↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

ー某所ー


薄暗い部屋で男の声が響く。


「どうだったかね?実験の方は。」

「実践データは上手く集められました。これで何時でも次の計画に移行できます、所長。」


研究員らしき男が答える。


「よろしい。期待していた以上であるな、この魂獣の力は。末端の戦闘員とはいえ、経験豊富な異能者7人を相手に、60秒もかからず全滅させるとは…素晴らしい出来だ。」


所長と呼ばれた男は嬉しそうに笑う。


「このまま進めたまえ。私は次の作品に取り掛からねば。あー楽しみだ。」


所長はにやけた顔のまま部屋を出ていこうとする。


「お待ちください。」


研究員の男にそう引き止められ、所長は少し不機嫌そうな顔になる。


「なんだね?私の研究の重要性は今しがた理解してもらったはずだが?」

「失礼を。ただ、現場の処理班から懸念点が上りまして。報告によると、隊員の死体は7名分だったそうですが、近くにあった装甲車の座席には8名分の指示書が残されていたようで。」


研究員の男が言った。


「ふむ、1人取り逃した可能性があると?」


所長が顎に手を当て男を光の無い瞳で見つめる。


「そうです。それと、魂獣ですが、回収不可能なほど損傷が激しかったようです。」


研究員の男が言った瞬間、所長の目が見開かれる。


「ありえん!回収不可だと!?一体いくら注ぎ込んで創り出したと思っている?アレはこの私が心血注ぎ込んで、対異能者用に開発した最高傑作!あの魂獣の攻撃を耐えることすら異能者には不可能であるのに、撃破されるほどの損傷だと?背中のカートリッジが誤爆したと言うならまだわかるが!?」


ありえないと声を荒げる所長。


「撃破された線は薄いでしょう。私も誤爆による能力の暴走と考えます。ただ不可解な点が、あの魂獣には自身の能力のように潰れた外傷がありましたが、その潰れ方は異常です。仮に暴走した自分の能力で潰れたとしても、あそこまではならないかと思うのです。」


冷静な声で研究員の男が答える。


「信じられんな…。」


所長は納得できていないようだ。


「それと。」

「まだあるのか?」

「はい、戦闘データにある魂基底層《こんきていそう》の数値が異常です。魂獣による磁場の乱れの数値はコレです。」


研究員の男が指を指し、次にもう1つの数値を指さす。


「魂獣が攻撃を行った後、魂基底層の数値が異常なほど跳ね上がり、直後、数値が日常的な値に戻っています。」

「馬鹿な。魂獣が倒れたとはいえ、一度乱れた魂基底層は数日かけて元の数値に戻るはず…。このような魂獣が存在していなかったような数値になるはずが…ありえん。」


所長は前例のない事態に取り乱しているようだ。


「私も信じられませんよ。機器の故障ならわかるのですが、他のセンサーが拾った数値を見ても同じ結果です。」


研究員の男も同意する。


「もう少し詳しく調べる必要があるようだな。圧倒的なエネルギーの爆発と、正常化の力? は!そんなもの両立するわけがない!」

「はい、私もそれには同意見ですよ。色々と気になる点はありますし、数値の方はおいおい調べるとして…。今は現場にいたと思われる8人目をどうするか考えましょう。」


研究員の男が声音を変えて言う。


「ふん、そんなの決まっておるわ。現場を見られて生きていられるのはまずい。すぐに調べ、対象を処分せよ。」


所長は感情のこもってない瞳でそう告げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。