エピソード71 道の上の名
東の街道に騎馬の姿はなかった。
少なくとも、昨日見かけた場所には。
朝日はようやく低い丘の向こうから昇り始めたところだった。
草にはまだ湿り気が残り、古い街道はほとんど空に見えた。
ランゼが先頭を歩き、盾は背中に掛けていた。
セイガはやや右寄り、低い斜面に近い側を進んでいた。
デランは左側、乾いた溝に沿って歩いていた。
三人の背後には、まだラリオン東門の上部が見えていた。
前方には古い街道石が立っていた。
昨日、騎馬の一団が止まっていたのは、まさにそのそばだった。
ランゼが手を上げた。
三人とも足を止めた。
「ここから先は、三人一緒には進まない」
デランが彼を見た。
「また訓練か?」
「違う」
ランゼは街道石の前の地面を示した。
「今度はもう訓練じゃない」
セイガは道端にしゃがみ込んだ。
まず道に残る痕跡を見て、それから角度を変え、乾いた溝の方へ少し寄った。
「六人」
「六人だったな」
「今は?」
セイガは地面に触れず、その上を指でなぞった。
「来たのと同じ道を戻っている」
ランゼが近づいた。
「レヴェンガルドの方へ?」
セイガは首を振った。
「東へ」
「同じ答えじゃないな」
「だからレヴェンガルドとは言わなかった」
ランゼは短く頷いた。
デランは溝のそばにしゃがんだ。
「ここで一人、道から外れてる」
「遠くまでは行ってない」
デランが街道石へ手を伸ばした。
「それと、これだ」
「触るな」
手が止まった。
古い欠け跡の少し下に、新しい傷が一本あった。
文字でも紋章でもない。
ただの短い線だった。
セイガは石の反対側へ回り、両側から確認した。
「昨日は気づかなかった」
「なら、昨日はなかったんだな」
「違う」
セイガは顔を上げた。
「昨日、俺が気づかなかったというだけだ」
ランゼはしばらく彼を見てから頷いた。
「そのまま記録しよう」
デランが笑った。
「エンナが喜びそうだな」
「エンナは『たぶん』なんて言葉じゃ喜ばない」
「じゃあ、『ものすごくたぶん』って書こう」
ランゼが顔を向けた。
デランは両手を上げた。
「黙る」
セイガは炭の欠片と薄い粗紙を取り出した。
傷を含めて、街道石の表面の拓本を慎重に取った。
誰がその傷を残したのかを証明するものではない。
ただ、自分たちが何を見たのかを残すためのものだった。
ランゼはさらに東を見た。
「もし戻ってきたら?」
セイガはすぐには答えなかった。
「前より早く見つけられるかもしれない」
「確信は?」
「ない」
デランが小さく息を吐いた。
「また正しい答えだ」
今度はランゼも何も言い返さなかった。
三人は引き返した。
門まであと数百歩というところで、最初に声を聞いたのはデランだった。
叫び声ではない。
言い争う声だった。
東門の入口には六人の住民が立っていた。
二人は槍を持ち、もう一人は古い狩猟用の弓を手にしていた。
残る三人は、短い刃物や棒を持っていた。
市の衛兵ではない。
その前にはサルマが立っていた。
腰には細い鍵の鎖が下がり、そのうち二本を指の間に挟んでいた。
向かいにいるのは、唇を切った男だった。
今は槍を持っていた。
穂先をサルマへ向けてはいない。
だが、下ろしてもいなかった。
「もう一度言うわ」
サルマは落ち着いていた。
「町から出ること自体は止めない」
「自分の足で歩く許可をどうも」
「でも、ラリオンの衛兵として出ることは認めない」
男は槍の柄を握り締めた。
「昨日の連中は、道に立って好き勝手にこっちを数えてたじゃないか」
「何を数えていたのかは分からない」
「武装した六人が、ただ石を眺めに来たって?」
「その可能性もある」
「それで納得できるのか?」
サルマは二本の鍵を一度強く握り、すぐに指を緩めた。
