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悪魔討伐の後に 4

 屋根の上から、路地を見下ろせば、人通りは少ないものの、人通りがないわけではなかった。その中で一般人ではなさそうな雰囲気を纏っているような人を探していた。人通りが少ないというのもあり、すぐに怪しい人物を探し出すことができた。彼は明かに怪しく、周りを気にしながら猫背で路地の中を歩いていた。


 彼は相手の背中側に折りて、相手が振り返ると同時に相手の片腕を取り、ひねり上げた。彼のいきなりの暴挙に驚き、声を上げようとしたところで、彼が口を押えた。


「なんだったか。セルスターズ、バイフィル、ハイドの組織の奴か? それとも、他の組織で、三つの組織の場所を知っていたら、今すぐ、教えた方が身のためだが」


 彼は小鳥のことになると、彼女のことしか見えなくなっていた。そのことを相手は知る由もなく、自身の命の危機を感じている。しかし、彼が拘束した人は全く、話す気がないのか、一つも言葉を発さない。


 龍樹が拘束した者に対して攻撃する前に、彼の顔の辺りに布の袋が近づけられた。拘束していた者は自身の口と鼻を別の布で覆っている。彼は突然、近づけられた袋に何が入っているかなどわかるはずもなく、彼の嗅覚に甘い匂いが触れた。砂糖菓子のような甘い匂いがして、彼はその袋を弾き飛ばした。それと同時に、拘束を解いてしまい、相手は地面に転びそうになり四つん這いになった。しかし、相手はすぐに立ち上がり龍樹の様子を確認していた。


「くそ、なんだ、これ。何しやがったんだ……」


 龍樹は地面に膝をついて、その背が徐々に丸くなる。そのまま、地面に手をついて、腕にも力が入らなくなって、体が地面に近づいていく。龍樹は相手の顔を確認しようとしたが、視界は既に外を認識できないほどのぼけていた。




 龍樹が意識を取り戻したのは、彼が全く知らない場所だった。レンガのみで出来た部屋の中、光源といえば部屋の中で揺れている焚火のようなものだけだ。燃えている物が何かわからないが、煙は出ておらず、窒息することはなさそうだった。その部屋の中には、彼の下にはクッションが三つ連ねてあるものが置いてあり、彼の上には一枚の布がかけられていた。


 彼は自分がどこにいるのかはわからない。彼は自分がここに来る前の記憶を思い出す。思い出せば、すぐにその理由もわかった。あの甘い匂いを嗅いでから眠気が出てきて、おそらくそのまま眠ってしまったのだろう。そのまま、こんな場所に連れてこられたわけだ。もしかすると、明らかに怪しいあの人物が囮だったのかもしれない。


 どれくらいの眠っていたのかわからないが、これだけ時間を浪費してしまったことを考えれば、すぐにでも小鳥を助けに行かなくてはいけない。彼は簡易ベッドから起きて、扉を探す。壁際にはあまり火の光が届いていないため、彼の座っている位置からでは、この部屋を出るための扉は見えなかった。立ち上がり、壁に手をついて彼は魔法を使えることを思い出した。火の魔気を使って、部屋の中を照らす火を出現させた。その瞬間に部屋の外側から物音と何かの声がした。


 光を出したところで、部屋の扉の位置もわかっているため、中に入ってくることも想定して、戦闘の心構えをする。扉がゆっくりと開いて、中に二人の人が入ってきた。彼が魔法を放とうとした瞬間に、二人は慌てて、両手を前に出していた。


「ちょっと待ってくれ! ボスから怪我一つさせるなって言われてんだ。俺たちは何もしない。少し待っててくれないか。ボスにあんたが起きたことを報告してくる。そのあとに多分、ボスと面会にすることになると思うから、な。あんたは魔法を自在に操れる。俺たちじゃ敵わないし、ここで戦闘なんてしたら、俺たちは生き埋めだ。なぁ、とりあえず、今は攻撃はなしで、な?」


 彼はなぜか、彼のいうことを聞いていた。戦闘の意思は二人にはないとわかると、彼は敵意を少しだけ抑えた。時間を置いたことで、冷静になりやすくなっているのか、それとも別の原因があるのかわからないが、彼はかなり落ち着ていた。そのことについても彼に自覚はない。小鳥を探さなくてはいけないと考えながらも、その頭の中は冷静だ。


 部屋に入ってきた二人が部屋から出て行った。扉は開けっ放しで、簡単に出ていくことができるのだが、龍樹はボスと呼ばれていた存在に興味があった。この組織がどこかの犯罪者組織であることは間違いない。それは自分を誘拐したことを考えれば、すぐにわかることだろう。そして、犯罪者組織のボスであれば、他の犯罪者の居場所も知っているかもしれないと考えていた。だから、彼は部屋の中で大人しく待つことにしたのだった。

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