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原稿が上がるまで  作者: 御園 秀吉
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どんな人ですか?


「俺は、作家だぁ~ でしょ?」


みんな、盛り上がってる。

なんだろ?


「千穂って、マメだよね。」


「え?なにが?」


「だって毎日、お昼作ってきてるじゃん。」

同じ部署の舞ちゃんが私のお弁当を見ながら話しかけてきた。


「そうかなぁ?」


「うん、私には無理。」

言いながら、舞ちゃんは社食で売ってるサンドウィッチを食べてる。


「まぁ、一人暮らしだからね。」

「ところで、みんな何話してるの?」


「あ~茶井さんのことじゃない?」


「たいさん?」


「え?千穂知らないの?」

「月刊「群青」の茶井新之助、有名じゃん。」


「え?作家さん?」


「あ~違う違う、茶井さんは編集。」


「へぇ、そうなんだ。」


「まぁ、うちほど大きくなるとね、知らない人いても不思議じゃないし。」


茶井新之助さんか…


「なんで有名なの?その人。」


舞ちゃんがすごく悪そうな顔をした。


「めっちゃイケメン。」

「しかもT大文Ⅰ卒だからね、超優良物件。」


「物件って、その人に失礼だよ…」


「いいの、いいの、どうせ他の女に持ってかれる人だし。」

「私はチラシ見てニヤニヤ出来たらいい人だから。」


「ふーん、そうなんだ。」


よくわかんないや。


「でもなんで、「俺は、作家だ~」なの?」


「あ~それね…」

「実は担当してる作家がね…」

「色々とね…」


「?」


「『御園秀吉』って知らない?」


「あ、知ってる!ちょっと前、話題になったよね?」

「『純文学界のホープ』とかって。」


「あ~知ってるんだ…まさかファンとか?」


「ちらっとしか知らない。」


「そっか…茶井さんが丸川(うち)の担当編集なんだよね、御園秀吉の…」

「色々とある作家さんらしくてさ、私も詳しくは知らないんだけど…」


「アパートを全焼させるわ、締切守らないわ、この間もうちのエントランスで暴れるわ…」

「大変だったらしいよ。」

「そん時、警備に『俺は作家だ~』って叫んだんだって。」


…怖い人なんだ…会いたくないなぁ…




「すいません。」


「あ、はい。」


「経費処理をお願いしたいんですが。」


「はい、少々お待ちください…えーっと、たいさん?」


「え?」


「あ、すいません、さいさんでしたか?え?ちゃいさん?」


「いえ、合ってます…茶井(たい)です。」


「間違えたかと思っちゃいました。」


「あ…いえ、初対面の人にちゃんと名前呼ばれたの初めてだったんで。」




「千穂!さっき茶井さんと喋ってた?!」


「え?あーさっきの人?」


あの人が茶井さんなんだ。


「いいなぁ、どんな匂いした?」


「え?匂い?」




取材費用で映画かぁ、いいなぁ編集さんって。

しかも「リトル・ミス・サンシャイン」良い映画だよね。

二名分で同行者は「御園秀吉先生」。

でもこの人ちゃんと時間とか申請書に書いてる。

マメな人のかな?


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