第31話 革命と未来予知
祈りとは、神に願うもの。
神に祈り、人々の安寧を願った。
戦士に祈り、無事に帰ることを願った。
国に祈り、永遠の繁栄を願った。
病を退け、苦しみを退け、民は平穏を手にした。
戦士は傷つくことなく、常勝の存在になった。
国は日々拡大し、やがて帝国に敵う者などいなくなった。
聖女が神に祈れば、願望は叶った。
だから誰も彼もが聖女を求めた。自分のために祈って欲しい、自分のために奇跡を起こして欲しい。自分のために、自分のために、自分のために。
……なら、私は?
「適当な役はいりません。最短で当たる一手よ、我が手に来たれ!」
何でも良いわけじゃない。
私は勝ちたい。
結局のところ、私も普通の人間なのです。
赤い果実でも緑の果実でも、引けば勝てるというのなら。常勝のために、勝利のために、私は……私自身に祈る。
運命よ、私に味方をせよ……と。
「お、CZ通したじゃん」
「やりました!」
今度こそ777が並び、勝利を確信しました。
「お、革命」
「もしかして、まだあるんですか?」
「おぅ、ボーナスで666枚吐き出させないと大当たりじゃない」
「えぇ〜っ⁉︎」
「大丈夫だろ、祈れ祈れ」
いいですよ、私悪い子になってますから!
鐘の絵を願ってレバーを叩く。こちらの期待を煽るように、15枚の払い出しが画面に刻まれる。
鐘が鳴るたびに、脳内に火花が散る。
惨敗で傷ついた心を癒すように、奇跡が脳を弾けさせる。
「あァ────ッ!」
見える。
666枚のボーナスを超えて、ピロピロと不思議な音が私を迎える未来が。革命を起こす私の後ろ姿が────!
「お、おいルヴィ?」
「未来は、確定していますッ!」
積み重なる出玉は、やがて666枚を突破する。数分前に見た景色が、私の目の前にある!
勝った……私は、スマスロに勝ったんだ!
そう思った時には、隣の人に飛びついていました。
「やった、やりました! やりましたよロマンさんっ!」
「お、おいおい⁉︎ テンション高すぎだろ⁉︎」
「はっ⁉︎」
私ってば舞い上がってしまいました……!
で、でも祈りの効果は絶大です。私の奇跡は今、運命を捻じ曲げたのです。
「大当たりです! で……ここからどうなるんです?」
「今までの大当たりとは全く異なる大当たり……ラッシュだ!」
「……らっしゅ?」
疑問は尽きません……ですが安心です。なぜなら、手持ちのメダルが増える未来しか見えないからです。
治癒と加護は得意でしたが、先が見えるなんて……やっぱりスロットは面白いです。
「本番はここからだぜ、大悪党さん」
「お任せください!」
ルドヴィカ=ヴァレンティ、この世界で未来予知に目覚めたみたいです。




