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エピソード72 存在しなかった検問所

日が完全に落ちる前に、彼らは東門を出た。


先頭を歩くのはランゼだった。


盾はすでに手に持っている。


背中にはない。


その後ろをセイガが進んでいた。


ダークエルフの彼は、道の中央より少し右側を歩いていた。


ショーンゴはやや横に位置していた。


さらに後ろには、ランゼの指示で、新しい訓練組の四人のうち二人がついてきていた。


一人は人間族の若い衛兵で、短槍を持っていた。


昨日までは、道よりもランゼの足元ばかり見ていた男だ。


もう一人は短弓を持つダークエルフの女だった。


まだ矢はつがえていない。


二人の腰には、今日の印である二つ結び目の紐がついていた。


出発前、エンナが門の机で記録して渡したものだ。


残った予備は、門の机の脇にある小さな箱へ戻されていた。


ランゼはすでに二度、同じことを言っていた。


「先に出るな」


若い衛兵が頷いた。


ダークエルフの女は短く答えた。


「了解」


門へ知らせを持ってきた旅人は、セイガの後ろ、新しい勤務組の二人の前を歩いていた。


残った明るさの中で見ると、彼も人間族だと分かった。


日に焼け、埃をかぶり、ありふれた旅装をしている。


なぜ彼がわざわざ止められたのかを説明するような特徴は、何一つなかった。


ランゼが振り返った。


「遠いか?」


旅人は前を指した。


「橋の向こうだ」


「橋の向こうと言っていたな」


「少し先に立ってたからだ」


「どれくらい?」


旅人は少し考えた。


「三十歩くらい」


セイガがすぐに聞いた。


「橋の手前からか、それとも渡り切ったところからか?」


旅人が彼を見る。


「向こう側の端からだ」


「分かった」


ランゼはセイガへ視線を移した。


「なぜ重要なんだ?」


「場所が違うからだ」


「それは分かってる」


「なら、なぜ聞く?」


ランゼは数秒黙った。


ショーンゴがわずかに顔を向けた。


セイガはため息をついた。


「俺も黙る」


旅人には、後ろを歩く新しい勤務組の二人がなぜ小さく笑ったのか分からなかった。


古い石橋へ着いた頃には、太陽が遠くの丘に触れ始めていた。


橋は小さかった。


石造りだ。


橋の縁の古い石には、とうの昔からひびが走っている。


その下を流れる川は、乾季には小川ほどに細くなる。


橋を渡り、三十歩ほど進んだところで、旅人が足を止めた。


「ここだ」


ランゼはすぐに手を上げた。


全員が止まった。


「どこだ?」


旅人は前を指した。


「あそこに縄が張ってあった」


道端の二本の木の間には、もう何もなかった。


縄さえない。


セイガが右側へ移動した。


ランゼが言った。


「遠くへ行くな」


「聞こえてる」


セイガは茂みへ入らなかった。


最初の木のそばで止まった。


しゃがみ込む。


樹皮を見た。


「ここに何か張ってあった」


ランゼが近づいた。


樹皮には細く白っぽい擦れ跡が残っていた。


その下、ほとんど根元のところには、短い繊維がいくつか落ちている。


ショーンゴは反対側の木を見ていた。


「そっちにもある」


セイガが道を渡った。


もう一方の幹にも、同じような擦れ跡があった。


「縄だ」


ランゼは旅人を見た。


「どの高さだった?」


旅人は膝より少し上を示した。


「これくらい」


「馬を止めるためか?」


セイガは首を振った。


「馬や荷車を、いったん止まらせるためかもしれない」


彼は道へ視線を走らせた。


「完全に塞ぐためじゃない」


「ただ止まらせるためだ」


ショーンゴが尋ねた。


「三人はどこにいた?」


旅人が指をさした。


「一人はここ」


「一人はあそこ」


「三人目は少し後ろ」


ランゼは地面を見た。


「痕跡は?」


セイガはもう確認していた。


「ある」


若い衛兵が一歩進んだ。


