エピソード58 スポークの下の糸
荷車は倉庫へ運ばれなかった
役所の中庭に置かれた
門のそばではない
人々のそばでもない
二つの石壁のあいだ
朝の風でさえ細くしか通れない場所だった
ランゼは左の通路のそばに立っていた
盾は上げていなかった
だが人が一歩を踏み出すより早く
下端を地面に触れさせられるように持っていた
サルマは荷車の正面に立っていた
腰の鍵は
今回は隠されていなかった
布で覆ってはいなかった
門での出来事の後では
町が自分自身の権力の音を聞いていないふりをする意味は
もうなかった
ケルトは壁際の低い箱に座っていた
紙は膝の上にあった
ペンはまだ紙に触れていなかった
エンナは彼の少し右後ろに立っていた
彼の手も
荷車の車輪も見える位置だった
ラデムは後ろ側のスポークに近い場所に立っていた
糸には触れていなかった
ただ見ていた
大きな指は
握られたり開かれたりしていた
まだ声に出して名づけられないものを
数えているかのようだった
ミルサは籠を持たずに来ていた
袖にはまた
小麦粉の白い筋があった
今度は偶然には見えなかった
パン屋にも目があることを示す印のように見えた
ショーンゴは荷車の少し横に立っていた
正面ではない
後ろでもない
車輪と布
そして右の壁際にいる二人の捕虜が見える位置だった
右手首はまだ完全には言うことを聞かなかった
指はゆっくりと熱を取り戻していた
彼はそれに苛立ってはいなかった
身体は勝利の言葉よりも正直だった
どこに代償が残ったのかを覚えていた
リオルは庭の奥の隅にある樽に座っていた
片方の掌を耳のそばに当てていた
もう片方は樽の木に置いていた
- 黙っていません
サルマは顔を向けなかった
- 荷車が
- 違います
リオルは顔をしかめた
- 荷車の下にあるものです
右の通路のそばに立っていたレルタは
すぐに低く身を沈めた
庭を見下ろす壁の上にいたセイガも
位置を変えた
剣は抜かなかった
ただ体重を反対の足へ移しただけだった
捕虜の一人がそれに気づいた
ダークエルフの目が上へ跳ねた
自分たちの手が上がるより早く
壁の上からの動きが一撃になると理解したのだ
- 俺たちはそれを操っていない
捕虜が言った
声はかすれていた
勇気のためではない
長い沈黙のためだった
もう一人の捕虜は地面に座り
肩を壁に押しつけていた
レルタは彼らの手を
背中側ではなく
前で縛っていた
それなら指を見せることはできる
だが素早く立ち上がることはできなかった
サルマはようやく一人目を見た
- 何を
捕虜は息を飲んだ
- 荷車を
ミルサが低く鼻を鳴らした
- そのわりには
- ずいぶん素直に隣を歩いていたわね
捕虜は彼女を見た
それからショーンゴを見た
そしてすぐに目を逸らした
- 車輪のそばの場所を与えられた
- 誰が与えたの
エンナが尋ねた
捕虜は黙った
レルタは彼を殴らなかった
ただ首を傾けた
そして彼の手を見た
右手の中指の爪の下に
細い黒い跡があった
刺青ではない
汚れでもない
むしろ
皮膚が覚えたがらない場所に
長く糸を当てられていた跡だった
- こいつは名前を知らない
レルタが言った
捕虜が震えた
彼女は笑わなかった
- でも痛みは知っている
サルマは彼の前にしゃがんだ
彼女の影が
彼の膝に落ちた
- 痛みも話す
捕虜は唇を噛みしめた
ショーンゴは割り込まなかった
これは彼の場面ではなかった
まだ
ラデムがゆっくり手を上げた
- もし下から車輪を持っていたなら
- 糸が爪の下を通った可能性があります
ケルトはようやくペンを紙に触れさせた
エンナが言った
- 可能性があるとは書かないで
ケルトは固まった
ラデムが彼女を見た
エンナは視線を逸らさなかった
- 恐怖を事実として記録には残しません
ラデムは目を伏せた
- なら
- 指に跡があると書いてくれ
ケルトは頷いた
