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異世界に転移したので今度は魔獣保護官として生きていく  作者: オツタロ
1章 新生活

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第6話 元の世界に戻る方法

カウンセリングの日

先週と同じ部屋でエルミナ先生と対面した。

「先生に聞きたいことがありまして。」

「何でしょうか。」

彼女は落ち着いた声で答えた。

「転生者や転移者の中に元の世界に戻れた人っているのでしょうか。」

「元の世界に帰った事例ですか。」

「そうです。私の体がここにあるということは元の世界からワープみたいにしてこっちに来たと思うんです。

私自身は夜寝てる間に転移してしまってどうやって移動したのか覚えていませんが。

ですが、ワープしたということはもう一度それが起きれば元の世界に帰れるってことができるのかなと思いまして。

そういう例は過去にどれくらいありますか?」

「文献を見ると過去に数例ではありますが元の世界に戻ったのではないかという記述があります。

しかしその彼らが再びこちらに戻ってきていないので証明されているものではありません。」

「ということは片道切符のようなもので行き来はできないということですね。」

「そもそもの話なんですが異世界転生者、転移者という存在そのものも本人の自己申告制なので本物だろうというものが非常に少ないです。

転移者で多いのが地元に帰ることができなくなった人が虚偽で話しているケースですね。

転移者法の法律を活用すればそういう人に新しい名前と住所、しばらくの生活費が支給されるので悪用されているケースがあります。

マエダさんのように元の世界の記憶を持つ人と珍しいです。

お話も何度も聞いていますが齟齬がないので本当の転移者と言っても大丈夫です。」


「元の世界に帰りたいのですか?」

彼女は眉をㇵの字にて困ったような表情になった。

「まぁなんというか、向こうに恋人がいまして、今どうしているのかなと思いまして。

仕事が忙しくてほとんど会えてなかったんですが。」

「そうでしたか。

戻ると言ってもマエダさんがどうやってこちらに来たのかがわからない以上戻る方法もないというか。」

「過去に元の世界に戻ったという人たちはどうやって戻ったんですか。」

「んー。文献にもそこまで詳しい記述がないんですよ。

ある日突然姿を消したので元の世界に戻ったのだろうって書かれている記述もあるくらいです。

この分野が真面目に研究されてこなかったせいか同じ研究をされている方もいないんですよ。」

「突然姿を消したから元の世界に戻ったというのも雑ですね・・・

ほとんどの方は元の世界に帰らずこちらで暮らしているということですか。」

「そうですね。ヒアリングすると不思議なのが元の世界には未練がないという方が多いです。

戻りたくないと言う人も多いですね。

こちらでの新しい生活を気に入って幸せに暮らしているのはよいことだとは思うのですが。

異世界研究者としては話を聞けないのが残念です。

話したがらない人ばかりなので。」

マエダさんは貴重な存在ですよと言ってくれた。


「元の世界に親も友達ももしかしたら家庭だってあったかもしれないのに。

どんだけひどい目を合っていたとしても突然いなくなったりしたら誰かは悲しんでくれるだろうに。。。」

そうですね。と言い彼女はどこか悲しそうな目で私を見ていた。


彼女と二人で私が倒れていたという場所に来てみた。

そこは学院の敷地内の旧校舎と新校舎の間にある通路だった。

これといった特徴がある場所でもなかった。

当時の状況は彼女が詳しく警備員から聞いていた。

「夜間帯は何回か同じ場所を巡回しているそうです。

最初の巡回ではあなたはおらず、2回目の巡回時にこの場所でうつぶせで倒れていたと。」

「ここに転移してきたと。」

あの夜のことは守衛室のベッドで目覚めたときの記憶からしかない。

なぜ私は外で倒れていたのか。

「実は私も記憶喪失になっているだけでどこが別の場所に住んでいたということはないですかね。

この世界に人間だけの街みたいなのがあってそこで暮らしていたとか。」

「人間だけの獣人すらもいない町というのはあります。

法律で獣人を差別することは禁止ですし、獣人を差別する人が少ないのも事実ですがまったく差別がないというわけではありません。

そういう人たちだけが集まって壁を作り生活をしているというのは聞いたことがあります。

この国ではないですが他の国の話になります。」

「それだと私が獣人を見たことがなくてここで目が覚めて初めて見たと言うのも辻褄があいますね。」

「外国のことはわかりませんがこの国ではマエダさんが転移する以前に行方不明になった方の記録を確認していますがマエダさんに該当する人はいませんでした。

外国からわざわざここまで運ぶと言うのも現実的ではありません。」

そうなのか、ということはやはり自分は転移者なのか。

そして帰る方法もないという。


「私と同じように転移されてきたという方に会って話すことはできるのでしょうか。

同じ体験をした者同士警戒心もないと思うのですが。」

「それは。。。ちょっと難しいかな。

個人情報保護法という法律がありましてマエダさんの立場ではそういう情報を私が提供することはできないです。」

すみませんと彼女は頭を軽く下げた。

「いえいえ。そういう法律なら元の世界にもあったので大丈夫です。法律があると確かに難しいですね。」

「そういう人たちの患者会みたいなのもないので現状そういう方に会う方法はないですね。」

この世界にただ一人というわけか。

同じ転移者から話を聞ければ何かヒントを得られるかもしれないと思っていたがどうやら無理のような。

こっちに来て2か月以上が経った。

同じ時間向こうの世界でも経っているならば私が行方不明になって2か月ということだ。

恋人も離れて暮らしていた家族も悲しんでいるだろう。

私はわかりましたと言い、自宅に帰ることにした。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


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