クリスマスパーティー①
…なんだこれは
「はい英雄、あーん」
「ちょ、ずるいぞニコラ!勇者殿、私のも食べてくれっ!」
「英雄様、お水です」
「ずるい、私だって…」
「オルネラ邪魔、勇者様!こっちも美味しいですよ?」
「あ、あぅぅ…姫様まで」
「…なぁ、ミーナ」
「は、はい」
「なんでこいつら連れてきたよ」
「も、申し訳ございません、英雄様がどうしても力也様とお食事がしたいとおっしゃるので、ソフィーと用意してしまったんです…こんなことになるとは」
「英雄のやつ俺の方全然見てねぇぞ…俺と食う意味無いだろ…ったく、なんか重要な話でもあるのかと思ったら、ハーレムの自慢か何かか?」
「も、申し訳ありませんっ!今後は気を付けます」
「ミーナのせいじゃねぇよ…ったく」
今は既に12月中旬、こっちの世界に来たのが9月の頭だったから4ヶ月目になるな…
俺は大体騎士隊の修練や魔物の討伐等に参加して修行してきた。まだ人を殺すことはしてないが本気のカルタと殺り合い、勝てるようにはなった。とりあえず向けられる殺気に慣れたら普通にいけた。こんなところでガキの頃からの鍛練が実を結ぶとはな…人生ってのはわからないもんだ。魔法剣士隊の修練にもちょくちょく顔を出してるから顔見知りは増えたと思うが目の前、前の世界同様にハーレムを作る英雄には…はぁ
まずハーレムメンバーがおかしい。俺らを召喚した召喚の巫女ニコラ・リリアール、魔術師大隊長ナタリア・レッキア、魔法剣士大隊長オルネラ・サヴィーナ、第三王女ルナ・フェリーニ、英雄付き侍女ソフィー…
「はぁ」
召喚の巫女は国のナンバー2と言ってもいい地位だぞ?それにこの国の戦力の中核をなす大隊長二人に王女…はぁ
「英雄よぉ」
「ん?どうした力也」
「お前なんで俺と一緒に飯食いにきた?」
「えっ?そ、そりゃこっちの世界にきて全然一緒に居られないから…こういうときくらい…」
「…キモい」
「えぇ!!?そ、そんな!!?」
「なにいってるんですかあなた!勇者殿がキモい!!?何様のつもりですか!」
「そうですよ!せっかく勇者様がお食事をともにしようとわざわざ出向いてるんですよ!!?」
「そうですよ、まったく…勇者は英雄だけでもよかったのに、なんであなたも着いてきたの?」
「あ、あわわわわ、みんなやめた方が…」
「皆!力也にそんなこと言うなよ、力也は理由なくそんなこと言わないから!」
…やめてくれ、ホモホモしい
「……はぁ、英雄」
「な、なんだ?」
「なんかあるなら別に手伝ってやるし話し相手にもなるし、飯も食うよ?だがな、今度何かあるときは一人で来い。そうじゃなきゃ相手にはしないからな」
「え!!?な、なんで?皆で仲良く食べたら…」
「それが無理だからだよ…ったく。ごちそうさま、ミーナ」
「は、はい」
「お、おい力也!」
後ろから英雄の呼ぶ声がするが気にしない
はぁ、騎士隊に混ざるかなぁ
「こんなところにいたか力也」
「ん?…姫さんか、なんのよう?」
話しかけてきたのは第一王女のリリス・フェリーニだった
「クックック、私にそんな口をきけるのも父上と母上、魔王殿を除いたら力也くらいじゃぞ」
「別に気にしてないんでしょ?ならいいと思ってさ…で、用はなに?探してたみたいだけど」
「ふむ、話があるから勇者二人を集めろとの魔王殿のご達しでな。この頃力也と話してなかったと思って連絡係に名乗り出たまでだ」
こっちはなんか嫌な予感しかしないから避けてるんだがな…まぁ露骨には避けてないから気付かれてはないと思うけど
「なるほどね。なら英雄は俺の部屋にいるよ。姫さんの妹もね」
「はぁ、ルナのやつまたか…分かった。場所は謁見室だからな。先に行っててくれ」
「了解」
…はぁ、あの人のカリスマ性?人の上に立つ為に生まれてきたとしか思えない雰囲気には疲れる。この国トップレベルの魔法剣士ってのも笑えないな
…
……
「そろったな」
王族、魔王、勇者が揃ったら、魔王がそうきりだした
「お主たちにははじめての仕事じゃ」
仕事、ね…勇者か
「まぁ今回のはお主らの紹介をかねたクリスマスパーティーに参加してもらうだけだし、簡単だな」
クリスマスパーティー…?
