スレ137 一番上はだいたい何でもあり
皆さん、大変お待たせしました!
「アサマサ君! ……って、あれ?」
「ああ、もう帰ってきたのか。おかえり」
「た、ただいま……じゃなくて! なんでそこまでエンジョイしているのさ!?」
「いや、なんでって……祭りだし」
きっかり一時間。
そろそろ迷宮に行こうかと足を伸ばそうとすれば、ちょうどゲートを飾っていた出口の方にアヤさんが立っていた。
最悪、アイツの力で問答無用で押し入ろうと思っていたが……とりあえず無しだな。
対価は払うので、同じようなことになったら即座の対応ができるようになったけど。
ちなみに、俺の恰好といえば……指の間に食べ物を挟んでの食べ歩きだ。
最初は気を張り巡らせていたのだが、一時間という時間は長くて──こうなった。
「何はともあれ、無事に帰ってこれて幸いだよ。何もしなくて済んだからな」
「……えっと、それがちゃんと帰してくれた理由なんだよね。もう少しじっくりとお話がしたかったんだけど、アサマサ君が怖いから帰すって言われたんだ」
「つまり、そういう話題を用意できる相手なわけだ……俺のことは避けているみたいだから、しばらくは放置しておいてやるか」
「そういう態度がダメなんだよぉ……」
と言われても、わざわざ変えるようなことでもないだろうに。
序列一位、『学園最強』の名を冠する者が学園迷宮の主──つまり、支配者だな。
資料を読み漁って知ったのだが、この学術都市よりも先に存在していたので、学園長よりも上位の存在だろう。
「まあ、何か話せることはあるか?」
「……逆に話せないことがあるって、知っているみたいだね。うん、アサマサ君に伝えてほしいことがあるって言われているよ。まずは、迷宮で本当の力を使わないでって」
「その具体的なことは聞かされている?」
「それはアサマサ君から訊けだって。分からないからこそ、分かる怖さとも言ってたよ」
迷宮の持つ機能の中に、侵入者のステータスを開示させるというものがある。
しかしまあ、本人をも欺く偽装機能はここでも通用したらしい。
「アヤさんは知りたいか?」
「──ううん、全然。知ったらとんでもないことに巻き込まれそう」
「だよな。俺でも勝手に察するだけで、それ以上は何もしないよ。ちなみに、どういう能力かといえば……」
「いや、言わないでよ!」
軽快なツッコミにほっこりする。
サーシャ相手だと、俺がツッコミ役になることが多くて……アイツらもボケ(真面目)なことが多くて、俺がツッコミだったな。
俺って、どっちもできるけどボケの方がやりたいんだよ。
あれだ、本人のやりたいことに関係なくやるべきことがある……そういう感じである。
「ん? まず……続きがあるのか?」
「危ない危ない、アサマサ君のせいで忘れるところだったよ。もう一つ、私が行った場所に行くための方法だって」
「まあ、別に知らなくても行けるには行けるが……いちおう聞いておくか」
「その方法をやってもらいたくないから、言うことにしたんじゃないのかな?」
どうやらアヤさんは、迷宮主の側に立って話を進めるようだ。
やろうとしていることが悪人チックなことは理解している、それでもやるときはやる。
選択を戸惑って選べずにいた結果、ロクでもない結果しか掴めなかった……そういう体験談をかなり知っているからな。
「できるだけ控える。方法を教えてくれ」
「うん、了解。だいぶ面倒臭いけど、ちゃんと一度で覚えてね」
「記憶には自信がある。さあ、カモン」
「……コツでもあるのかな?」
伝えられた情報を、そのまま述べ始めるアヤさん。
工程がかなり多く、やることも大変なのでたしかに面倒臭い。
俺には人形こと“虚像偶像”があるので、比較的簡単に済ませれそうだが……これを無魔法で再現するのはほぼ不可能なんだよな。
バレているみたいだし、人が居ない時なら迷宮で全力を使えるのか。
……いっそのこと、交渉(魔力)でそういう場所を創ってもらいたいな。
◆ □ ◆ □ ◆
[おかえりなさい]
「……あい」
[おかえり]
「あの……本当、すみませんでした!」
良心の呵責……とかはまったくないが、ただただ目の前の学生服を着た甲冑騎士の威圧に負けて土下座をする。
いや、だれがどう見てもサーシャだけど。
学園での立場上、理由はともかく主(役)である彼女を放置していたのだ……こうなるのは必然とも言えるが。
「いろいろとあったんだよ……あとで説明するから、許してくれませんかね?」
[おかえり]
「あの、使い回すのはもうやめよう?」
[おかえり]
アヤさんとはすでに別れている。
騎士たちをフルボッコにしたが、真面目な監視役が隠れていたのでお任せした。
信頼とかはまったくないが、それに対抗するだけの力を彼女が手に入れていたので……知識だけだとしても、【聖女】の能力を底上げできるとは。
──やっぱり、強引に押し入ろうかな?
「おう、アサマサ! 今日の収穫だけでもかなりの……って、どういう状況だ!?」
「見て分からないの? どう見てもいつものことじゃないの」
「ははっ、そりゃそうだな。なんかもう、ずいぶんと見慣れてきたよな」
「あの……二人とも、助けてくれない?」
無理、同郷の幼馴染コンビはそう言って俺たちの仲介をやってくれない。
まあ、自業自得なんだけど……もう少し、寛大になってくれてもいいと思うんですが。
それでは、また一月後に!
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