「見えます」


ランゼがすぐ掌を上げた。


「そこへ行くな」


若い衛兵は動きを止めた。


「なぜです?」


「踏み込めば、痕跡が見えなくなる」


衛兵は足元を見た。


彼の靴は、足跡まであと一歩のところにあった。


ゆっくり後ろへ下がる。


ランゼは道の端を示した。


「回り込め」


「横から見ろ」


「真上からじゃない」


それから、反対側の端にいるダークエルフの女へ頷いた。


彼女は痕跡そのものへ入らないよう、ゆっくり進んだ。


数秒後、彼女が言った。


「三つあります」


セイガが見る。


「何が三つだ?」


「場所です」


彼女は草を指した。


足跡ではない。


茎がそれぞれ違う方向へ押し倒されている、三つの場所だった。


ランゼが近づいた。


「いい」


ダークエルフの女は笑わなかった。


だが、背筋が少しだけ伸びた。


セイガは周囲を回って確認した。


「長く誰かが立っていた場所が三つある」


ランゼが頷いた。


旅人は落ち着かない様子で辺りを見た。


「だから三人だったって言っただろ」


「その証言は役に立つ」


セイガは立ち上がった。


「でも、お前の言葉で痕跡が新しくなるわけじゃない」


旅人は口を開いた。


だが、言い返すのをやめた。


ランゼが先を示した。


「進むぞ」


縄の跡があった場所から少し進むと、道が狭くなっていた。


左には斜面。


右には濃い茂みがあった。


旅人が止まった。


「ここで止められた」


ランゼは周囲を見た。


「よく選んでる」


ダークエルフの女が尋ねた。


「なぜです?」


ランゼは盾で橋を示した。


「橋から来る相手は、ここからもう見える」


次に斜面。


「だが、ここからは曲がり角の先が見えない」


そして茂み。


「もし三人以上いるなら、まだ誰かがあそこに隠れていてもおかしくない」


若い衛兵が茂みを見た。


「確認しますか?」


「しない」


ランゼは顔すら向けなかった。


「なぜです?」


「本当に誰かいるなら、今お前が自分から進む場所を教えたからだ」


セイガが笑った。


「訓練だな」


若い衛兵は顔をしかめた。


「分かりました」


ショーンゴは道の中央に立っていた。


茂みは見ていない。


旅人を見ていた。


「何を聞かれた?」


「もう言った」


「もう一度言え」


旅人は息を吐いた。


「鞄の中身」


「どこから来たのか」


「どこへ行くのか」


「なぜラリオンへ行くのか」


「向こうで誰が待っているのか」


ショーンゴは口を挟まなかった。


「ほかには?」


旅人が眉を寄せた。


「門に衛兵が何人いるか」


ランゼが顔を向けた。


「それは聞いてないぞ」


「思い出さなかったんだ」


ショーンゴは続けた。


「まだあるだろ」


旅人は地面を見た。


「全員を検査するのか」


セイガから笑みが消えた。


「ほかは?」


「誰を通すか決めるのは誰なのか」


ショーンゴが尋ねた。


「何か取られたか?」


「いや」


「金は?」


「取られてない」


「食べ物は?」


「いや」


「鞄は開けた?」


「俺自身に開けさせた」


「中を漁ったか?」


「いや」


ショーンゴはランゼを見た。


ランゼも、もう理解していた。


「少なくとも、荷物を奪うためじゃない」


セイガが言った。


「答えを集めてる」


旅人は落ち着かない様子で鞄の肩紐を直した。


「なら、どうしてラリオンの検査だなんて名乗った?」


ショーンゴが答えた。


「お前に答えさせるためだ」


旅人は黙った。


東から車輪の音が聞こえた。


ランゼはすぐ盾を上げた。


「道を空けろ」


全員が端へ寄った。


曲がり角の向こうから、小さな二輪の荷車が現れた。


一頭の馬が引いている。


前には四十歳ほどの人間族の男が座っていた。


その隣には、緑がかった茶色の旅用外套を着た森エルフの女がいた。


武装した集団を見た男は、勢いよく手綱を引いた。


