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幸運値ー99999?!異世界で出会った彼は『最凶不幸転生者アラタくん』  作者: ひととせ そら


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06.アラタとの出会い

キーノ村を出てから1時間。

アラタって人の書いていた村へ辿り着いた。


ひなた「着いた。ここですよね?」

アリシア「はい。宿屋へ向かいましょう。」

2人で村の宿屋へと向かう。


宿屋の主人「おや、いらっしゃい。」

アリシア「あの、ここにアラタって人が、泊まっていると思うのですが…。」

宿屋の主人「あぁ、いるよ。2階の203号室だ。」

アリシア「ありがとうございます。」

2人で2階に上がると、

203号室のドアを、アリシアがノックする。


アリシア「アラタさん。アリシアです。いらっしゃいますか?」

すると、すぐにドアが開けられ、

中からやつれた顔の若い男性が現れた。


若い男性「あぁ…ええと、あなたが聖女様の…。」

アリシア「はい、アリシアです。」

若い男性「それと…」

男性の視線がこっちに移り、私を見つめてきた。


ひなた「ひなたです。」

若い男性「あ…俺、アラタ。よろしく。とりあえず、入って。」

男性に招き入れられ、アリシアと2人で部屋の中へ入る。


アリシア「アラタさん。やっとお会いできてよかったです。

待ち合わせ場所に全然来られなくて、心配していたんですよ?」

部屋の中央まで来ると、アリシアがアラタを見て心配そうに見つめる。


アラタ「あ…すみません。

メッセージでも書いたとおり、キーノ村までは辿り着いたんですけど、

あの村で、急に魔物が大量発生して…俺、即死しちゃったもので…。」

アリシア「それなのですが、もしかして、

あの『魔物が大量発生した原因』というのは…。」

アラタ「あ…はい。多分…俺の体質のせいかと…。」

気まずそうに答える。


ひなた(どおりで、あんなおかしな大量発生になってたわけだ…。)

アラタの返答に内心で納得した。


アリシア「そのアラタさんの体質のことなのですが…。

ユーザー掲示板に書かれていた『死に戻り』と、

なにか関係があるのでしょうか?」

アラタ「はい、詳しく話します。まずこれ、見てもらえますか?」

青い半透明のウィンドウ画面を表示し、自分のステータスを見せる。


上から順に確認していく。


ステータスには、至って平凡な数値が並ぶ。

しかし…


【アラタ】


性別:男

種族:人間

職業:冒険者


レベル:36

体力:531

魔力:15

攻撃力:116

防御力:88

すばやさ:53

幸運:ー99999



ひなた「…え? 幸運値ー99999?! なに、これ…。」

アリシア「…こ、こんなことってあるんですか…?」

アリシアは驚きすぎて口をポカンとし、呆然とした。


アラタ「俺にもなにがなんだか…。

こっちの世界に初めて転生してきた時から、こうだったんです。」


ひなた「…。」

ひなた(神様のミス?

だとしても、なんでまた、そんなことになんて…。)

アラタのステータスを見て考え込む。


アラタ「これのせいなのか…転生してきた初日から、

いきなり道端で男に襲われて、刺されて死にました。」

アリシア「そんな…。」


アラタ「気づいたら、なんか知らない宿屋にいて…。

多分、初期のリスポーン地点とかなんでしょうね。

よく分からないまま、とりあえずはその街で、

数日過ごしてたんですけど…。」


一瞬、沈黙が過ぎる。


アラタ「今度は、頭上に隕石が落ちてきて、そのまま…。」

アリシア「ひっ…!」

アラタ「で、またその宿屋に戻っていて…。

今度は、1週間後に街の外に出たら、

街道ですぐ狼の魔物の群れに遭遇し…。」

それを聞いて、アリシアの顔がさらに恐怖で引きつる。


アラタ「それなら、街の中にいればいいかと思って、

今度は2週間くらい外に出ずにいたんですけど…。

そしたら突然、体から黒い煙が出て、苦しくなって…死にました。

あれは本当になんで死んだのか、いまだによく分からず…。」


そうしてアラタは、今までの経緯を淡々と私とアリシアに話してくれた。


街の中にいても、外に出ても。

人相手でも、魔物でも。

何をしても、しなくても。


その、『幸運値ー99999』によってさまざまな不幸が降りかかり、

ひと月と生きられずに、死に戻りを繰り返し続けてきたのだ、と…。


アラタ「最初は、数えてました。あぁ、今回で10回目だな、とか。

でも、それが止まることもなく、永遠と続いて…。

100回目くらいから、もう数えるのもやめちゃいました。」

アリシア「それは…おつらかったでしょう…。」

胸元で手を組み、悲し気な表情でアラタを見つめる。


ひなた(…。『永遠と死に戻り続ける』…。

なら、それはなんのために起きるんだろう…?)

