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異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~  作者: 椿綺
第一章 始まりの村
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第九話 森の異変

白い狼の後を追い


浩平は森の奥へ進んでいた


歩き慣れた道を外れると


景色は少しずつ変わっていく


木々は太く


空気もどこか重かった


「こんな場所があったのか」


白い狼は立ち止まることなく歩いていく


その姿を見失わないよう


浩平も後を追った


――――


しばらく歩くと


一本の大木が見えてきた


村で見たどの木よりも大きい


だが


その根元には黒い泥のようなものが広がっていた


草は枯れ


花も咲いていない


「これは……」


その瞬間


【依頼発生】


依頼内容 森の異変を調査してください


依頼人 ???


報酬 ???


受注しますか?


YES/YES


「調査か」


浩平は迷わずYESへ触れた


頭へ流れ込んできたのは


植物の知識


土壌の知識


そして


水の流れを調べる方法だった


「また修理じゃないのか」


苦笑しながら地面を調べる


やがて原因が見えてきた


「根が傷んでる……?」


大木そのものではない


地下を流れる水が


黒い石に塞がれていた


水が届かず


木が弱っていたのだ


「なるほど」


工具箱を開く


中には見覚えのない道具が増えていた


小さなツルハシ


細いスコップ


根を傷付けず掘るための道具


「今回はこれか」


浩平は慎重に土を掘る


黒い石を取り除く


土を戻し


根を整える


最後に静かに手で土を押さえた


その時だった


ゴォ……


風が吹く


さっきまで止まっていた葉が揺れ始める


枯れていた草へ


少しずつ緑が戻っていく


「直った……のか?」


白い狼が大木へ近付き


静かに座った


その表情は


どこか安心しているように見えた


――――


その時


森の奥から


小さな光が一つ


ふわりと舞い降りる


浩平の前で止まり


すぐに消えた


工具箱が淡く光る


【依頼完了】


新しい知識を取得しました


「……知識?」


工具は増えなかった


初めてのことだった


「仕事によって違うのか」


浩平は工具箱を閉じる


帰ろうと歩き出した時


背後から


優しい女性の声が聞こえた気がした


「ありがとう」


振り返る


そこには


白い狼しかいなかった


「……空耳か」


浩平は少し笑い


村への道を歩き始めた


白い狼は


その背中を静かに見送っていた

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