ペンが動いた
リオルが突然
両手を耳に押し当てた
- 車輪のそばで書かないでください
ケルトは止まった
庭は静かになった
捕虜たちでさえ
大きく息をするのをやめた
ランゼは盾を石に下ろした
鈍い音が庭を渡った
- 紙から離れろ
彼が言った
ケルトは間に合わなかった
荷車の下で何かが鳴った
大きな音ではない
乾いた木を爪で弾いたような音だった
前の軸の下から
細い黒いものが飛び出した
子供の掌ほどの大きさもなかった
骨の欠片
黒い糸
かつて指だったものに
あるはずのない歯
それはショーンゴへは飛びかからなかった
ランゼへでもない
サルマへでもない
ケルトの紙へ飛びかかった
弱い敵は強い者を探さない
自分の後に残るはずのものを探す
ケルトは身を引いた
下の箱が倒れた
ペンが手から落ちた
黒いものは
紙の白い端へ走った
最初に動いたのはレルタだった
だが彼女は右側にいた
セイガは壁から跳んだ
だが彼とケルトのあいだには荷車があった
ショーンゴが顔を向けたのは
望んだよりも一瞬遅かった
恐怖のせいではない
門でのことからまだ抜けない
手首の冷えのせいだった
それだけで十分だった
紙を狙うものにとっては
ショーンゴにとっては
そうではなかった
ミルサが小麦粉を投げた
それに向けてではない
ケルトの前の空気へ
白い雲が朝の光の中で広がった
黒いものはその中へ入った
そして初めて
全体が見えた
糸は一本ではなかった
三本だった
一本は荷車の軸へ伸びていた
二本目は捕虜の指へ
三本目
最も細いものは紙へ飛んでいた
- ランゼ
ショーンゴが言った
ランゼはもう動いていた
盾がケルトと黒いもののあいだへ落ちた
打撃としてではない
壁として
骨の欠片は金属の端にぶつかった
軋んだ
下から回り込もうとした
セイガは剣の鞘で荷車の軸を打った
骨のものを狙ったのではない
糸を引いている場所を打った
木が裂けた
ラデムは恐怖からではなく叫んだ
- スポークを折るな
セイガは二撃目を途中で止めた
その判断は糸を救った
そしてケルトの手を
ほとんど失わせるところだった
骨のものは盾の下を滑り抜けた
レルタが間に合った
彼女はナイフでそれを石に押さえつけた
刃は骨を切らなかった
だがその場に留めた
それは痙攣していた
捕虜の爪の下の黒い糸が張った
捕虜が喉を鳴らした
背中が反った
もう一人の捕虜が彼へ飛び出そうとした
攻撃ではない
助けるためだった
だが縛られた手では
立ち上がれなかった
- 切ってくれ
一人目が息を吐いた
- 指を
サルマは命じなかった
ショーンゴを見た
それは
証拠のために人の体をどこまで切り落としてよいのかを
町が問う時の目だった
ショーンゴは左手を上げた
右手ではなかった
理由は単純だった
そのものは荷車と共に来た
荷車自身がラリオンへ運んできた記録に
触れる権利などなかった
ショーンゴは
それが存在することを禁じたのではない
糸のすべてを壊したのでもない
紙へ向かう道だけを奪った
石の上の空気が密になった
白い小麦粉が
不揃いな筋となってそこに浮いた
紙へ伸びる細い糸が灰色になった
音はほとんど聞こえなかった
誰かが乾いた草を指のあいだで擦り潰したようだった
レルタのナイフの下にある骨のものは
ケルトへ伸びるのをやめた
だがすぐに
車輪の金の糸へ跳ねた
- 駄目だ
ラデムが言った
老人は
自分でも予想していなかったことをした
金の糸を掌で覆った
骨の欠片が彼の手を打った
貫きはしなかった
ランゼが盾を戻すのに間に合った
金属の端が
黒いものを石に押し潰した
今度はそれは悲鳴を上げなかった
自分自身のための声を持っていなかった
代わりに捕虜の声が
突然見知らぬ言葉となって漏れた
- 空で
彼が言った
目が裏返った
- 荷車は空で戻るはずだった
サルマは彼の肩を掴んだ
- 誰が言った