「またか」


ランゼは男の方へ近づかなかった。


「違う」


男は盾を見た。


次にショーンゴを見る。


彼の目には、ショーンゴはごく普通の若い人間族に見えた。


それから二人の若い衛兵へ視線を移した。


「向こうの連中も同じことを言った」


森エルフの女が男の前腕へ手を置いた。


「待って」


彼女はランゼを見た。


「あなたたちは町から?」


「ああ」


「証明して」


ランゼは、二つの結び目がついた今日の印を示した。


女は紐を見たが、頷かなかった。


ランゼは一秒黙った。


それから旅人を示した。


「こいつが門まで来た」


「それで俺たちをここへ案内した」


森エルフの女が旅人を見る。


旅人は頷いた。


「こいつらだ」


ランゼが続けた。


「それで足りないなら、信じなくていい」


男は眉をひそめた。


「ずいぶん説得力があるな」


ショーンゴが言った。


「だから俺たちはここにいる」


森エルフの女は、少し長く彼を見た。


「あなたは誰?」


「ショーンゴ」


荷車の男が背筋を伸ばした。


「あのショーンゴか?」


ショーンゴは答えなかった。


ランゼが尋ねた。


「お前たちも止められたのか?」


森エルフの女が頷いた。


「三人」


旅人がすぐ言った。


「一人は槍、二人は弓だった」


森エルフの女が彼を見る。


「違う」


「槍が二人」


「弓が一人」


沈黙が落ちた。


旅人は眉をひそめた。


「俺は見た」


「私も見たわ」


荷車の男が言った。


「橋に一番近かった奴は槍を持ってた」


旅人は首を振った。


「あそこは弓だった」


ランゼがセイガを見る。


セイガは急いで結論を出さなかった。


「武器を持ち替えたのかもしれない」


「別の三人だったのかもしれない」


「誰かが見間違えたのかもしれない」


旅人が腹を立てた。


「俺は間違えてない」


セイガは静かに答えた。


「お前だとは言ってない」


森エルフの女が荷車から降りた。


「顔を隠してた」


ランゼが彼女へ向き直った。


「どうやって?」


「高い襟」


「フード」


「二人は布がほとんど目元まで上がってた」


「耳は?」


「見えなかった」


セイガが尋ねた。


「手は?」


森エルフの女は考えた。


「手袋」


「全員か?」


「二人は確実に」


男が付け加えた。


「三人目も、手を外套の中に入れてた」


ランゼはショーンゴを見た。


偽の検問役たちの種族を特定することはできなかった。


少なくとも、外から見える特徴のほとんどは隠されていた。


「何を聞かれた?」


男は指を折りながら答え始めた。


「どこから来たか」


「どこへ行くか」


「何を運んでいるか」


「なぜラリオンへ行くのか」


森エルフの女が付け加えた。


「前にもラリオンへ行ったことがあるか」


「今、東門に誰が立っているか知っているか」


ランゼが眉を寄せた。


「ほかは?」


彼女は思い出した。


「ラリオンは、入ってくる者を全員検査するのか」


「それから、金を払う必要があるのか」


セイガは荷車を見た。


「何か取られたか?」


「いいえ」


「荷物は開けた?」


「袋を一つ」


「連中が開けたのか?」


「いや」


男が荷車の側板を叩いた。


「俺に開けろと言った」


ショーンゴが尋ねた。


「そのあとは?」


「通された」


「それだけか?」


森エルフの女は首を振った。


「その前に、一人が何か印をつけた」


全員が彼女を見た。


「どこに?」


彼女は荷車の後ろへ回った。


後ろの板、ほとんど車輪のそばに、短い白い線があった。


ランゼがしゃがんだ。


見る。


だが触らない。


旅人も近づいた。


「俺にはそんなのなかった」


セイガは白い線を見ていた。


「白墨だ」


新しい勤務組のダークエルフの女が尋ねた。


「街道石にあったのと同じですか?」


セイガはすぐ答えた。


