第3話 異世界事情聴取
元の世界、こちらから見たら異世界のことであるがその記憶を保持しているということでエルミナ先生がぜひとも研究に協力してほしいと依頼してきた。
研究への協力と言っても週に一度先生と面談をするだけ。
よくわからん装置とかで計測するのかと思っていたがそんなことはなく空いている教室を使って先生と異世界について話していた。
社長も先生とは知り合いらしく”行ってこい”と許可をくれていた。
今日は先生との研究の日であった。
いつものように魔法学院の教室に入るとすでに座って待っていた。
高校時代の教室を彷彿とさせる。
「自分が高校生だった時を思い出しますね。」
「マエダ ケンスケさん、お疲れ様です。そうなんですね。では本日は異世界での学校教育システムについてお話を伺ってもよいでしょうか。」
「はい、それで大丈夫です。」
と頷いた。
彼女を見ていると元の世界にいた恋人を思い出す。
雰囲気がよく似ている。
出会ったときからそう思っていたが面談をするたびにその意識が強くなっていく。
世界には自分に似た人が3人いるというが異世界でも同じなのだと感じていた。
彼女と学校教育システムについては話し合いを進め、彼女は熱心にノートパソコンで記録を取っていた。
「不思議ですね。異世界の話を聞いているとは思えないほど教育システムが似ていますね。」
「SFものだと実はこの世界は未来の世界だったというオチがありそうです。」
「その線も捨てきれないですね。十分に可能性はあると思っています。
転移したというだけで言わば空間をワープしたわけです。
その際に時間も超えた可能性はあります。」
「ではこの世界か、私がいた元の世界が同一世界の可能性があると。」
「それか同じ宇宙にある別の惑星という可能性もあります。
むしろ並行世界に行くよりも空間をワープしたと考える方が自然かもしれません。」
「でもそれだとどうしてここまで似ているのでしょうか。
どちらかが未来の姿なのだとしたらもっと発達していてもおかしくないでしょうか。」
「それについては収斂進化の概念が使えるかと思っています。」
「しゅうれんしんか?」
「異なる系統に属する生物が環境に適応した結果同じような見た目になるというものです。
ですからこの世界とマエダさんがいた世界も同じような産業の成長をしたのではないでしょうか。
それによって同じような道具が生まれ、私たちは同じような生活をしているということです。」
「んー、それだとこの世界には魔法がありますよね。
魔獣だって現実にいるし魔法使いもいる。
それなら魔法使いの影響がもっと生活に反映されていると思うのですが。」
「魔獣に関しては保護官として働かれているのでご存じでしょうが、一般の野生動物よりも強いですが武器を持った人間よりも弱いです。
1対1でなら魔獣が勝つ場合でも実際は人間は束になって数の力で勝ちます。
魔獣だろうが凶暴な肉食獣だろうが人間からしたら大差はないです。」
「確かに、街中に動物園があって折にライオンとかトラがいますが私たちは危険だとか脅威だとか一切思っていませんでしたね。」
「同じことが魔法使いにも言えます。
魔法使いになるには両親の両方か片方が魔法使いでないと基本的には魔法は使えません。
古来魔法使いの家系は秘密主義で一族以外には自分の魔法を明かしてきませんでした。
その結果魔法使い単体では強くても彼らは協力するということがめっぽう苦手だったと言われています。
今でこそ魔法学院がありますがこれは魔法使いと人間との戦争が終わった後に人間主導で作られたシステムです。
戦争で多くの魔法使いが滅んでしまい魔法存続の危機になり生き残った魔法使いたちの中にも協力する必要性を認識したものがいました。
ただそれだけでは永く外部に漏らさず秘匿していた秘技を開示させることはできませんでした。
人間がその武力で半ば強引に開示させ今の学院の基礎が築かれました。
魔法使いは数が少ないにも関わらず互いに協力できなかった一方、長年武器を改良しとうとう魔法を並ぶほどに発達させた人間がその数でもって戦争に勝利したのです。
戦争に負けてしまった魔法は歴史の表舞台から去り魔法を使わない産業が発達したのです。」




