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番外編 川崎ナギの企み:四話


気がついたら性別が変わっていました。とりあえず今の状況を簡潔に説明してみたけど、全く意味が分からない。

「おおお……!ユウ君、めちゃくちゃ可愛いよ!」

「ほんとに、ガルムなんですか……!?」

「ユウ……可愛らしいわ……」

「思ってたより上手くいったね〜」

俺とガルムさん以外の人達が三者三様(四人だが)の反応を見せる。いや、可愛らしいとか言ってる場合じゃないだろ。あと、ナギの奴絶対面白がってるだろ。皆の後ろでニヤニヤ笑うんじゃねえよ。

「おい、なんで俺がこんな姿になってるんだよ!」

「ガルムさん、さっきの話聞いてなかったの〜?それが()()だよ〜」

ガルムさんの言葉に、ナギは飄々とした対応で返す。なるほど、つまりさっきの「模倣」って魔法のせいか。凄い魔法だな……いやちょっと待て。

「おい、俺に魔法使う必要は無いだろ。なのになんで魔法掛けられてるんだよ」

「それはこちらのアルさんから〜」

「はい!この子の指示通りにミラードの魔法を使ったら、めちゃくちゃ可愛いユウ君が見られると聞いたので魔法掛けました!」

「掛けましたじゃねぇよ!」

なんて元気な声で言うんだこいつは。ん、待てよ?ナギの指示通りってことは……

「この姿って、まさかナギの趣味なのか?」

「変な言い方をしないで欲しいな〜。僕はただ、元を連想させないようにしただけだよ〜」

「……本当は?」

俺がそう言うと、ナギはわざわざこちらに近づいて耳打ちしてきた。

「そうやって戸惑う様子が見たかったからに決まってんだろ?じゃなきゃこんな面倒くさそうな事に加担しねぇよ」

ゾワッとした。こいつマジで、中身と見た目が合ってなさすぎるだろ。根っこが腐ってやがる。

「なぁ、アル。これ元に戻せないのか?服がキツイんだけど」

「えー、戻そうと思えばすぐに戻せるけどさ……せっかく可愛い姿をしてるんだから、もうちょっとお洒落とかしてみたら?」

アルジュナにそんな事を言われ、こいつに戻してもらうのは無理だと察した。……あれ、そういえばガルムさんは……?

「うう……なんか恥ずかしいな……これ、色々と見えてないか?」

「ガルム、元気を出してください。……とりあえず今は他の服を買いに行きましょう。その姿のままだと色々危険です」

ガルムさんは顔を真っ赤にして膝を抱え、イズモさんに慰められていた。……ガルムさん、普段の服装は俺より上半身の露出が多いしな。あと今のガルムさんは……何がとは言わないが、俺よりでかい。イズモさんの言う通り、色々と危険な感じであることは明らかであった。……かわいそうに。

「……よし!ここは僕に任せて!偉大なる研究者のセンスで、君たち二人を、可愛く着飾ってあげるよ!」

「え?いや、そんな事する必要は……」

俺はそう言うが、アルジュナは聞く耳を持たない。

「そうと決まれば……ミラードちゃん、一緒に服選びに行こう!お金は僕が持つから!」

「え、ええ……貴女、お金持ってるの……?」

「ふふん、最近は稼いでるんだよ。こう見えてしっかり働いてるからね」

……働いているというのは、シオンの母親にこき使われている事の話だろうか。……割と苦労してるんだな、こいつ。というわけで、アルジュナはミドラを連れて凄まじい速さで出ていった。

