02 試験監督
「…こ、こちらが冒険者カードになります。紛失など無いよう気をつけて管理してくださいね。それでは…」
「…ふむ、まさかギルドの方の心からやりに行くとは恐るべし」
「…?まぁ、実技も受かったんだしいいじゃないか!」
「わぁ………この世界の脳筋癖と日本人としての知識が重なって大変なことになってる…ギルドの方ドン引きしてるけど君一体何したの?」
「いい質問ですね〜」
「唐突に流行語大賞使わないでいいから早く早く!」
「随分と辛辣な…というかお前観戦してたんじゃ………」
「細かいことはどうでもいいの!!!」
しゃあねえなあ…
時は少し遡る…
さて、タマヤと別れを告げて……といってもアイツは観戦するらしいけど……
実技試験会場まで来たはいいものの、ギルドの方からなんの指示もされない。どういうことだよ
そんなことを考えていたらいきなり目の前に1人の女性が現れた。
テレポートの類いだろうか…?登場の癖が強いなぁ…
「今から、実技試験を開始します」
「よろしくお願いします」
「本日は森の中での実技です」
「うわぁ森の中だ」
「あの教官意地悪だなぁ」
なにやらうるさいヤジが飛んできているが気にしない気にしない
「了解です。よろしくお願いします」
「今回は、冒険者志望者同士が戦い勝った方が冒険者になれる方式を取り入れますのでよろしくお願いします。それではお互い散らばってください!」
おい、ちょ、ちょっ…と待て
「あれ?つまりこれって受験者同士が戦うってことですか?」
「はい。そうですね。というかそう言いました」
なぜこのお姉さんはこんなにも毒舌なのか。違うか。俺が聞き返したから当たり前のことを返しただけか
まぁどうでもいいか。今の俺なら誰にだって負ける気がしないぜ………ふむ…それじゃあまずは山の上に行くか…
「20秒前!………………10秒前!………」
…うん。ここなら相手もよく見えるし魔法も使いやすい
「3!2!1!…はじめっ!」
試験監督のはじまりの合図で同時に動き出す
まぁ、動き出すって言ったって俺は茂みの中から相手の動向を眺めるだけだけど
…ふむふむ、まず相手が木をなぎ倒して俺を探しに…木をなぎ倒して…?????
知識を得てから改めて見るとやっぱり脳筋というかなんというか………
「まずは潜伏しつつ近づいて…」
後ろから大量の水を…と言いたいところだが、あまりにも枝の音が歩く度にパキパキ鳴ってうるさい………て思ったけど相手が木をなぎ倒す方がうるさかったですわ。こういう時っていずれは潜伏スキルが欲しいなって感じちゃうよね
………脳筋相手に潜伏スキルいるかなぁ…?
…とりあえずそこは置いておいて、相手を観察………
…観察のしようがないやこれ。森がどんどん林になっていってる事ぐらいしかわっかんね
その後も俺は相手を追って追って…相手は木を折って折って……
…そんなくだらない事を考えているうちにもう随分と近づいたが相手はやっぱり気付かない。
背後に回って変顔でもしてやろうかと思うぐらいには気付く素振りがない。なんだコイツ
よし、もう今ここで仕掛けてやろう
「…うぉぉぉ隙ありィィ水生成!!!」
…よし、相手がびしょ濡れになったな。まぁ警戒心なんてなかったんだし当たり前か
あとは凍らせるだけだが…鼻と耳と口は開けておいた方がいいだろうか?いやでもそこら辺制御するのは時間かかるしリスクも上がるし魔力消費えげつないから…
なんて考えてたらもう制御する時間も距離もなくなったじゃねーかよくそたれ!!!!
何度目かもうわからないけども、もうこうなりゃヤケクソだよくっそおおおおおおおおお
「氷漬けッ!!!!!」
「!?」
…よし。なんとか相手を完全に凍結させることに成功したか
それじゃ、あとは目元と口元の氷を割って…
「反射魔法!」
「…?っまぶしっ……うぎゃあああああああああああああ!?!?…っやめてくれ!!降参だこうさっ…いだっ痛い痛い痛い痛い降参だっつってんだろがよおおおおおおおおおお」
なるほど氷漬けだから顔も動かせずに光を直視せざるを得ないと。
魔法のさじ加減で地味にウザイ程度に光の反射率を弱めてるので地味にウザイのだろう。
というか反応が面白すぎてずっと反射してられる。なんだこれ
…なにやら森の外がこれは酷いだの卑怯だの武人としての誇りに欠けるだの凄いうるさい。俺は武人でもなんでもないただのしがないニート冒険者だからいいんだよ
…相手のこと脳筋だぁとか言ったけど俺も大概だなぁ
「そっそこまで!そっ…そこまでって言ってるでしょ!?」
「なにこれ楽し………はい」
「……えっ…と、勝者、カイト様!」
「…という事があってだね」
「ボクに宣言した通りにやっちゃったわけだ。なるほどそりゃドン引きするわけだよ」
「何度も言うけど勝ったんだから問題なし!…ギルドの可愛いお姉さんにドン引かれちゃったけどまぁ…出会いはいくらでもある…はず」
「…やっぱ知識があっても結局はここの世界の住民って感じだね…脳筋戦法………?」
…それは俺も思った
「というか、なんでお前は観戦が上手くできてなかったの?」
「倒れた木が砂埃をめちゃくちゃに上げてたんだ。ボクは別に透視魔法とかそういった類のものは持っていないからね」
「なるほど、つまりタマヤの実力不足だったって事だな」
「!?」
「だってそうだろ。俺ですら基礎の応用で熱感知魔法会得して敵の位置把握できるんだからな?」
「…君がそんなに出来る人間だったなんて…」
「なんて失礼な」




