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召喚獣戦士 ヴィオ  作者: 朧月 氷雨


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第59話 死に行く者

「ヴィオ君、危ない」

 メルティアの声が僕の耳を打つ。

 顔を上げると、真っ黒い何かが僕に向かって迫ってきていた。

 『闇色に煌めく巨竜ダークネスグリッタードラゴン』の振り回した尻尾の先端だということはすぐに分かった。

 でも、それをかわすことなんてできなかった。

 迫り来るものに対して、僕の身体は対応できなかった。

 漆黒の尻尾が僕に接触するよりも一瞬早く、メルティナが眼前に飛び込んできていた。

 ドン!と衝撃が襲い、僕の身体を両手で突き飛ばしていた。

 僕は仰向けに、地面へと背中から倒れ込んだ。

 刹那。

「きゃあああああああ」

 悲鳴を上げてメルティナの身体が僕の上を弧を描いて通過していった。

 えっ?

 何?

 僕の上を通過していくメルティナの身体から何か赤いものが飛び散るのをはっきりと見た。

 ビシャリと僕の右頬に生暖かい感触が降りかかった。

 驚きと戸惑いに襲われた。

 今のは……何?

 何が僕の頬に当たったの?

 僕の頭は、すぐには理解できなかった。

 嫌な予感がする。

 いや、ずっと嫌な予感はあった。

 それがまさか、これだったなんて……と、思いたくはなかった。

 思考が追い付かず、僕は仰向けに倒れたままだった。

 『闇色に煌めく巨竜ダークネスグリッタードラゴン』は、ピクリとも動かない僕の様子を少しだけ見ていた後。

 興味を失ったのか、巨大な足を踏み出すと、歩み出した。

 足音を立てて、大地を揺らしながら、メギドの街へと向かって進撃を開始していた。

 僕は、ゆっくりと右手で自分の頬に触れる。

 べっとりと液体が手についた。

 赤い液体だった。

「嘘……でしょう……?」

 慌てて身を起こす。

 僕の身体に異常はなかった。

 メルティナに突き飛ばされて倒れただけだから、怪我もしていない。

 動ける。

 僕は、メルティナの姿を探す。

 少し離れた場所に横たわる人の姿が目に入った。

「メルティナ」

 声を上げて駆け寄った。

「うっ……そんな……」

 駆け寄ったメルティナの姿を一目見て僕は絶望に打ちひしがれた。

 赤い液体が水溜まりのように、そこには広がっていた。

 仰向けに倒れるメルティナの身体から漏れ出ている。

「……ヴィオ君……身体が……動かないの……」

 消え入りそうな声をメルティナが発した。

「メルティナ……」

 僕は絶望に塗れた声を上げていた。

 地面に横たわるメルティナ。

 彼女のおへそから右わき腹がごっそりとえぐり取られていた。

 臓物が飛び出ていて、そこから赤い液体が流れ出ていた。

 とても直視できないような凄惨なありさまだった。

「メルティナ、しっかりして」

 ひざまずき、声を掛けるけれど、メルティナの視線は定まらず、宙を彷徨さまよっている。

 身体を動かせないことに困惑して戸惑っているみたいだ。

 まさか、ここへ来てリベリアが作ってくれた鎧がこうもあっさりと破壊され、メルティナの身体を引き裂くなんて思いもしなかった。

 リベリアが言った通り、最強無敵の鎧なんかじゃなかった。

 過信しすぎていた。

 あの時、メルティナが僕を突き飛ばしてくれなかったら、僕がこうなっていただろう。

 申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 何とかしてメルティナを救わなくっちゃ。

 僕は思考をフル回転させる。

 でも、この惨状をすぐにでも打開できる方法を瞬時に思いつくことは難しい。

 動揺と焦りが、それを阻んでいた。

 それでも無理矢理に捻りだす。

 鳳凰の召喚獣であるフォートレスティーを呼び出して彼女の『審判の炎ジャッジメントフレイム』で、この重傷をどうにかできないだろうかと一瞬考えたけれど、すぐに無理だと僕の頭の中で判断が下る。