「いいえ」
「なら、どうする?」
「気に入らないというだけで、推測が事実に変わるわけじゃない」
ランゼが近づいた。
「どこへ行くつもりだ?」
「東だ」
「どこで止まる?」
男は槍で道を示した。
「よそ者を見つけたところで」
「それで、何をする?」
「何者か聞く」
「答えなかったら?」
後ろにいた男の一人が答えた。
「止める」
ランゼはその男を見た。
「どうやって?」
答えはなかった。
唇を切った男は道を見た。
「昨日、あんたたちは奴らを止めなかった」
「昨日、奴らは攻撃してこなかった」
「隊商を襲った連中だって、その前の日には襲ってなかった」
ランゼは否定しなかった。
男は続けた。
「レスは死んだ」
「こっちの衛兵は、まだまともに腕を上げられない」
「薬の箱が二つ、どこかで他人の手に渡ってる」
「そのうえ今度は、どこの誰かも分からない騎馬が東に立って、こっちを見てる」
最後にセイガが近づいた。
「お前も見ただろ」
「見た」
「武装してた」
「ああ」
「印はなかった」
「少なくとも、こちらで確認できる印はなかった」
「道の入り方を見てた」
「そう見えた」
男は勢いよく両手を広げた。
「ほらな」
セイガは変わらない落ち着いた声で続けた。
「だが、門には近づいていない。脅してもいない。攻撃もしていない」
「それに、誰に仕えているのかも分からない」
男は歪んだ笑みを浮かべた。
「みんなエンナみたいな話し方を覚えたな」
門の奥から声がした。
「違うわ」
エンナが門の少し内側に立っていた。
紙を留めた板を持っている。
傷の残る手はまだかばっていて、指を完全には握り込んでいなかった。
「見たものと、見たいものを分けるようになっただけ」
デランが小さく付け加えた。
「恐ろしい病気だな」
「書類からうつるらしい」
ランゼが彼を見た。
「黙る」
サルマは六人の住民へ視線を戻した。
「手伝いたいの?」
「ああ」
「なら訓練に来て」
唇を切った男が短く笑った。
「荷車の周りをぐるぐる回る訓練か?」
ランゼは笑わなかった。
「最初はな」
「その次に、気に入らない旅人を見つけたからって、いきなり槍を突きつけないことを覚えろ」
男の笑みが消えた。
「俺は子供じゃない」
「なら、子供みたいな真似をするな」
町の方から別の声が届いた。
「そこまでだ」
ショーンゴが門へ歩いてきた。
急いではいなかった。
まず開けた道を見て、それから人々を見た。
唇を切った男が彼へ向き直った。
「また誰かが布を掛けられて道から運ばれてくるまで、待ってろっていうのか?」
「違う」
男は明らかに、その答えを予想していなかった。
「なら、俺たちは行く」
「どこへ?」
「東だ」
「どこまで?」
男は黙った。
ショーンゴは続けた。
「ラリオンは、どこで終わる?」
誰も答えなかった。
町の城壁なら、誰もが知っていた。
街道も、倉庫も、井戸も知っている。
だが、ほかの国や旅人までラリオンの境界だと認める線は、まだ存在していなかった。
「これは俺たちの道だ」
「どこからどこまで?」
「俺たちの町へ続くところだ」
「どの道も、どこかへ続いてる」
ショーンゴは男を見た。
「古い街道石の向こうで誰かに会った時、何の権限で止める?」
「町を守るためだ」
「相手が『ここは別の王国の土地だ』と言ったら?」
沈黙が落ちた。
「どうする?」
男は答えなかった。
ショーンゴはほかの者たちへ目を向けた。
「どこまで命令する権利があるのか分からないなら、お前たちは巡回隊じゃない」
短い間。
「ラリオンから正式な権限も与えられず、管轄も分からないまま道に立てば、ただの武装した住民だ」
後ろの男の一人が槍を下ろした。
「じゃあ、座って待ってろってことか?」