「あぁ、元の世界ではなかったか?前の世界のやつは時期は違うが似たようなものがあったらしいが」
「いえ、僕たちの世界にもありました。時期も名前も一緒です」
…これは異常じゃないか?こっちの世界と元の世界、共通点や相似点が多すぎる
「そうか、なら良い。やることはまぁ食事をして他の国のお偉いさんと話してくれればそれで良いさ」
「分かりました」
「うむ。会場はこの国の首都、つまりここでやるからな。着替えなどは用意させるからあまり気にするな」
「はっ」
「黒戸力也よ、お主は分かっておるのか?」
さっきまで返事してたのは全部英雄だ
「…大丈夫だ」
チッ,こいつに勝つにはまだまだ力量不足だな
「ふん、まぁよい。24日じゃからな、頼むぞ」
それだけ言って勝手に立ち去る魔王
「…はぁ、なんなんだよあの化物」
「一応対面上はこの国最強だからな」
「…姫さんか」
「どうじゃ?このあと修練じゃろ?久しぶりに立ち合わぬか?」
「そうだな…そうなると1ヶ月ぶりだな、楽しみだ」
何だかんだでこの人は強いから良い修練になる
「よし、そうと決まればすぐ行くぞ!」
はいはいと頷きながら先に行く姫さんに続く
…
……
「よし、先に膝をついた方が負け、それで良いな?」
「了解」
1ダウンで終わりか…なら
「「武器創造」…さぁて、始めようか」
創造魔法で短刀を二本造り出す
今の俺は日本刀をはじめとして、ある程度の武器を創造できる。周りからは武器と判断されないようなものまでも、な
まぁ今回は普通に武器だが
「…短刀?まぁ良い、行くぞっ!」
そう言って姫さんが一瞬で間合いを詰めて横凪ぎに直剣を振るってくる
この直剣は聖剣の一種らしく、魔の者、つまり魔物の類いに多大な効果を出すとか出さないとか…てか一国の姫だよね?この人
ガキィィ!
二本の短刀を逆手に持ち、左手のほうで抑える
「ちぃ、相変わらずの馬鹿力がっ!」
キィィィン!
「なっ!!?」
力に対抗して思いきり踏み込んできたところで敢えて力を抜き左手の短刀を弾かれる
すかさず右手の短刀で斬りかかると半端ない反射神経で聖剣をつかい受け止められる
だが体勢が悪い
「よっ!」
力任せに抑え込めば
「くっ!!?」
ガッ
膝をつく
「そこまで!勝者力也!」
審判係のカルタの声で手を引く
「くぅ、また強くなったか?力也…」
「最後に姫さんと修練したのは1カ月も前だからな、当たり前だろ」
「くっ、あそこで力任せはダメか…だが前引いたときは懐、短刀の間合いにはいられたし」ブツブツ
「よし、次は俺だ力也!」
「おーけー、やろうか」
このような一瞬で決着がつくやつを何度も何度も、時間が許す限りやりつづける。このトレーニングは細かいところでの駆け引きが重要で、自分ができることの中から最適な行動を選ぶ力を育てられる。これはやはり経験がものをいうからカルタが強い。俺は完璧な経験不足だから経験者のカルタやカールとよくこれをやってる
「よし、行くぞっ!」




