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悪魔討伐の後に 5

「ボスが来てほしいと、行っているから出てきてくれ」


 彼のいた部屋に、先ほど部屋の前にいたであろう二人が戻ってきた。龍樹を説得した人が彼にそういうと、龍樹はその人の言うことを聞いて、部屋を出た。廊下も部屋の作りと同じようになっていて、レンガでできた廊下だった。廊下の床は石のような材質で歩けば、靴がタンと音を立てていた。


「ボスにあっても暴れないでくれよ。ボスは気が短いわけじゃないけど、言葉の通じない奴には容赦ないから、な?」


 言われるまでもなく、龍樹はボスに会った瞬間に、ボスを脅して情報を得ようとは思っていない。情報を得るとするならば、攻撃的な態度は控えるべきだというのは彼も理解しているのだ。


 廊下をしばらく進むと、その先に一つの扉があった。周りに扉はないが、その扉の大きさは、龍樹自身が眠っていた部屋の扉を同じくらいの大きさだった。


「暴れなきゃ大丈夫だから。冷静に話してきなよ」


 龍樹はどれだけおせっかいなやつなんだと思いながらも、彼の言うことを頭に入れながら、扉の中に入っていった。


 扉の中も彼が眠らされていた部屋と同じような部屋で、レンガでできていた部屋だった。しかし、その部屋には金色の足がついている背中と座る部分がクッション性になっている椅子があり、それ以外にも木製のクッションのついていない椅子がいくつか乱雑に並んでいる。中には倒れているものもあった。それ以外には人が入れそうなほどの大きさの木箱がいくつか並んでいた。クッションのついている椅子に足を組んだ状態で座っている若めの男性がいて、部屋の中の椅子にも数名腰かけている者たちがいて、その視線は彼に向いていた。しかし、彼はその視線を気にすることができなかった。


 彼が部屋に入った、その瞬間にクッションの椅子に座っている者の隣にはベッドがあった。天蓋が付いていて、そのベッドは周りから守られているようなベールが覆っていた。そして、そのベールの奥にいるのは、間違いようもなく小鳥だったのだ。それを理解するのに、時間がかかり、それが理解できた瞬間に、体が動いていた。しかし、一歩目を踏み出した瞬間に、地面に押さえつけられた。


「手荒な真似をしてすまないね。でも、私は君と交渉がしたいだけなんだ。それに聖女様には運ぶとき以外は触れていないんだ。傷一つ、いや、聖女様の気分が悪くならないように、揺らさないように大切にこのベッドの上まで運んできたんだ。それに、君がここにすぐに来れるように囮を用意もしたんだ。それだけはわかってほしいな」


「だ、だからって、誘拐、すんな」


 彼の胸が地面に押し付けられていて、呼吸がしにくい状態で話していた。そのため、苦しそうな声を出していた。


「王宮に直接言っても、中には関係者しか入れませんので、強硬手段を取ってしまいました。それについては謝罪します。ですが、こうしなければ、交渉の席すら用意できなかったことは貴方も理解できているでしょう」


 龍樹は王宮でのことを思い出す。王宮はあれだけ広いというのに、人とすれ違うことがほとんどなかった。不法侵入すれば騎士たちに捕まえられるであろうことはあのマスクとの戦いを見れば、わかるだろう。暗殺者たちは見つけられることもなかったようだが、見つかれば騎士たちが戦うことになっていたのはずだ。つまりは、王宮に自分たちがいるときに交渉しようとしても会うことすらできないのだから、こういう手段を使うしかなかったというわけだ。


「あんたの言ったことは理解できるが、あまりの横暴だろ。あの時に眠らせて誘拐しなくとも、言葉でいえば、わかるだろうに」


「……あまり抵抗されると、手が滑ってしまうかもしれないね……。君とは脅迫ではなく、対等に交渉したかったんですけどね」


 そういいながら、彼は一本のナイフを取り出して、手元でふらふらと刃先を揺らしていた。その先端はベッドの方に向いている。その意味を龍樹は瞬時に理解した。交渉と言っても、相手の方がかなり有利な交渉だ。いや、彼にとっては断るという手段はないと言えるだろう。


「……俺と何を交渉しようっていうんだ。俺は戦うくらいしかできないんだが」


「いいね。従順なら、私も無理はしませんから」


 彼はそういうと、ナイフを床に置いた。椅子の横、ベッドがある方とは反対の側に床に置いていた。そして、彼は両手の指を組み合わせ、肘置きに肘をついていた。その手を自身の腹部の上に置いていた。


「私が交渉したいことはただ一つ。これ以上、王宮から命じられた活動をやめていただきたいというだけです。この町の犯罪者組織の全てを壊そうとしているのですが、我々はこのまま活動を続けたいだけなのです。あなた方には王宮に戻らずに生活してもらいたいのですよ」

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