第109話 お宝
27階層を攻略して階段を下ると、休憩スペースにはポータルがあった。
「あれ? 10階、20階、その次は30階じゃないの〜? これ本物?」
「レオン見て、宝箱あるよ」
「本当だ! 宝箱じゃん。開けようよ〜」
「ちょっと待って、罠とかないか調べるから」
レオンが言うように、休憩スペースにはポータルがあった。そして奥には金色の棺のような箱が置いてあった。
すぐに開けようとするレオンにアリサが焦ったように罠がないか調べると言って止めていた。宝箱というやつには罠が仕掛けられているのか? 恐ろしいな。
あんなのが置いてあったら誰もが開いてしまうだろ。
「ん〜罠はないみたい。レオン、開けてもいいよ」
「じゃあ開けよ〜、金銀財宝がザックザクだといいよね〜」
そんなものがダンジョンにあるのか? ダンジョンで発掘されるお宝というのは、こうして階層を攻略した時に置いてある宝箱に入っているのかもしれないと思った。
「へ? 何これ。こんなでっかい箱なのに、カメラ一個しか入ってないよ」
「カメラ? これってインスタントカメラ? なんで?」
「そういえばカメラなんてこの世界にあるわけないよね。なんでだろう?」
「フィルムは?」
「ないね〜」
レオンとアリサは知っているものだったらしい。魔道具だろうか?
「アリサ、ハイチーズ」
パシャッ、ジィーー
「フィルム要らないんじゃない? 入れてないけど出てきたし」
「魔法ってこと? 特に使い道は思い浮かばないけど、カメラがない世界だし希少価値高いかも」
「だよね〜」
ドランは興味がないのか、クッションを出して寛いでいる。さっきの戦いで流血していたからな。疲れているのかもしれない。
ココとアシュレイはカメラと呼ばれたものが気になるようだ。
レオンが魔道具から出てきた紙を見て、ココとアシュレイが驚いている。
紙が出る魔道具なのか? 書類を作るにしても手紙を書くにしてもちょっと小さい。使い道が限られる紙だな。
「アデルはカメラ知ってるよね〜」
「知らん」
レオンが俺に聞いてきたが、あんな紙が出る魔道具を俺は知らない。
「前にアデル撮ったじゃん。スマホで。ほらこれ」
レオンが見せてきたのは、レオンの世界ではほとんどの人間が持っていると言われる板だった。
そこには鏡のように俺の顔を写したまま停止しているものがある。ああ、カメラとか言っていたな。じゃあその紙はなんだ?
「これ、さっき撮ったアリサ」
そう言って見せられた紙のような紙でないようなツルツルしたものに、アリサの顔が鏡のように停止して写っていた。
「この薄いのもカメラなのか?」
「それは写真ね」
「分からん。カメラとシャシンの違いが分からん」
とにかく鏡に写ったものを停止して表示させる魔道具らしい。
何に使うのかは正直分からないが、貴族の見合いの時に絵姿の代わりに出せば、実際に会ってみたら全くの別人だったということがなくなるのではないかと思った。
「レオン、宝箱には他に何が入ってたんだ?」
「これだけ。あんなでっかい宝箱なのに、箱の方が価値ありそうだよね」
見た目は宝箱の方が金色だし価値はありそうだ。しかしカメラというものの価値は未知数。どちらとも言えない感じがしている。
「28階層チラ見して、今日はもう戻ろうか〜
俺、武器買いたいんだよね。バルムンクがダンジョンは苦手っぽくてさ。普通の魔物はいいんだけど、ゴーレムは無理って言うし、ダンジョンボスも力が入らないって拒否反応が出るみたい」
「そんなことがあるんですね。バルムンクは伝説と言われる武器ですし、何が相手でも怯まないのかと思っていました」
「怯んでるっていうより、力が入らないみたい。相性の問題かな? ほら、氷は火に弱いとか、そういう感じ?」
「なるほど」
バルムンクも万能ではないということか。ミスリルも手に入ったんだし、いい武器がなければ作ってもらうのもありだ。
28階層を見たら、海だった。湖ではなく海だ。波が押し寄せて、砂浜が広がり、空は真っ青だった。明日は海の攻略だ。
休憩スペースに戻ると、まずはダンジョン入り口にある冒険者ギルドに27階層攻略の報告をして、ダンジョン都市に行くことになった。
ポータルに魔力を登録し、入り口に戻った。ポータルはダミーではなく本物ということも証明された。
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