「違う」
ショーンゴはランゼを見た。
「仕事を与えろ」
「何を?」
「昨日、人手が足りないと言っただろ」
「足りないのは、訓練を受けた者だ」
「なら、訓練しろ」
唇を切った男が鼻を鳴らした。
「俺は、お前の衛兵になりたいなんて言ってない」
「なら、その衛兵の名を使って話すな」
その時、道の向こうから叫び声が届いた。
「ランゼ!」
声は遠い。
東からだった。
もう一度、今度は少し近くから声がした。
「ランゼ!」
ランゼはすでに背中から盾を外していた。
「セイガ、右」
「デラン、左」
「サルマ、門を頼む」
セイガはもう動き始めていた。
デランは乾いた溝を飛び越えた。
ショーンゴもあとに続いた。
唇を切った男が一歩、彼らについて出ようとした。
ランゼが振り向いた。
「来るな」
「あそこに、こっちの人間がいる」
「どうして分かる?」
男は唇を強く結んだ。
「誰だ?」
沈黙が長すぎた。
「この六人とは別に、二人が先に出た」
サルマが勢いよく振り向いた。
「いつ?」
「夜明け前だ」
「誰の命令で?」
「誰の命令でもない」
ランゼはそれ以上聞かなかった。
走り出した。
古い街道石の先で、道は緩く曲がっていた。
右には低い斜面が上がり、左には干上がった溝が続いている。
そこに、小さな手押し車が横倒しになっていた。
一つの車輪がまだゆっくり回っている。
そばには、埃をかぶった旅用の外套を着た女が立っていた。
手には短い鉄の鉤を持っていた。
隣には、眉を切った若い男がいた。
その向かいには、ラリオンの住民が二人いた。
一人は地面に座り、前腕を押さえている。
もう一人は槍を握っていた。
「下ろせ」
ランゼは歩調すら緩めなかった。
「こいつらが先に……」
「下ろせ」
「でも……」
盾の縁が槍の柄を打った。
槍は横へ弾き飛ばされ、草の中に落ちた。
ランゼは二つの集団の間に立った。
セイガは斜面の上へ移動し、道の両方向を見渡せる位置についた。
デランは干上がった溝へ下り、数十歩先まで確認してから戻ってきた。
「ほかには誰もいない」
鉤を持つ女は、まだ武器を下ろさなかった。
「俺はランゼだ」
「どうでもいい」
「分かった」
彼は鉤を示した。
「でも、話をするなら下ろせ」
「嫌だと言ったら?」
「そのまま立ってるだけだ」
女は数秒、彼を見ていた。
やがて、鉤を下ろした。
ランゼは二人の住民へ向き直った。
「どっちが始めた?」
地面に座る男がすぐ答えた。
「向こうだ」
女が短く笑った。
「私たちは道を進んでただけ」
「こいつらが道に出てきて、止まれと言った」
もう一人の住民が、渋々頷いた。
「確認しようとしたんだ」
「何を?」
「何者なのかを」
女は鉤で手押し車を示した。
「こいつは私の荷物に手を突っ込んだ」
「どこから来たのか言わなかったからだ」
「言ったわ」
「村の名前を言っただけだ」
「そこから来たんだから当然でしょ」
「そんな村、知らない」
「それまで私のせい?」
デランは笑いを隠すように顔を背けた。
ランゼは腕を押さえている男を見た。
「何があった?」
「こいつに殴られた」
「そいつが袋をつかんだあとよ」
「中に刃物が入ってたかもしれない」
「小麦粉よ」
デランは破れた袋の端を見た。
実際、地面には小麦粉がこぼれていた。
「今のところ、小麦粉には見えるな」
ランゼがゆっくり顔を向けた。
デランは両手を上げた。
「エンナから習った」
最後にショーンゴが到着した。
女はすぐに彼に気づいた。
服でも、武器でもない。
ほかの者たちが自然に彼へ場所を空けたからだった。
「こいつら、あんたの部下?」
「違う。ラリオンの住民だ」
女が少し目を細めた。
若い男が眉の血を拭った。
「でも、そうは言わなかったぞ」