捕虜は途切れ途切れに息をしていた
爪の下から黒い血が流れていた
- 人を乗せて戻れないなら
彼は息を吐いた
- 証拠を残さずに
ケルトは石の上に座っていた
紙は無事だった
だが最初のインクの線は
端へ滲んでいた
彼はそれを見ていた
一本の乱れた線が
町すべてを取り消してしまうかのように
エンナは隣に座った
彼の上ではない
隣に
- 続きを書いて
ケルトは息を飲んだ
- 行が汚れました
- なら
- 汚されかけたと書きなさい
ケルトは彼女を見た
エンナはペンを取り
彼の指に握らせた
- 攻撃されたからといって
- 記録が弱いわけではありません
今度は彼が書いた
手は震えていた
だが書いていた
ミルサは掌の小麦粉を
前掛けで拭った
- 小麦粉がいつか鼠より大きなものを怯えさせる日が来るとはね
最初の騒ぎの後に庭へ入ってきたデランが
通路のそばで止まった
- パン屋の戦いを見逃したか
ミルサは顔を向けなかった
- 最初のこねを見逃しただけよ
ランゼは押し潰された骨のものを見た
- アンデッドだったのか
リオルはゆっくり耳から手を下ろした
- 下級のものです
それから首を振った
- でも単独ではありません
セイガは軸の裂け目を調べた
金の糸には触れなかった
それがどこへ入っているのか見るために
身をかがめただけだった
- ここに二つ目の通り道がある
ラデムはまだ
スポークのそばに掌を置いていた
皮膚には傷が残っていた
小さなものだった
だが縁が黒かった
サルマはそれに気づいた
- 手を
- 後で
ラデムが言った
サルマが彼を見ると
老人はすぐにミルサへ手を差し出した
ミルサは優しさなしにその手を取った
だが慎重だった
- 年寄りは焼き足りない生地より頑固ね
ラデムは顔をしかめた
- 俺は年寄りじゃない
- なら
- 替えの手が物置にあるみたいに振る舞わないで
それまで役所の扉のそばに立っていたヴェイラが
庭へ足を踏み入れた
サルマは止めようとした
だがヴェイラはもう話していた
- 証人だけじゃない
全員が彼女へ振り返った
ヴェイラは荷車を見ていなかった
まだ呼吸を整えられない捕虜を見ていた
- 彼らは
- 見た者だけを奪うんじゃない
彼女は頭巾の端を握った
- 後で
- 自分が車輪を持っていたと
- 口にすることを恐れる者を残す
一人目の捕虜は目を閉じた
二人目は頭を下げた
庭は再び静かになった
だが今度の沈黙は違った
打撃の前の沈黙ではない
誰かが恥の名を呼んだ後の沈黙だった
ショーンゴは二人の捕虜を見た
- 足の縄を解け
レルタはすぐには顔を向けなかった
- 手は
- 違う
ショーンゴが言った
- 足だ
レルタは理解した
彼らはまだ自由ではなかった
だがもう
荷車の一部ではなくなり始めていた
サルマが言った
- 逃げたら
- 逃げません
セイガが静かに答えた
彼は二人目の捕虜を見ていた
その男は門を見ていなかった
仲間の爪の下にある黒い跡を見ていた
- どこへ逃げればいいのか分かっていない
ショーンゴは車輪へ近づいた
近すぎない
腕を伸ばせば届く距離だった
- ラデム
老いた勘定係が顔を上げた
- この糸は東へ続いているのか
ラデムはすぐに答えようとした
だが止まった
そしてもう一度スポークを見た
結び目を
金が木にまっすぐではなく
斜めに入っている様子を
- いいえ
ようやく彼は言った
サルマがゆっくり彼へ向いた
- 何が違うの
ラデムはスポークの縁に指を沿わせた
糸には触れなかった
- 荷車は東から来ました
彼は目を上げた
- でも糸は
- そこへ戻りたがっていません
ケルトは書くのをやめた
デランでさえ黙った
ショーンゴが聞いた
- どこへだ
ラデムはすぐには答えなかった
庭を見た
壁のあいだにある細い空を
それから南の通路を見た
- 南へ向いています
サルマは一つの音も出さなかった
