第七十九話 王からの依頼
翌朝
浩平と円は
宿で朝食を取っていた
窓の外は
いつもと変わらない王都の朝
市場には活気が戻り
人々の笑い声が聞こえてくる
その時だった
コンコン
宿の扉が叩かれる
「浩平様」
宿の主人が少し緊張した表情で立っていた
「王城から使者の方がお見えです」
浩平と円は顔を見合わせる
「王城から?」
「はい」
「至急お越しいただきたいとのことです」
――――
王城へ着くと
いつもとは違う空気が流れていた
廊下を行き交う兵士たちの表情は硬く
城内には緊張が漂っている
応接室の扉が開く
そこには
国王
エリオット
王国軍の将軍たちが待っていた
「急な呼び出しで申し訳ない」
国王が静かに頭を下げる
「何かあったのですか」
浩平が尋ねると
エリオットが国境の地図を広げた
「昨夜」
「魔王領との国境付近で」
「大きな動きが確認されました」
部屋が静まり返る
「戦争ですか」
浩平の問いに
国王はゆっくり首を横へ振る
「まだ分からぬ」
「だからこそ」
「お主に頼みたいことがある」
――――
その瞬間
工具箱が静かに光り始める
ゆっくりと依頼書が浮かび上がった
【特別依頼】
依頼内容
魔王との戦争を終わらせてください
依頼人
王国連合
報酬
世界の平和
受注しますか?
YES / NO
部屋の誰にも
依頼書は見えていない
浩平だけが静かに見つめていた
「……」
円は浩平の表情を見て
何かを察する
「浩平」
浩平はゆっくり頷いた
そして
工具箱へそっと手を置く
「受注します」
工具箱は
眩しく光り
依頼書は静かに消えた
【依頼受注】
表示はそれだけだった
――――
浩平は国王を見る
「陛下」
「一つだけお願いがあります」
「申してみよ」
「私は」
「戦争を終わらせるために動きます」
「ですが」
「もし戦わずに済む方法があるなら」
「私はその道を選びます」
国王は浩平を真っすぐ見つめる
長い沈黙のあと
静かに頷いた
「よかろう」
「余も」
「民が笑って暮らせる未来を望んでいる」
浩平は深く一礼した
こうして
便利屋・相澤浩平は
これまでで最も大きな依頼を受けることになった