 自然治癒力を高めて傷を治す程度の能力しかない。

 今のメルティナは、お腹を深く抉られていて、内臓も損傷している。

 かろうじて上半身と下半身が繋がっているような状態だ。

 こんな重傷を治すことはできない。

 他にメルティナを救う方法はないものかと思考を巡らせる。

 そんな都合のいいものなんてない。

 絶望的だ。

 メルティナを助けることができない。

 何とかしないと、このままではメルティナが死んでしまう。

「ヴィオ君……私……死ぬの……?」

 か細い声でメルティナが呟いた。

 自分の状態がはっきりとはわかっていないだろうけれど、死を予感しているのだろう。

「死なない……死んだりしないよ……メルティナを死なせない」

 僕は声の限り叫んだ。

「どうして……泣いている……の?」

「どうしてって……」

 僕は瞳から大粒の涙を零していた。

 溢れてきて止まらない。

 泣いている場合じゃない。

 メルティナを救わないと、本当に死んでしまう。

 どうしたらいい。

 僕は、どうするべきなの?

 メルティアには、生きていてほしい。

 せっかく知り合えたんだから、このまま死んでほしくはない。

 でも……。

 メルティナを救うには……。

「……」

 方法はある。

 でも、一つしかない。

 確実とは言えないけれど、間に合えば何とかなる。

 でも、メルティナがそれを望んでくれないことにはどうにもできない。

 まずは僕が決断を下すべきだ。

 それからメルティナに決めてもらう。

 時間はない。

 急がなければ。

「メルティナ、時間がないからよく聞いて。そして、メルティナが選んで決めてほしい」

 メルティナに向かって大きな声で叫ぶ。

 彼女は意味が分からないといった表情をしていた。

「今のままだとメルティナは確実に死んじゃうよ。でも、メルティナを助ける方法がたった一つだけある。だから、よく聞いて」

 宙を彷徨さまよっていたメルティナの視線が僕に定まった。

 じっと僕のことを見ている。

「メルティナを僕の召喚獣にする」

 僕の言葉にメルティナは、驚いたように瞳を見開いていた。

「僕の召喚獣たちは、みんな元々は人間だったんだ。今のメルティナのように皆、死にかけていた。それを僕が召喚獣に変えて救ったんだ……ううん……救ったなんて言えない……命を長らえさせただけかもしれないけれどね……」

「皆……人間……?」

「そうだよ。みんな元々は人間だったんだ。だから、僕の召喚獣は人間の姿になれるんだよ」

 衝撃的な告白だったかもしれない。

 メルティナは理解できないといったような顔をしていた。

 人間を召喚獣へと変えたんだから、元々の姿である人間の姿に戻すこともできる。

 だから、僕の召喚獣は動物の姿から人の姿に変わることができるんだ。

「メルティナを僕の召喚獣にすれば、命を救うことはできる。でも、人間ではなくなっちゃう。僕の召喚獣になってしまう。それでもいいのなら、メルティナを助けることができる」

 力強く叫ぶけれど、メルティナからしてみたら、こいつは何を言っているんだろう?と思っているかもしれない。

 人間を召喚獣にするなんて聞いたことはないと思う。

 だから、すぐに信じてくれるとは思ってはいない。

 でも、救える方法があるのなら、それにすがってほしいとも思った。

 これは僕のエゴでもあるので、無理強いはできない。

 いや、無理強いはしたくない。

 メルティナに後悔をさせる結果にも繋がりかねないからだ。

「私が……召喚獣に……?」

 戸惑いの声が漏れた。

「そうだよ。メルティナが召喚獣になれば、命を助けられる。このままだと、メルティナは死んじゃうよ」

 必死に訴えかける。

「僕はメルティナに生きてほしい。死なないで、メルティナ」

 メルティナの手を握りしめて叫ぶ。

「はは……役立たずの……召喚獣になる……わよ……」

「それでもかまわない。メルティナが生きていてくれればそれでいい。死んでほしくはないんだ」

 ポロポロと零れ落ちる涙が、握るメルティナの手に落ちて弾けた。

 涙が止まらない。

 泣いている場合じゃないのに。

「……」

 メルティナの視線が再び宙を彷徨いだした。

 迷っているのだろうか?

