第八話 畑を荒らす魔物
朝
宿を出ようとした浩平を
村長が呼び止めた
「便利屋さん」
「少し相談がある」
「何でしょう」
「畑が荒らされとる」
村長の表情は暗かった
「夜になると魔物が現れてな」
「せっかく育てた作物を食べてしまう」
「冒険者を呼ぶほどではない
だがこのままでは村のみんなが困る」
その瞬間
【依頼発生】
依頼内容 畑を守る
依頼人 グラン村長
報酬 銀貨八枚
受注しますか?
YES/YES
「守るですね」
浩平は小さく笑った
「お受けします」
――――
夕方
浩平は畑を歩き回っていた
足跡を見る
折れた草を見る
食べられた作物を見る
「猪型の魔物か」
工具箱を開く
新しい道具が増えていた
丈夫な杭
太いロープ
鈴
木製の滑車
「追い払うより」
「入れない方が早いな」
浩平は畑の周りへ杭を打ち
ロープを張る
滑車を使って簡単な開閉柵を作る
さらに
魔物が嫌がる匂いの薬草を入口付近へ置いた
「これで様子を見るか」
――――
夜
リン……
鈴が鳴る
茂みから大きな猪型の魔物が姿を現した
畑へ近付く
しかし
薬草の匂いを嗅ぐと足を止めた
柵の周りを歩く
隙間を探す
だが見つからない
やがて森の方へ戻っていった
「一匹だけじゃないな」
浩平は足跡を見る
何頭もいる
「原因は別にありそうだ」
――――
翌朝
畑は無事だった
村人たちは喜ぶ
「助かった」
「これなら安心だ」
だが
浩平は森を見つめていた
「まだ終わってないな」
その時
森の奥から
見覚えのある白い狼が現れる
浩平を見ると
そのまま森へ歩いていく
途中で一度だけ振り返った
「来いってことか?」
白い狼は静かに森の奥へ消えた
浩平は畑を見渡す
依頼は果たした
畑は守れた
でも
森では何かが起きている
そんな気がした
工具箱を閉じ
浩平は白い狼の後を追った




