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復讐狂気の不等録  作者: 工藤
帝都強襲
23/34

開戦



 帝国、帝都上空、八千メートル。




『うっわ……何も見えねぇ(笑)』


 ハルトとその部下達は、巨大な“竜”の上に乗っていた。


「そうですね……ハルトさん。俺こっから落ちて、生きて帰れますかね?」


『「「さぁ、死ぬんじゃない?流石の食人族(グール)でも」」』


「ーーですよねぇ…」

 

 諦めたように天を仰ぎ、腰に刺した大剣(宝具)をゆっくりと撫でる。


『うっし、ふざけるのもここまでだ。作戦の最終確認といこう』


 ハルトの一括で、騒がしかった空間が静寂を取り戻す。


『オレ達の目的は、勇者の殺害だ。ぶっちゃけ都市を制圧しようとかは考えなくて良い。ここまで質問は?』


「はいっ!!」


『はい!メレフ!何かね!』


「えっとね。噂だけどね。相手に、すっっごく強い人達がいるって聞いたんだけどね。その人達は、どうするの?」


『多分、メレフが言った“すっごく強い人達”の一人は、オレの友人だと思う。バカみたいに強いし、ここに居るメンツじゃあちょっと心許ないしね。目的もあるしまぁ、そこは協力者に任せてオレ達は基本“無視”だ』


「うん!分かった!!」


 ハルトの言葉を聞いて、パァッと笑顔になり満足した様子でうなずいた。


「ーーそれで?最初に逝くのはハルトなのね」


『おい待て、何勝手にオレを殺そうとしたんだ。最初に行くやつは、ちゃんと考えてるよ』


 そう言って、右の人差し指をある人物に向けて……


『ーー最初はお前だ。かましてやれよ?』



















 ーー最初に“異変”に気付いたのは、異世界から来た『剣聖』であった。



「まさか……大魔術を使う気か!!」


 王城から飛び出し、帝都のど真ん中に着地すると同時に、【大規模転移魔術】にて帝都そして近隣の町に居る()()()()()を転移させる。


 そして上からくる重圧(プレッシャー)に、頬が吊り上がる。


 落ちて来たのはーー人であった。


 ピンクの長髪を靡かせ、その手に弓を持って『剣聖』めがけて構える。


「ーーこの際。はっきりしましょう……ハルトさんが言ってたわよ。『フラベル(アンタ)が一番強い』って、だから確かめてあげる」


「嬉しいね……唯一の友人に、そんな事言ってくれるなんて」


 その言葉を最後に、互いに黙り込む。


 お互いに魔力を練り出し、魂を削ってその力を行使する。


「ーー『宝具』開放」


 人馬宮、適合率74%


 十二宮(ゾディアック)第三位


 ルクト・コルス


 弓を持つルクトの左手が、『宝具』と()()する。


 ルクトの『宝具』は、『魔術の複製』の効果を持つ。その“複製”に一才の魔力は使わず、“複製”の上限数は……存在しない。


 フラベルの目の前には、町一つ破壊し尽くす【大規模魔術】、その数五十を超えている。



 そして対するフラベルの足元には、ルクトが展開した魔術の数を()()()()()()数の魔術を、()()()展開していた。


「さぁ……この一撃を持って始めようか」


「「戦争を《ザンッ!!》」」


 瞬間、両者共に空白が生まれる。


 何故なら『剣聖』フラベルの両腕が、宙を待っていた(切断されていた)からだ。


 フラベルの視界を占めるのは、舞った腕と切り傷から噴き出る己の血。


 赤が占めている視界で、己の腕を切った人物をハッキリと見ており、その視線に気付いたのか、男は


「ーー悪いね」


 肩をすくめ、自分の得物である大剣を肩に担ぐ。


 最初に落ちたのは人馬ではなく、大剣を持つ暴牛が、自らを燃やして堕ちてきた。


「なぁ、展開した魔術(それ)どうすんの?」


「ーー知らないわよ」


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