アラタの話にただ耳を傾け、視線を下げて考え込む。


アリシア「もう大丈夫ですよ、アラタさん。

私は聖女をしています。呪いや闇魔法を解くのが得意ですから、

任せてください。」

アリシアがアラタに近づいて、両手をアラタの胸元にかざし、

目を閉じて集中する。


アラタ「ありがとうございます、聖女様。」

アリシアを見つめ、安堵の笑みを浮かべる。


ひなた(本来、この世界だろうと、死は『一度きり』。

死ねば、蘇ることはない。それは、転生前のあの現代とも同じ原理。

…にも関わらず、アラタさんは死に戻りを起こす。)

アリシアとアラタの様子を見つめながら、一人、深く考え込む。


ひなた(…だとしたら、アラタさんが他の人たちとは違って、

幸運値ー99999のステータスによって簡単に死ぬから、

死に戻りという能力を神様がつけた…?)

その理屈には辿り着いたものの…


ひなた(神様の配慮?

…いやいや、だったらなんで、

そもそも幸運値ー99999なんてつけるのって話。

それなら、最初からそんなことしないでよね…。)

考え込んだまま、軽く首を横に振った。


そんな時…


アリシア「…ふぅ…ダメです。

私の神聖魔法にまるで反応しません…。」

アラタに解呪の魔法を試みていたアリシアが、

深いため息を吐いて首を横に振り、両手を下ろした。


アラタ「そっか…。

いや…試してくれてありがとうございました、聖女様。」

明らかに落胆したかと思うと、苦笑いを浮かべ、

アリシアにお礼を言った。


アリシア「いえ…お力になれず申し訳ありません、アラタさん。」

アリシアも落ち込んだ表情をして俯く。


アラタ「いや、聖女様のせいじゃないですし、

そんなに落ち込まないでください。」

困ったように笑う。


アリシア「でも…これだと私のいる意味がありません…。

私、聖女なのに…。」

もっとシュンと落ち込んだ。


アラタ「そんなことないですって。

ここまで来てくれて、こうして話して、

色々してくれたってだけでも、俺、救われましたから。」

アリシア「うぅ…なんてお優しい…。

ありがとうございます…アラタさん。」


ホーッ…ホーッ…


そこに、フクロウの鳴き声が、窓の外から聞こえきた。


アリシア「あ…もうこんな時間でしたね。私たちはそろそろ…。」

アリシアがちらりとこっちを見た。


ひなた「そうですね。」

こくりと頷く。


アラタ「ありがとうございました。

また、どこかでお会いできたら…。」


私とアリシアがドアの方へ向かう。

見送ろうと、ドアの方へ向かったアラタだが、

突然…


アラタ「…うっ…あぁっ…!」

胸元を強く掴んで苦しみだし、床に倒れ込んだ。


ひなた「え?アラタさん?」

アリシア「どうされたんですか?!アラタさん!!」

アリシアとアラタの元に駆け寄り、しゃがんで心配そうに窺う。


アラタ「はっ…うぁぁ…っ!」

床でうずくまるその体から、得体の知れない黒い煙が立ち始める。


ひなた「これ…。」

アリシア「はい…。」

2人で理解する。

これは、さっきアラタの話してた、『死因になった一つのやつ』だ、と。


ひなた(しかも、なぜ死んだのか最も理解できなかったって、

本人も言ってた一番厄介なやつ…。)


アリシア「待っててください、アラタさん! 今、私が…」

慌てて両手をアラタにかざし、解呪の魔法を試みる。


…が、いとも簡単に弾かれた。


アリシア「え…? な、なに…これ…。」

初めての事態に戸惑うアリシア。


ひなた「待って。私もやってみる。」

アリシアの横に並び、アラタに両手をかざす。


ひなた(もし、あの幸運値のステータスだとしたら、

一時的なデバフを解除するこれが、効くかどうか分からないけど…。)


ひなた「全ての悪しきものを祓え…

制約からの解放(ディスペルマジック)!!」

辺りに眩い光が放たれるが、結局黒い煙は消えなかった。


アラタ「うぁぁぁ…!!!」

激しい痛みに悶え、床を転げたと思うと、

体全体が黒ずみ、灰となってアラタの体が消滅した。


ひなた「え…嘘……。」

アリシア「そんな…っ!アラタさん!!」


呆然とアラタのいた場所を見つめる私と、

泣き叫ぶアリシアの声だけが、部屋に響いた…。

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