはいつもの通り伝わってない感じ。言い直すと……


「えっと、カラクリ人形だよ。これ」


「これが……? からくり人形……?」


 ん? そう言えば、カラクリ人形って事は、動力があるはず……?


 私は立ち上がり、胴体の方を覗き込んだ。じっと見ていると、緑色に光っている何かが見える。


 うーん、固定されてるぽい? でも手を突っ込みたくはないし……


 そう考えた私は、竹刀を手に取り、胴体に突っ込んだ。


「みゃーこ様?! いきなり何を始めるんですか?!」

 ミケは慌てて私にしがみつき、私を止めようとしている。

 そして、ミケに止められながらも作業は続行する私。


「いや、なんかあるから……あ、外れたっぽい」


 外れたのを確認し、胴体を逆さにして振ってみると、何個かのパーツと共に緑色に光る何かが落ちてきた。


「宝石でしょうか? 始めて見ますね……」


 確かにそれは宝石っぽかった。でも、ミケも見たことないのか……


 とりあえず手にとって眺めて見た。

 その半透明の石は緑色に淡く光っていて、ブリリアントカットされた宝石の様だった。


「さあ? カラクリ人形の動力っぽいけど……」


 少しの間、手にとって眺めていたが、分からないものは分からない。まあいいか!

 そう思った私は、それをポケットの中にほり込んだ。


「えっ?! 持っていくんですか?!」

 それを見ていたミケが驚いた表情でそういった。

「まあ、何かの役に立つかも知れないし……それにしても、今までカラクリ人形って気付かなかったの?」


「今までは、逃げるか遠距離から精霊でやっつけてましたから。父上なら知ってるかも知れませんが。」


 まあ、突撃の感じだと猫よりは遅かったし普通は逃げるか……それにミケなら遠距離から破片すら残さずに粉々に出来るだろうし。


「とりあえず、移動しようか。敵の仲間が来たら危ないし」


「はい! みゃーこ様!」


 そういうと、私とミケは再度隣の村に向けて歩みを進めた。



次回更新も一週間以内の予定です。


※何日か日が開くかと……


2018/01/29 誤字脱字修正

2018/02/03 一部にルビ追加

2018/02/28 一部追記

2018/03/01 誤字脱字修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