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救国の聖女はスロットを打ちたい  作者: ムタムッタ
第4章 戦慄! スマスロの脅威!!

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第24話 発狂、追加投資


「はぁ…………はぁ…………」


 4枚目の1万円を手にして、指先の震えを感じた。まだ何枚か残っているのに、言いようのない焦燥感が私の背中に張り付いているようでした。


 入れてしまった。

 4枚目……4万円を入れてしまった。全財産の半分ほど。


 加護を使っているのに、台は応えてくれない。聖眼が捉える光は、まやかしとでも言いたいのでしょうか。


「あっ!」


 一定数溜まったポイントの抽選にかかったのか、再びCZへ舞い戻った。熱は再び、私の頭の中を駆け巡る。


 ここを通さないと、ここを通さないと私に明日はない。


「おぉ〜早めに引いたねぇ」

「当てます、当てないと帰れませんっ」


 さっきよりも丁寧に、丁寧に祈る。

 精神を研ぎ澄ませ、来るべき子役の到来をひたすらに祈る。


「我が呼びかけに応えよ!」


 優しくレバーを叩くと、緑の絵柄(スイカ)が揃った。


「お、スイカ来たねぇ」

「当てます、当たるんです──絶対に!」


 ひとつ目の戦いを制し、2度目の戦いに入る。

 1戦目よりも遥かに大きな敵が、画面いっぱいに映っていました。


「まだあるんですか⁉︎」

「これ入れてあと2回だね」

「そ……そんな……」


 3回勝たないとボーナスにならないなんて……なんて苦しい戦い…………


「弱気になったらダメだよぉ」

「お願い、当たって──!」


 半ば目を瞑って奇跡を願う。

 するとガラスの砕けるような音はせず、2文字の言葉が出ていた。


「撃破、撃破よルヴィちゃん! あと1回!」

「ほ、ほんとですか⁉︎」

「もうほぼ勝ち確、いけいけぇ〜」


 運命を切り開けと言わんばかりに、感情を煽る効果音が両耳を刺激する。Vという絵柄が左右のリールに揃い、真ん中にも同じ絵柄を止めろと、台は叫ぶ。


「お願い……お願いします……当たって…………」


 こんなにも必死に何かを願ったのはいつぶりだろう。


 国の勝利以来か、

 国の安寧以来か、

 それとも…………


 願いは形に、そして横一閃に「V」の絵柄が並び立ち、虹色の閃光が私を出迎えてくれました。


「おぉ〜! 当たったじゃん〜」

「やった…………やりました……!」


 勝利の歓喜というより、安堵のため息が漏れた。そうだ、これでいっぱいメダルが…………

 自動的に回転したリールは、左から停止していく。

 


    7 7 ➖



「…………あれ?」

「あちゃーレギュラーだぁ」


 分かる。ロマンさんがビッグボーナスではない方と言っていたボーナスだから。でもすますろのレギュラーは知らない。


 胸の鼓動が、再び不規則に脈打つ。


「あ、あ、あの……これってどうすれば」

「あーね、これ最終決戦。このボーナス中に勝てれば大当たりだよぉ」

「な」


 ──パリンッ

 頭の中で、何か砕ける音がしました。


 何度も傷ついて、その先にある勝利の先で、また戦えと、スマスロはどこまで試練を与えるのでしょう…………


 そこからの記憶はすこしぼやけたものでした。


 震える手でボタンを止め、鐘の図柄は揃っていく。残り少なかった枚数のメダルが、わずかに……ほんのわずかにだけ増えていきました。


 そして気づいた時には、見慣れた平和な画面に。何事もなかったように。


「あちゃ〜突破ならずかぁ」

「お……終わり…………?」


 4万円を使って、約100枚。

 なにか、悪い夢を見ているようです。そしてその100枚も、あっという間に溶けてしまって、気づけば新たな1万円を握っていました。


「は、はは…………ははは」


 不意に漏れたのは、妙な笑いだった。


 だ、大丈夫です。

 まだ余力はあるのですから、次で当てればいいだけなのですから。私は負けたりしない、負けてはいけない、負けられない。


「はぁ…………はぁ…………負けない、負けたくないッ!」


 すべては負けを取り返すために。


 過熱した頭に選択肢などなく。

 私は5万円目をスロットへ捧げました。


 

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