 いきなり、僕の召喚獣になれば命は助かると言われて、「ハイ、なります」って答える人の方がまれだ。

 迷うのは、しょうがない。

 でも、迷っている時間はない。

 メルティナの命のともしびが消える前に、召喚獣に変えなければ、本当に死んでしまう。

「メルティナ、もう時間がない。僕の召喚獣になって生きながらえるか、それともこのまま死を受け入れるか……メルティナが選んで」

 彼女に決断を迫る。

 酷な決断かもしれない。

 僕が、今のメルティナの立場だったら、ゆっくりと考えさせてほしいと思うことだろう。

 でも、悠長に思案している時間はない。

 お腹をごっそりと抉り取られて生きているだけでも奇跡に近い。

 あとどれだけメルティナの命は持つのだろうか。

 握っているメルティナの手から徐々に力が失われているようにも感じられる。

 メルティナの生命活動が終わりを告げようとしているのは明白だった。

「メルティナ、決断して」

「……」

 反応は返ってはこない。

「メルティナ、死んじゃだめだ。生きて……」

 メルティナの手をぎゅっと握った。

「……良いわ……なるわ……」

 メルティナの口から小さな声が漏れた。

「メルティナ?」

「ヴィオ君の……召喚獣に……なる……」

 力を振り絞ってメルティナが答えてくれた。

「まだ……死にたくないもの……」

 握っていた手を握り返してきてくれた。

 弱弱しい力だったけれど、はっきりと握り返してくれた。

 生きることを諦めていないことを示してくれた。

「良いんだね?」

 再度、尋ね返す。

 メルティナは、首を小さくだったけれど縦に振った。

「わかった。すぐに召喚獣に変える儀式を始めるよ。メルティナ、もう少しだけがんばって、絶対に死なないで」

 大きな声を張り上げて、僕は立ち上がった。

 メルティナが決断してくれたんだ。

 あとは、僕が精いっぱい頑張るだけだ。

 メルティナを召喚獣に変える。

 僕の魔力と引き換えに、メルティナの命を絶対に助ける。

 両手を前に突き出し、横たわるメルティナの身体を覆う様に魔法陣を描き出す。

 光の魔法陣は、淡く発光していく。

「我は求める。たけき獣を。我とともに生き、我とともにその道を歩む者を」

 僕が呪文の言葉を紡ぐと、メルティナを包み込む魔法陣の光が輝きを増していく。

「深き絆により、我が魔力を与えし者を聖なる獣へと変え、の者に新たな力と姿を授けよ」

 魔法陣から天に向かって光の柱が立ち上る。

 光の色は、白、黒、赤、黄、青、緑、紫、茶色の八色。

 魔法陣を中心に八色の光がグルグルと回転しだした。

 メルティナの姿は、その八色の光の柱に完全に飲み込まれていった。

「メルティナ、召喚」

 突き出していた手を上空へと振り上げて、彼女の名を叫びながら振り下ろした。

 魔法陣から立ち上る八色の光の柱がグニャリと形を変え始めた。

 八色の光は絵の具を混ぜ合わせるかのように混ざり合って行く。

 茶色は他の色に引っ張られて千切れながら飲み込まれ、黒と紫は混ざり合ってどす黒く変化して行く。

 青と緑も混じり合い濃紺へと変化し、赤も千切られるように他の色に徐々に飲み込まれていった。

