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番外編 禁忌の研究者:四話


「……は?」

アルジュナの発言が理解できず、俺は思わず間抜けな声をあげた。……恋人?恋愛のレの字もない俺が、恋人?

「ユウ君は、≪ぎゃるげー≫って知ってるかい?」

「……ギャルゲー?まぁ、聞いたことあるけど」

所謂、男性向けの恋愛ゲーム。主人公がヒロインと恋愛を繰り広げる様が見れるゲームだ。ちなみに、俺はやったことはない。

「僕は禁忌の魔法というのを研究しているけど、それ以外に「異世界」というものについて研究しているんだ。今研究しているのは、「ニホン」という異世界のことなんだけど……それに関する文献の中に、ぎゃるげーという単語があった」

アルジュナは饒舌に語り、目をキラキラと輝かせている。……今こいつ、禁忌の魔法とか言わなかった?あと日本のことを記す文献、異世界にあるのかよ。

「僕は興味を持った。主人公がヒロインと恋愛する物語にね。……思えば僕は、人間の恋愛というのに疎かった。だから、様々な苦難の末にヒロインと恋愛を繰り広げる主人公を、とても面白い、もっと見てみたいと思ったんだ」

アルジュナは目を輝かせたまま、そんな事を言った。……まぁ確かに、恋愛漫画とかラブコメとかは面白いと思うけど。それが今の話とどう繋がるんだ。

「そこで僕は考えた……僕の作った仮想世界。ここで、恋愛をさせれば良いんだって」

「……ん?」

あれ、雲行きが怪しくなってきたな。

「だから僕は無作為に「主人公」を決めて、それに縁を持つ人間の恋愛模様を暇つぶしがてらにこの目で観察しようと……」

「待て、じゃあそのふざけた目標はお前のせいかよ!?」

「……てへっ☆」

アルジュナは舌を出してウィンクし、頭を手でコツン、と軽く叩いて首を傾げた。……こいつ、ぶん殴りたい。

「そういうわけだから、君が恋愛をしないとこの世界から出られないんだ」

「……そうはいってもなぁ……俺、恋愛経験とかないんだけど」

「そこはまぁ、知識豊富な僕がサポートするから」

「せめて経験豊富であって欲しかった」

「まぁ良いじゃん!君にとっても役得でしょ?こんな良い状況、利用しない手はないって!ほら、身の赴くままにヒロインを攻略しよう!」

「不安だ……」

急募:頼りになる仲間。誰か助けてくれ、ほんとに。


「そういや、そろそろ夜が明けるんじゃないか?」

「大丈夫。創造主権限で一時停止してるから。今は僕と作戦会議の時間さ」

そう言うアルジュナの前の机に、何か巻き物みたいなものが四つ置かれた。それは色がそれぞれ違い、何処か不思議な雰囲気を纏っていた。

「これは、創造主権限で作った禁忌の道具……「攻略指南書」ってやつだ。ここには君が攻略出来るヒロインの攻略方法と行動範囲が記されている」

「何そのプライバシーガン無視のアイテム」

いきなりチートアイテムが出てきた。……こいつ、どれだけこの世界を出たいのだろう。シオンに一体何をされたんだ。

「……あれ、四つだけなのか?」

「今までこの仮想世界で縁のあるヒロインの分しかないからね。君が攻略可能なヒロインに会えば会うほど増えていくよ」

「え?……ということは……」

フラムとシオン、小原……アオイさんが攻略出来るのか?……知り合いや友達って気まずいなぁ……俺はどんな気持ちで恋愛ゲームすれば良いんだよ。

「どうしたの、微妙そうな顔をして。あっ、もしかして僕が攻略出来ないから不満なのー?残念だけど僕は創造主だから。あと、デーモンには性別がないしー」

「ソウカ、ザンネンダナ」

「……反応が淡白なのも、それはそれでムカつくな……僕、今結構美少女だと思うんだけど」

「人間は外見より、中身が大切だからな」

「ねぇ、それってどういう意味?この完璧な僕の何が不満なわけ?」

俺は睨んでくるアルジュナを無視して、机の上にある赤い巻き物を手に取った。それを開くと、攻略対象の情報が分かりやすく纏められていた。

(……フラム・ランス。いろいろと素直になれない高飛車な性格。スキンシップやアタックに非常に弱く、攻略難易度はそこまで高くはない……おお、分かりやすいな)