だが手が鍵の上に置かれた
今度は鍵が鳴った
短く
不快に
エンナが低く言った
- ヴェルシャインとは書かないで
ケルトは彼女を見上げた
彼女は繰り返した
- 私たちはまだそれを知らない
サルマは頷いた
- 南と書いて
ケルトは記録した
南
一つの言葉
答えとしては短すぎる
新しい恐怖としては十分だった
古い境界の茂みの向こう
南の斜面にオルドが伏せていた
旅の外套をまとった人間だった
彼は縁のない丸い硝子を
前に構えていた
それを通すと
ラリオンの庭は本来より近く見えた
その隣にはケイラが座っていた
深緑の外套をまとった
光の血を引くハーフエルフだった
明るい髪はフードの下に隠されていた
耳の先は
彼女が顔を向けた時だけのぞいた
襟元で銀の留め針が光った
彼女はすぐに指でそれを隠した
- 見た
ケイラが尋ねた
オルドは硝子を下ろした
- 彼らは荷車を燃やさなかった
- 見たわ
- 捕虜も殺さなかった
- 見たわ
オルドはしばらく黙った
- まずいな
ケイラは彼を見た
- 誰にとって
オルドはすぐには答えなかった
下の庭ではケルトが書いていた
ランゼは再び
荷車と人々のあいだに立っていた
ミルサは小麦粉のついた布で
ラデムの手を巻いていた
ショーンゴは斜面を見ていなかった
それでもケイラは
自分が見えない存在だとは思えなかった
- ただの反乱だと思っていた者たちにとってだ
オルドが言った
ケイラはゆっくり
留め針から指を離した
- 報告書に同盟者という言葉は入らない
- では何が入る
彼女はもう一度下を見た
荷車を
盾を
足の縄を解かれている二人の捕虜を
扉のそばの老いた証人を
- 境界
オルドは再び硝子を上げた
- 見られたな
- 違う
ケイラは立ち上がった
- 誰かが見ていることを見られたのよ
彼女は
まっすぐ南へは続かない小道へ向いた
- その方が悪い
役所の庭で
リオルが突然震えた
- 見ていた目が離れました
ショーンゴは答えなかった
南の通路を見ていた
誰かを見ていたからではない
本当に見ている者を見つけたいなら
どこを見てはいけないのかを
もう知っていたからだ
サルマが近づいた
- 荷車を役所の庭へ入れたのは正しかった
- 違う
ショーンゴが言った
彼女は彼を見た
- 正しかったのは
- ヴェイラを渡さなかったことだ
彼は金の糸へ目を下ろした
- 荷車は
- それと一緒に何本の手が伸びていたのかを
- 説明しただけだ
ケルトは最後の行を書き終えた
ペンが止まった
今度は彼自身が声に出して読んだ
- 荷車は証人を連れ去るはずだった
彼は息を飲んだ
- 証人でなければ
- 証拠を
エンナは彼の肩に手を置いた
握りしめはしなかった
ただ
その行の後に彼が一人で立っているのではないと
知らせるためだった
役所の壁の向こうで
人々はまだすべてを知らなかった
彼らが見たのは荷車だけだった
聞いたのは短い騒ぎだけだった
そして誰かが庭から
新しい答えを持って出てくるのを待っていた
サルマは扉を見た
- 彼らには
- 何か簡単なことを伝える必要がある
ミルサはラデムの手に布を結んだ
- 今日もパンはあると言えばいい
デランは口の端で笑った
- 今朝で一番強い命令だな
サルマは笑わなかった
だが今回は
彼を止めなかった
ショーンゴは役所の扉へ向かった
急いではいなかった
右手首がまた冷たくなっていた
力を使ったからではない
町が彼に
勝利だけではなく
なぜ勝利の後で危険が広がったのかという説明まで
求めていたからだった
彼の背後で
ランゼは再び荷車のそばに盾を置いた
ケルトはインクを乾かしていた
ヴェイラは捕虜たちのそばに立っていた
ラデムは包帯を巻かれた手を押さえていた
そしてスポークの下の金の糸は
もう小さなものには見えなかった
それは細かった
だが南を引きずっていた




