第16話 技術介入しますっ!
「これじゃあ激熱が経験できません⁉︎」
「いやーすまんなぁ、ここはハナの台が結構出るんだが」
そう言いながら、ロマンさんは先導します。う〜ん、私のことを思って夜更かししてくれたから何も言えません。
「ま、Aタイプ機だけがスロットじゃないし」
「じゃあ今日は……?」
「バラエティに行くぞ」
「……ばらえてぃ?」
またまた知らない言葉です。
赤い花の咲く通路から外れて、すますろの列も素通りすると、まばらに人が座るスロットの列にやってきました。ここにもてれびのような絵が映っているものがあります。
「なんというか、スマスロではなくて昨日まで打ってた台とも違う奴……みたいな」
「はぁ」
聖眼で捉えても輝きは芳しくない。
攻防で疲弊した場内のようだが、一応希望がないわけではない……と思います。
「激熱はまた今度だ、どうせ来週もあるし。それよか今日は、聖眼じゃないルヴィの目も確かめたい」
「め?」
たどり着いたのは銀色の台。動く絵はなくて、人影のような絵だけ映っている。
「スロットにはな、特定の絵柄をしっかり止めると必ず勝てる台があるわけよ」
「必ず⁉︎」
「まぁ色々条件があんだけどさ。ほら座った座った」
促されるままに着席して、お財布から1万円を投じる。この吸い込まれていく紙幣が儚く見えるのは気のせいでしょうか。
「まぁ基本は当たりのお知らせがあるまで打てば良いんだけど、肝心なのは当たりじゃない時もしっかり絵を揃えなきゃならんのだ」
「果物みたいな絵とか、ですか?」
「その通り。スイカとチェリーな」
早速緑の果物……スイカの絵が揃うとメダルの払い出しが起きた。これは昨日もありましたね。
「要はこういう小役をこぼさず打ち続けると勝てる」
「そんな素敵な台が…………」
だったら、最初からこれだけ打っていれば良いのではないでしょうか。必勝の法則があるなら、その方が……
「だって俺苦手だもん」
「はい?」
自嘲気味にロマンさんがスイカの絵柄を外してしまった。私はりーる? の動きも全部見えるんですけど、もしかして違うのかな?
「目押しってのはなかなかどうにも慣れなくてなぁ」
「そんなに難しいですか? 7だって揃えてるじゃないですか」
「ありゃ当たりの出目だからな」
制御がね、とロマンさんは遠い目をした。
よくわかりませんが……ロマンさんですら苦戦するなんて……私にできるでしょうか…………?
「大丈夫だ、あんたならできる。絶対な」
「ロマンさん……」
信頼の眼差しに応えるように、私はチェリーを止める。瞬間、聖眼は台の変化を私に教えてくれました。
「当たってるみたいです」
「マジ?」
「聖眼が、そう言っています」
私の中に響く声が、告げている。
奇跡の正体ともいうべき、神の声が。
「目押し…………やってみますっ!」
奇跡が、この世界に順応を始めている。