「違う」


彼女は少し驚いた。


「なぜ?」


「石にあったのは傷だ」


「こっちは白墨」


「印のことです」


セイガはもう一度見た。


「形は似ている」


ランゼが言った。


「同じ意味だとは言えない」


「今のところはな」


ダークエルフの女が頷いた。


今度は質問しなかった。


ショーンゴは森エルフの女を見た。


「何を示す印だと思う?」


彼女は意味が分からなかった。


「何を?」


「その線だ」


「お前たちを見分けるためか、それとも荷車を見分けるためか?」


森エルフの女は男へ視線を移した。


男は肩をすくめた。


「分からない」


ショーンゴは旅人を見た。


「お前には印をつけなかったんだな」


「ああ」


「お前は奴らと言い争ったのか?」


「ああ」


「奴らも言い返してきたのか?」


「ああ」


ランゼが立ち上がった。


「お前たちは言い争ったか?」


男は首を振った。


「いや」


「早く通りたかっただけだ」


セイガが静かに言った。


「一人は言い争った」


「そいつには印がない」


ランゼが彼を見る。


「もう一組は言い争わなかった」


「荷車には印がついた」


森エルフの女がすぐ言った。


「何の意味もないかもしれない」


セイガは頷いた。


「そうかもしれない」


ショーンゴは白い線を見た。


「今は消さないでくれ」


男は眉をひそめた。


「俺が消したいと言ったら?」


「なら消せ」


ショーンゴの声は変わらなかった。


「荷車はお前のものだ」


男は数秒、彼を見た。


「町までは残しておく」


ランゼは二人の若い衛兵へ向き直った。


「お前たち二人」


二人とも背筋を伸ばした。


「道の上じゃない」


「両端を見ろ」


「一人は左」


「一人は右」


「茂みには入るな」


「俺が見えなくなるほど離れるな」


若い衛兵は斜面へ向かった。


ダークエルフの女は茂みの手前へ。


今度は二人とも、前よりゆっくり動いていた。


ランゼはその背中を見ていた。


セイガが言った。


「さっきよりいい」


「一回じゃ足りない」


「分かってる」


数分後、若い衛兵が先に戻ってきた。


「何もありません」


ランゼが尋ねた。


「それは結論か?」


衛兵は唇を結んだ。


「自分で確認できたものは、何もありません」


セイガが笑った。


ランゼが頷く。


「今の方がいい」


ダークエルフの女は少し遅れて戻ってきた。


「草が踏まれています」


彼女は道の右側を示した。


「茂みの切れ目から見える場所です」


セイガが確認しに行った。


今度はランゼも止めなかった。


場所は小さかった。


一人がしゃがんでいるには十分な広さだ。


そこから橋が見える。


道も。


偽の検問所があった場所も見えた。


ショーンゴは茂みの入口に立っていた。


「何人だ?」


セイガが答えた。


「分からない」


「一人なら座れた」


「前から使われていた場所かもしれない」


ランゼは押し倒された草を見た。


「新しいか?」


「そう見える」


「だが?」


「いつ踏まれたのかまでは分からない」


ランゼが頷いた。


ダークエルフの女が尋ねた。


「つまり、四人いた可能性もある?」


セイガが答えた。


「ある」


ショーンゴが付け加えた。


「あるいは、前に別の誰かがここに座っていただけかもしれない」


彼女はショーンゴを見た。


「それじゃ、何も分からないじゃないですか」


ショーンゴは首を振った。


「分かってることはある」


「何が?」


彼は道を示した。


「三人がラリオンの検査役を名乗った」


次に、荷車の印。


「止められた者たちから、金も荷も奪っていない」


そして茂み。


「横から見ていた者がいた可能性もある」


最後に証人たち。


「今はそれで十分だ」


「四人目がいたかどうかは、まだ分からない」


ランゼは空を見た。


残された明るさは少ない。