「……一応、僕も行ってきますね。ガルムをお願いします。ナギさん、ユウさん」

「オッケ〜」

「……分かった。任せとけ」

イズモさんを見送りながら、俺はこの後何が起こるのかを考えて、溜め息を吐くのだった。


「おー……なかなか似合ってるね、ガルム君!」

アルジュナ達が戻ってきて数刻。ガルムさんはミドラやアルジュナに着せ替え人形にされていた。ワンピースだったり、フリルのドレスだったり、へそ出しコーデだったり……俺が着ていたら恥ずかしさで顔を覆いたくなるようなものばかりだった。……俺?俺はサイズの大きな寝間着みたいな服装を着せられて放置です。分かりやすく言うと、ジャージ姿に近いものかもしれない。「ユウ君は絶対これが似合うから!」とアルジュナは言っていた。しかしアルジュナは、ガルムさんを着替えさせてから変なスイッチが入ったのか、他に買った服を全てガルムさんで試していた。アルジュナによると、ガルムさんに着せた服が予想外に似合っていたらしい。ガルムさんには悪いが、運が良かったな……俺。

「……いっそ殺してくれ……」

「あ、あの……アルさん、それくらいで……」

「ん?どうして?こんなに似合ってるのにー」

ガルムさんが瞳を曇らせ、どこか遠くを見つめている。イズモさんがアルジュナを止めようとしているが、アルジュナは首を傾げるだけだ。

「……可愛い……とても、似合っているわ……ガルム……」

「なぁ、目をキラキラさせて見てないで、あんたもアルさんを止めてくれよ……」

「でも……彼女、とても楽しそうだわ……」

いや、頼むから止めてあけて。このままじゃアルジュナが暴走しかねない。いや、もう暴走してるのかもしれないが。

「……それじゃあ、そろそろ()()してみよっか〜」

ナギの言葉に、アルジュナは手を止めた。ガルムさんが解放され、アルジュナが俺の近くに来る。

「ナギ、実践って……?」

「あれ、ユウは忘れちゃったの〜?そもそも、ここに集まってるのは、ガルムさんの悩みを解決するためだよ〜?その解決策が思いついたなら、実行するのは当然じゃないかな〜?」

ナギの言葉に、俺は当初の目的を思い出す。そうだ、俺達は「アオイさんに弟離れをして欲しい」からこんな事をしているのだ。決して着せ替えショーをするためではない。

「……あ、そうだったな。俺、姉ちゃんに弟離れして欲しかったんだ……」

「え、忘れてたんですか?」

「この姿のせいでな……」

この人は綺麗な声でなんて力のない喋り方をしているんだ。……あと、めっちゃ絵になってるなこの人。

「……ん?アル、なんで俺を見てるんだ?」

「ナギ君からの依頼も終わったし、可愛い可愛いユウ君を目に焼き付けようと思って」

「依頼?依頼ってさっきナギと話してた奴か?」

「そうだよ。ナギ君ってば優しいんだよ。ガルム君に魔法を掛けて服を着せ替えさせたら、後はユウ君を好きにしていいって」

あいつ、そんな事言ってたのか。どうしよう、あいつの本性を無性にバラしてやりたい。でも多分言った所で信じてもらえないよな……悔しい。

「ユウ君、本当に可愛くなったね……化粧とかしてみる?知識豊富な僕ならユウ君をもっと可愛く出来るよ?まぁ、ユウ君はそんなのなくても可愛いけど」

「おい、目がやばいぞ」

なんか身の危険を感じてきた。今すぐこの場から離れたい。……でもこの姿で彷徨くのはちょっとな……

「よーし、まずは早速、アカギさんの店に行こっか〜」

「お、おい。ほんとにこんなので大丈夫なのか?」

「大丈夫大丈夫〜」

「ちょっ、ガルム!?……すみません、ユウさん。僕、先に行きますね!」

……瞬く間に、ナギ達がいなくなった。えー、俺まだ付き合わされるの……?なんかもう、お腹いっぱいなんですけど……

「ユウ君、僕達はこの部屋でイチャイチャしようか……」

「よーし、イズモさんを追いかけるぞー」

「ユウ君!?」

お腹いっぱいとか知るか。俺は止まらない!




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