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異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~  作者: 椿綺
第七章 家族の選択

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第八十四話 封印の森

地響きは


次第に大きくなっていった


ズン……


ズン……


王国軍も


魔族軍も


武器を構える


だが


互いへ向けたものではない


森の奥へ視線を向けていた


――――


魔王は険しい表情で呟く


「やはり……」


浩平が尋ねる


「何か知っているんですか」


魔王は静かに頷く


「あの森には」


「古くから封印が施されている」


「封印?」


円が驚いた表情を見せる


「数百年前」


「人間と魔族が協力して封じた魔物だ」


浩平は思わず顔を上げる


「協力して?」


「そうだ」


「戦争が始まる前の話だ」


魔王は森を見つめたまま続ける


「その封印が」


「何らかの理由で弱まっている」


――――


その時


森の木々が大きく揺れた


バキバキッ!


轟音とともに


巨大な魔物が姿を現す


高さは十メートルを超え


全身は黒い甲殻に覆われている


兵士たちが息を呑んだ


「あれは……」


魔王は低い声で答える


「封印獣グラディウス」


「この世界を滅ぼしかけた魔物だ」


――――


グラディウスは


咆哮を上げる


その衝撃だけで


周囲の木々が揺れた


続いて


森の奥から


無数の魔物が姿を現す


「まずい!」


王国軍の隊長が叫ぶ


「数が多すぎる!」


魔族軍にも動揺が走る


浩平は静かに辺りを見回した


人間も


魔族も


誰もが同じ表情をしている


恐怖だった


――――


浩平は一歩前へ出る


「魔王様」


魔王も浩平を見る


「このままじゃ」


「人間も魔族も関係なくやられます」


魔王は力強く頷いた


「ああ」


「ここから先は」


「共に戦おう」


浩平は微笑む


「戦うというより」


「みんなを守りましょう」


その一言に


魔王は少し笑った


「やはり」


「お前は便利屋だな」


――――


その瞬間


工具箱が静かに光る


【依頼更新】


依頼内容


魔王との戦争を終わらせてください


達成条件を更新しました


【人間と魔族が共に未来を選ぶこと】


浩平は表示を見つめ


静かに頷いた


「なるほど」


「そういうことか」


依頼の本当の意味を理解した浩平は


ゆっくりと工具箱を閉じた


そして


人間と魔族の間へ立つ


「皆さん」


「今は敵同士じゃありません」


「目の前の命を守りましょう!」


その声は


戦場となった国境に


力強く響き渡った


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