「これ以上は進まない」


旅人がすぐ尋ねた。


「奴らはどうする?」


「もういない」


「なら追えばいい」


ランゼは道を見た。


「誰を?」


旅人は黙った。


「フードをかぶった三人をか?」


「武器を持ち替えたかもしれない三人」


「別の三人だったかもしれない」


「種族も分からない」


「どこへ行ったかも分からない」


旅人は不満そうに息を吐いた。


「結局、また何もなしか」


ランゼは橋を示した。


「違う」


「ここに偽の検問所があったことは分かった」


「俺たちが来る前に消えたことも分かった」


セイガが付け加えた。


「一時間前よりは多く分かってる」


帰り道では、荷車も彼らと一緒に進んだ。


旅人も戻ることにした。


これ以上進むのが怖かったからではない。


今日はもう、ラリオンの『検査』には十分付き合ったと決めただけだった。


門ではサルマが待っていた。


ダークエルフのエンナは、机に向かって座っていた。


右の掌にはまだ包帯が巻かれている。


ペンは左手のそばに置かれていた。


フェイ諸族のデランは、ひっくり返した箱に腰掛けていた。


一行を見ると、顔を上げた。


「いい知らせがある」


ランゼが止まった。


「ない」


デランは不満そうな顔をした。


「まだ何も言ってないぞ」


「知ってる」


「今回は本当にいい知らせだったら?」


セイガが彼の横を通り過ぎた。


「なら取っておけ」


エンナが一行を見た。


「始めて」


ランゼは三人の証人を示した。


「別々に」


サルマはすぐ理解した。


「互いの話を真似しないようにね」


「ああ」


森エルフの女はエンナの机の近くへ座らせた。


荷車の男はサルマのところへ連れていかれた。


鞄を持つ旅人はランゼのそばに残った。


三人の証言は別々に記録された。


数分後、エンナがペンを置いた。


「武器が一致しない」


サルマが言った。


「人数は一致する」


「三人」


エンナが頷いた。


「荷物を見せろという要求は一致する」


「ラリオンについての質問も一致する」


ランゼが付け加えた。


「質問の順番は一致しない」


デランが身を乗り出した。


「それは重要か?」


エンナが彼を見る。


「まだ分からない」


デランは満足そうに頷いた。


「おお」


「今のはセイガみたいだった」


セイガがため息をついた。


「やめろ」


サルマは三つの記録を自分の前へ並べた。


「商品は奪っていない」


「金も要求していない」


エンナが言った。


「でも、荷物は開けさせている」


ショーンゴは壁際に立っていた。


「少なくとも、荷物を奪うための検問じゃない」


全員が彼を見た。


最初にサルマが尋ねた。


「なら、何のため?」


「質問に答えさせるための口実として使った可能性がある」


ショーンゴは旅人を見た。


「道でいきなり止められて、『ラリオンの衛兵は何人いる』と聞かれたら?」


「答えなかった」


「でも、奴らがラリオンの検査だと名乗った時は?」


旅人は眉をひそめた。


「答えた」


沈黙が落ちた。


エンナがもう一行書いた。


「三組とも、荷物や金は奪われていない」


セイガが答えた。


「その代わり、俺たちについて聞かれてる」


ランゼは門の掲示板を見た。


「それと、どれくらい簡単に話すのかも見られた可能性がある」


サルマが言った。


「なら、衛兵の印はもっと重要になる」


セイガは首を振った。


「そして、もっと危険になる」


「なぜ?」


「誰にでも見せるなら、真似される」


エンナが言った。


「誰にも見せないなら、何の証明にもならない」


デランが指を上げた。


「すごくいい案がある」


サルマは彼を見ることすらしなかった。


「却下」


「聞く前に断るの、これで二回目だぞ」


「その方が早いもの」


ショーンゴがわずかに笑った。


ランゼはそれを見逃さなかった。


「言ってみろ」