ランゼが勢いよく振り向いた。
「何と言った?」
女が答えた。
「『ラリオンの検査だ』って」
沈黙の質が変わった。
ショーンゴは男を見た。
「そう言ったのか?」
「ああ」
「なぜ?」
「そうでも言わなきゃ、止まらなかったからだ」
「だからこそ、お前には言う権利がなかった」
地面に座っていた男が立ち上がろうとした。
ランゼが手を貸した。
前腕はすでに腫れ始めていた。
デランはそばにしゃがんだが、腕には触れなかった。
「腫れてるな」
ランゼは頷いた。
「町で診てもらう」
女は倒れた手押し車を見た。
「これは?」
片方の車軸は歪んでいたが、完全には折れていなかった。
ショーンゴは二人の住民へ向き直った。
「起こせ」
「何を?」
「その手押し車だ」
「こいつに殴られたんだぞ」
「お前が俺たちの名を使って、勝手に止めたあとにな」
ショーンゴは車軸を示した。
「起こして、直して、一緒に戻れ」
女は目を細めた。
「こいつらと一緒には行かない」
「なら、後ろを歩かせる」
「逃げたら?」
ランゼが答えた。
「逃げない」
男が鼻を鳴らした。
「どうして分かる?」
「逃げたら、俺がお前を追いかけることになるからだ」
修理には一時間近くかかった。
デランが平たい石を見つけ、車軸の下に差し込んだ。
ランゼが手押し車の重みを支えた。
原因を作った二人が、固定具を結び直した。
今回はデランに結び目を作らせなかった。
彼はきっちり三秒だけ不満そうな顔をした。
セイガはその間ずっと斜面に残っていた。
修理は見ていなかった。
道を見ていた。
手押し車が再び車輪の上に立つと、女は自分で車軸を確認した。
「もう行っていい?」
「いい」
「荷物の検査もなし?」
「ああ」
女は頷いた。
だが、まだ動かなかった。
「次にまた、ラリオンの名を使って止められても、私は簡単には信じないから」
「それでいい」
ショーンゴはランゼを見た。
「次から、街道に出る正式な衛兵にも印を持たせる」
女は目を細めた。
「見せなかったら?」
「俺たちの者だと思うな」
女はさらに数秒、彼を見ていた。
それから手押し車へ向き直った。
一行が東門へ戻ると、サルマはすでに屋根の下の机のそばに立っていた。
エンナも隣にいて、その前には白紙が置かれていた。
唇を切った男も、まだそこに残っていた。
ランゼは戻るなり、起きたことを簡潔に説明した。
「二人は旅人を止めて、『ラリオンの検査だ』と名乗った」
サルマは二人の住民を見た。
「あなたたち、そう名乗ったのね」
質問ではなかった。
一人が頷いた。
サルマは二本の鍵を指の間に挟み、握ってから放した。
「分かった」
「何が分かったんだ?」
「これで問題が見えた」
彼女はエンナを見た。
「書いて」
エンナは無事な方の手でペンを取り、傷の残る手の二本の指で紙の端を押さえた。
「題名は?」
サルマは一秒考えた。
「街道で人を止める権利」
エンナが書いた。
「一つ目」
「ラリオンの住民は、不審な者を見つけた場合、安全な距離から観察し、衛兵へ知らせ、警告し、直接危害を受ける状況なら自衛できる」
「二つ目」
「ラリオンの衛兵、検査役、使者、代表を名乗れるのは、その役目を正式に任された者だけ」
唇を切った男が口を挟んだ。
「衛兵が近くにいない時は?」
「その時のお前は、手伝っている住民よ」
「言葉だけで何か変わるのか?」
エンナは顔を上げなかった。
「今日は変わったわ」
サルマは続けた。
「三つ目」
「衛兵は、旅人がよそ者だから、旗を持っていないから、出身を言いたくないから、という理由だけでは荷物を調べない」
ランゼが付け加えた。
「武器を向けている、直接脅している、攻撃してきた。そういう場合は別だ」
エンナのペンが止まった。