巻き物を更に開くと、フラムが好むスキンシップや、行動範囲等が書かれている。……それにしても、攻略難易度は高くないって……フラムってそんなチョロインみたいなやつだったか?一旦フラムの巻き物を閉じて、今度は青い巻き物を開く。

(シオン・デモンズ。オカルトとか怪異、ファンタジー等の話題を好む。しかし、本人に恋愛をしようという気はなく、攻略はかなり難しいと判断される。もし攻略するのならば、話題を合わせるのが最初の一歩である……まぁ、そうだよな)

シオンも俺と同じで恋愛経験なんてなさそうだもんな。カブラギの配下にされてた時もあったけど、その時にも何もされてないらしいし。あと、単純にシオンの自由さにはついていけないのかもしれない。……俺はそっとシオンの巻き物を置いて、次は緑色の巻き物を開く。

(……小原エイカ。友達というものに強い執着心を抱いているが、恋愛感情には疎く、経験は一切ない。頼られるのを好むため、好かれるためには彼女に甘えてみるのも一つの手かもしれない…………あれ?)

少し巻き物を開いてみると、その先は黒く塗りつぶされていた。内容が全く判別できず、これ以上の内容は読めない。

(うーん、なんだコレ?……とりあえずこれは置いておいて、最後の巻き物を読むか……)

……最後の巻き物。それは黄色の巻き物だった。残りの一人……アオイさんについての巻き物だ。

(いや、こっわぁ……!この世界では別人みたいだけど、アオイさんって超のつくブラコンだし、いろいろと怖い所もあるし……一体どんな内容が出てくるんだ……!?)

怖さ半分、興味半分。巻き物に手に持ちながら、開くのを躊躇っていると、アルジュナが俺の身体を揺らしてきた。

「ねぇ、なんで無視するのさ。……ははーん?もしかして僕が美少女過ぎて、話すのが恥ずかしいんだ〜?このこの〜」

「ちょっ、身体を揺らすな。今お前の攻略指南書読んでんだから……あ」

「……ん?」

アルジュナが身体を揺らすせいで、手が滑ってしまった。黄色の巻き物は床に転がり、その中身が露わになる。俺も、アルジュナも。無意識にそれに目を向けた。……向けてしまった。

「「…………」」

俺達はその内容を見て……絶句した。黄色の巻き物が威圧的なオーラを放っているように感じ、俺達は固まってしまう。……やがて、どちらからともなく、巻き物に手を伸ばし、それをくるくると巻いて巻き物に封をした。……何とも言えない沈黙が続いた。

「……今のは、見なかった事にしよっか」

「……そうだな」

俺達は今見た内容を一刻も早く忘れるべく、巻き物の話題を終えることにした。……内容については、アオイさんの名誉のために触れないでおく。知らないほうが良いこともあるんだよ。


「……とりあえず、今見た内容で攻略を進めていくか」

「おお、やる気だね」

「俺も早くここから出たいからな」

学校生活送るのめんどいし、本物のスイーツが食べたい。

「それで、誰を攻略するの?」

「……まずは、フラムかな。あの中だと、一番チョロ……コホン、親しみやすそうだし」

……アルジュナが引いた目で見てくる。しょうがないじゃない、恋愛初心者なんだもの。それに、シオンは仲を深めるのが難しそうだし、アオイさんは論外だし。小原は……わからん。

「じゃあ、フラムを攻略する作戦会議しようぜ」

「……なんか、協力したくなくなってきたんだけど」

おいなんでだよ、見捨てんな。

  




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