デランが背筋を伸ばした。


「もう気が変わった」


エンナがため息をついた。


サルマはセイガへ向き直った。


「じゃあ、どうする?」


セイガは掲示板を見た。


「印が、俺たちの決めたものと一致するかは確かめられる」


「でも、複製されていないことまでは証明できない」


エンナが言った。


「なら、二つ目の確認が必要」


「何を?」


「勤務班の名前」


ランゼが眉を寄せた。


「それも聞かれれば知られる」


「そうね」


「でも今度は、二つ知る必要がある」


サルマが考えた。


「変わる印」


「それと勤務班の名前」


エンナが頷いた。


「町から出る者には、二つとも小さな紙に書いて渡すこともできる」


セイガはすぐ首を振った。


「その紙を奪われる」


「それで写される」


エンナが返した。


「印だって見られる」


「それで写される」


デランが小さく言った。


「どんどん簡単な仕組みになっていくな」


誰も笑わなかった。


一秒後、彼は付け加えた。


「今のは冗談だぞ」


ランゼが彼を見た。


「分かってる」


サルマは二本の鍵で机を軽く叩いた。


「完璧な仕組みを作る必要はない」


「朝より良い仕組みにすればいい」


ショーンゴが頷いた。


「ああ」


エンナが書いた。


「印」


「勤務班の名前」


「検査する理由」


ランゼが付け加えた。


「衛兵が理由を言えないなら、荷物には触れない」


サルマが頷いた。


「今はそれでいく」


エンナがペンを置いた。


それから壁際の小さな箱を見た。


出発前、残った予備の印を入れた箱だった。


「なら、もう一つ」


立ち上がる。


箱へ歩いていく。


左手で蓋を開けた。


中には短い紐が並んでいた。


どれにも結び目が二つある。


今日の印だった。


エンナが数え始めた。


一つ。


二つ。


三つ。


四つ目で手が止まった。


もう一度、最初から数える。


サルマがすぐ聞いた。


「何?」


エンナは答えなかった。


紐を机へ並べた。


「いくつ渡した?」


ランゼが数を答えた。


エンナは一覧を見た。


記録された総数から、渡した分を引く。


それから、机に並べた紐と照らし合わせた。


「一つ足りない」


デランから笑みが消えた。


セイガが近づいた。


「記録せずに渡した分はないか?」


ランゼはすでに二人の若い衛兵を見ていた。


若い衛兵がすぐ自分の紐を掲げた。


ダークエルフの女も同じように見せる。


「この二人に渡した分は、記録にある」


サルマが一覧を確認した。


「残りの勤務組は?」


ランゼが門の方を見た。


「持ち場にいる。渡した分は記録してある」


「全員?」


「ああ」


エンナはもう一度記録を確認した。


「なら、足りないのは予備」


サルマが顔を上げた。


「どこに置いてあった?」


エンナは箱を示した。


「ここ」


沈黙の質が変わった。


ランゼは開いた門の通路を見た。


交易場を見る。


今日一日、その前を通った人々を思い返す。


「誰かが持っていった可能性はある」


セイガが答えた。


「ある」


「誰かが別の場所へ移しただけかもしれない」


「それもある」


デランが付け加えた。


「誰かが落としたとか」


エンナは首を振った。


「予備は誰にも渡してない」


ショーンゴは箱の中の空いた場所を見ていた。


「先に人を疑うな」


ランゼが振り向いた。


「なぜ?」


「盗まれたとは、まだ決まっていない」


ショーンゴは紐を示した。


「まず紐を探せ」


サルマがゆっくり頷いた。


エンナは箱の蓋を閉じた。


ランゼは東の街道を見た。


今日、偽の検問所では、ラリオンの名が使われていた。


次に現れた時、その日の有効な印まで示されたなら。


その時は、もう話が違ってくる。

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