 色の変化が激しい。

 茶色、黒、紫が黄色い光に飲み込まれて消えていった。

 青、緑、赤も白い光に飲み込まれて消えていく。

 残った黄色と白が激しく絡み合い、混じり合っていく。

 最後に残ったのは、白い光だった。

 白い光だけが強く発光している。

 白い光に包み込まれたメルティナの身体が人の姿から召喚獣の姿へと変化し始めた。

 どんな召喚獣になるのかは僕にもわからない。

 選ぶことはできない。

 その人にあった召喚獣の姿に変わるからだ。

 何がどんな基準で変わるのかもわからない。

 でも、どんな召喚獣になったとしても、メルティナが生きてさえいてくれればそれだけでいい。

 たとえ力がなく、無力な召喚獣だったとしてもかまわない。

 これまで一緒に旅をしてきた仲間だ。

 目の前で、その尊い命を散らすことだけは見たくなかった。

 メルティナに死んでほしくはなかった。

 だから、ここからは僕が頑張らなければならない。

 メルティナが完全に召喚獣に変わるまでは、魔力を放出し続けなければならない。

 魔力が途切れてしまったら、失敗してしまう。

 失敗はすなわち、メルティナの死と同じだ。

 僕がメルティナを殺すことに他ならない。

 そんなことにならないために全力で魔力を放出するしかない。

 今日は何回も召喚獣を呼び出したり、成獣化させたりしていたので魔力が少し心許無こころもとないけれど、メルティナが応じてくれたんだ。

 命を懸けてでも、魔力をほとんど使いきってでも、メルティナを救わなければならない。

 これが僕の決断だ。

 何が何でもやらなければならない。

「メルティナ、頑張って」

 そう声を掛けながら、僕は魔力を放出し続けた。

 白い光に包まれたメルティナの身体は、炎の揺らめきのように常時形を変え続けている。

 まだ形が定まらない。

 形が決まれば、すぐにでも召喚獣として生まれ変われる。

 でも、なかなかその姿は定まる気配を見せてはくれなかった。

「うぐぐぐぐ……」

 急に僕の魔力が引っ張られるような感覚に襲われた。

 メルティナを召喚獣へと変えるための魔法陣に僕の魔力が吸い取られていっているみたいだ。

 魔力を送り出しているのに、さらに吸い取られているような感覚に襲われた。

「何?僕の魔力が吸われている?」

 強引に奪い取られている感じがして、ちょっと気色悪い。

 こんな感じは初めてだった。

 他の人たちを召喚獣に変えた時は、こんな感覚はなかった。

 すぐに形は定まり、新たな召喚獣は誕生したけれど、メルティナは未だに形すら定まっていない。

「えっ?どういうこと?魔力が奪われていく……このままだと、僕の魔力がなくなっちゃう……失敗しちゃう……」

 魔力を放出しながら踏ん張るしかない。

 魔力を切らしたら終わりだ。

 メルティナの命がかかっている。

 何が何でもやり切るしかない。

 でも、このまま魔力を放出しながらも、さらに追加で魔力を奪われ続けたら、絶対に僕の魔力は持たない。

 早く召喚獣になってと心の中で叫んだ。

 どうしたらいい?

 どうしたら?