「その理由を明言すること」
サルマは頷いた。
「街道で使う印が必要ね」
ランゼが答えた。
「制服でも、市場で買えるような物でも駄目だ」
セイガが机へ近づき、エンナの前に街道石の拓本を置いた。
「印は変えればいい」
「毎日?」
「必要なら、勤務交代ごとでもいい」
セイガは紙の端を指でなぞった。
「今日は二つ結び目のある紐。明日は蝋の線。その次は別のものにする」
サルマは数秒、彼を見ていた。
「誰かに見られたら?」
「一日分の印を一つ知るだけだ」
エンナはもう書いていた。
「衛兵の暫定運用」
「法律じゃない」
「今のところはね」
唇を切った男がセイガを見た。
「住民は?」
「どこで確認すればいいかを知っておく」
ランゼが付け加えた。
「誰かが衛兵を名乗っても、印が分からないなら、その場で言い争うな」
セイガが続けた。
「顔、武器、人数、向かった方向を覚える」
「それから離れて、報告する」
男は長い間、黙っていた。
「あの二人は?」
ショーンゴが答えた。
「町を守る側に立ちたいなら、今日からランゼのところで訓練を受ける」
ランゼが彼を見た。
「二人とも?」
「ああ」
「嫌だと言ったら?」
「なら、二度とラリオンの名を使って命令するな」
ショーンゴはほかの者たちへ目を向けた。
「全員に同じだ」
罰ではない。
誓いでもない。
ただの境界だった。
そして今回は、まだ地図に引けない境界線よりも、ずっと分かりやすかった。
夕方までに、東門のそばへ小さな掲示板が立てられた。
よそ者へ命令するためのものではない。
自分たちのための規則だった。
最初の一行は短かった。
『ラリオンの衛兵は、理由を明示せずに旅人を止めない』
二行目。
『衛兵は身分を名乗り、有効な印を示す』
三行目。
『印が分からない場合』
『その場で争わない』
『門へ戻る』
デランが読んだ。
「四つ目も足したいな」
エンナは彼を見ることすらしなかった。
「却下」
「まだ何を書くか言ってないぞ」
「だから却下なの」
ランゼは門のそばに立っていた。
新しい勤務の四人の衛兵が、道から離れた内壁のそばで訓練していた。
その横には、朝、勝手に街道へ出た二人もいた。
槍は持っていない。
今のところは。
二人とも訓練を拒まなかった。
唇を切った男は低い箱に腰掛け、様子を見ていた。
加わってはいない。
だが、帰りもしなかった。
セイガは城壁へ戻った。
ショーンゴは門のそばに立っていた。
サルマが交易場へ向かおうとした時、道の向こうから一人の男が現れた。
男は足早に歩き、何度か後ろを振り返っていた。
肩には小さな鞄を掛けている。
門のそばで足を止め、掲示板に気づいて内容を読んだ。
それからランゼを見た。
「これは今日出したものか?」
「ああ」
男はゆっくり息を吐いた。
「なら、聞きたいことがある」
「何だ?」
男は背後の東の街道を指した。
「じゃあ、どうして道にいたあんたたちの『検査隊』は、これを知らないんだ?」
サルマが足を止めた。
城壁の上のセイガが顔を向けた。
「検査隊って何?」
「古い石橋の向こうだ」
「三人いる」
「一人は槍、二人は短弓を持ってる」
男は肩の鞄に触れた。
「これからラリオンへ向かう者は、全員荷物を見せなきゃならないと言われた」
ランゼはショーンゴを見た。
ショーンゴはすでに道を見ていた。
「誰の命令だと言っていた?」
男は唾を飲み込んだ。
「奴らは言った」
「ラリオンだと」
風が門のそばの新しい掲示板を揺らした。
そこに書かれた墨は、まだ乾ききっていなかった。
そしてその日初めて、問題は「誰にラリオンの名で話す権利があるのか」ではなくなった。
問題は、すでに誰かがラリオンの名を使い始めていることだった。




