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救国の聖女はスロットを打ちたい  作者: ムタムッタ
第1章 聖女、パチ屋に降り立つ

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第3話 当たりとヒキと脳汁と


「勝っている、んですか?」

「そーそー、大当たり。さっきみたいに赤いの揃えてみな」


 と、ロマンさんは言う。

 正直、何がどこに当たっているのかもわからないけれど、彼の言うことは正しいと思う。


 点灯した光を見ていると、心が昂る。あなたは戦いに勝っているのだと、神が告げているように。


 なぜだろう、私はこの光が好きだ。

 神の言葉を聞いたときのような……いいや、そうじゃなくて、もっとこう……頭の中から何かが溢れそうな予感がする。


 業火に包まれ、見知らぬ土地に来たと言うのに、私は戦場にいた時のような興奮を覚えている。


「どうしたよ、リール止めな」

「あ、はい!」


 りーる? というのはおそらく箱……じゃなくて、スロットの中の回転のこと。ロマンさんの言葉通りなら、さっきと同じように左から絵柄を狙ってボタンを押せば…………


  7

     7

       7


 瞬間、音楽と共に脳は弾けた。


「……………………っ⁉︎」


 炸裂する脳内に反して、手は勝手に動く。棒《レバー》を叩き、回転する絵を無造作に止める。


「か、身体が勝手に……っ!」

「なにそれこわっ」


 知らない、分からない。

 でも手は止まらない。

 勝利で得た銀を求めて。


 台の下にコインが少し溜まったところで、音楽は止まってしまった。同時に脳内の溌剌も落ち着いてしまった。


「ロマンさん、なんだかすごいです。頭の中がばぁっとしました!」

「そ、そう……そりゃ良かった」


 『ジャグでなるもんなのか』と呟いていましたが、よくわかりません。でもこのスロットという箱の光は好きになりました。


「またあの光、見られますか?」

「ん〜そう簡単には見れないと思う」

「ど、どうしてです⁉︎ この箱にコインを入れたら光るのでは⁉︎」

「そうだったらパチ屋潰れるぜ…………」


 …………どうして簡単に光ったらぱちや? が潰れるんでしょう。この世界は謎に満ちています。


「ま、気になるならもう少し打ってみなよ。そのコインはルヴィのもんだし」

「えぇ、やってみます!」


 どうせ1度燃えた身、少しくらい遊んでも罰などないでしょう!


 さっきより勢いよく棒を叩くと、『ガコッ』という音と一緒に絵柄は回転した。するとロマンさんはこちらを覗き込んだ。


「ちょ、は? マジでっ⁉︎」

「え、え、どうしました?」

「いや……あの、また勝ちです」


 若干引き攣った表情でロマンさんが私の台を指差すと、またまた台の灯りが点いていました。


「それじゃあ、もう一度絵柄を揃えればいいんですね!」

「あぁ、うん。そうよ」


  7 7 7


 横一列に揃ったのは、またもや同じ絵。

 魔族の侵攻に対して真っ先に矢面に立ち突撃した時と同じくらい、脳内は昂る。


「いいんですよね、ロマンさんまた打てばいいんですよね⁉︎」

「打て打て、こんなこと滅多にないんだから」


 段々このスロットという装置にも慣れて来ました。音楽が鳴っている間はいっぱいコインが出る! いっぱい出ると頭の中が弾ける!


 気づけば台の下にはたくさんのコインが溢れていました。聖女の時でもこんなに銀貨をみることはなかったかも。


「ロマンさん、いっぱいですよ!」

「…………もう1回、回してもらっていいか?」

「何かクルクルさせるんですか?」

「あーいや、そうじゃなくて。レバー叩いてみて」

「……? わかりました」


 神ではなく、ロマンさんとの出会いに感謝を込めて。ほんのわずかな力でレバーを下げると…………再び台に光が灯った。


「あ! 勝ちですよね⁉︎」

「い……1ゲーム連……しかも2連続」

「ロマンさん?」


 『べたぴんのはずなのに』、とロマンさんは呟いてますがなんのことでしょう?

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