 ふとした瞬間。

 僕の腰のポーチが淡く光っているように見えた。

「何?」

 魔力の放出を続けながら、僕は右手でポーチを開く。

光属性の魔力宝珠シャインオーブ

 ポーチの中に納めていた丸い石。

 光属性の魔力宝珠シャインオーブが淡く光を発していた。

「これだ」

 この光属性の魔力宝珠シャインオーブは、岩人形ロックゴーレムを動かすほどの膨大な魔力が蓄積されている。

 この魔力宝珠マジックオーブの魔力を魔法陣へと流し込めば、僕の負担は多少なりとも軽減されるはず。

 僕は、ポーチから魔力宝珠マジックオーブを取り出すと右手で掴んでかかげる。

 光属性の魔力宝珠シャインオーブに蓄えられている魔力を魔法陣へと向けて放った。

 刹那。

 フッと僕の身体から奪い取られる魔力の量が減った。

 やった。

 これなら少しは楽ができそうだ。

 そう思ったのも束の間だった。

「うぐっ……何で……?」

 さっきよりも強い力で僕の魔力が強引に引っ張られていく。

「魔力が奪われる……」

 光属性の魔力宝珠シャインオーブの魔力を魔法陣へと送り込んでいるのに、僕の魔力も奪われていっている。

 訳が分からなかった。

「うぐぐぐぐぐ……」

 堪えるしかなかった。

 光属性の魔力宝珠シャインオーブの魔力を放出しながら、僕の魔力も放出しなければならない。

 さらにそれを上回り、僕の魔力が強制的に奪われていく。

 もうどうしていいのかわからない。

 でも、わかっていることだけはある。

 このまま魔力の放出をやめることだけはできない。

 まだ、メルティナの姿が召喚獣に変化しきっていないからだ。

「早く……召喚獣に……」

 思わず口をついて漏れてしまった。

 諦めてしまいそうになるけれど、僕がメルティナに召喚獣になるように勧めたのだから、それはできない。

 何が何でもやり切って見せないといけない。

 でなければ、僕は嘘つきになってしまう。

 メルティナに死んでほしくないと言ったことも。

 メルティナに生きてほしいと言った言葉も嘘になってしまう。

 僕は本当に。

「メルティナに生きていてほしいんだ。召喚獣になったとしても、生きていてほしいんだ」

 気合とともに魔力を絞り出した。

 炎の揺らめきの様だったメルティナの身体が、何かの形を形作り始めた。

 動物の姿に変わりつつある。

 もうひと踏ん張りするしかない。

 光属性の魔力宝珠シャインオーブがなかったら、すでに魔力が尽きていて失敗してたかもしれない。

 そう思った時だった。

 右手に握っていた光属性の魔力宝珠シャインオーブが点滅しだした。

 白と黒の点滅を繰り返している。

「何?光属性の魔力宝珠シャインオーブが……?」

 初めて見る現象だった。

 淡い光を発していた光属性の魔力宝珠シャインオーブが光を失って黒くなり、再び淡い光を発してをくり返している。

 その点滅は、徐々に早くなっていく。

 何が起こっているのか、すぐには理解できなかった。

「まさか……」

 白と黒の点滅は、早くなるとともに白い光は弱くなっていっているようだった。

 そして。

 ついには、光属性の魔力宝珠シャインオーブから白い光が消え失せた。

 真っ黒な石に変わり果ててしまった。

 ビシッ……。

 嫌な音がした。

 見れば真っ黒になってしまった光属性の魔力宝珠シャインオーブに亀裂が走っていた。

 そこを境目に光属性の魔力宝珠シャインオーブは真っ二つに砕けてしまった。

「嘘でしょう?膨大な魔力が蓄積されていた光属性の魔力宝珠シャインオーブが……死んだ……?」

 光属性の魔力宝珠シャインオーブは、蓄えていた膨大な魔力を失って自ら砕けたようだった。

 どれだけの魔力がメルティナを召喚獣に変えるために奪われたのだろう。

 尋常ではない量の魔力がメルティナに集中しているはずだ。

 光属性の魔力宝珠シャインオーブの魔力がなくなった途端。

 僕からその分の魔力を吸収するかのように奪われ始めた。

「うぐぐぐぐぐ……」

 きつい。

 こんなにも魔力を搾り取られるのって、ポンティーヌを究極進化させた時以来だ。

 もう、僕の魔力もきそうだ。

 ごめん、メルティナ。

 メルティナを助けられないかも……。

 僕には、もう魔力がほとんど残っていない。

 魔力が尽きる。

 そう思った時。

 魔法陣の中の光が、ある一定の形で固定された。

「間に合った?」

 思わず叫んでいた。

 固定された光は、まばゆいばかりにパッと弾けた。


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