表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~  作者: 椿綺
第七章 家族の選択
PR
71/78

第七十一話 家族の気持ち

第七章 家族の選択


異世界で便利屋として歩み続けてきた浩平。


多くの人との出会いを通して、壊れた物だけではなく、人と人との繋がりも少しずつ結び直してきました。


そして今、その想いは異世界だけではなく、日本に残した大切な家族へと向かいます。


離れていても変わらない想い。


支え合う家族だからこそできる決断。


それぞれの優しさが重なった時、新たな一歩が踏み出されます。


『家族の選択』


どうぞ最後まで見届けていただければ幸いです。


翌日の夕方


円は夕食の支度をしていた


包丁の音が


静かな台所へ響く


鍋から立ち上る湯気


味噌汁の香り


いつもと変わらない時間だった


それでも


どこか心ここにあらずだった


――――


「母さん」


息子が冷蔵庫から麦茶を取り出す


「最近どうしたの」


円は振り返る


「え?」


「何でもないよ」


笑って答える


けれど


息子は首を横へ振った


「親父のこと考えてるだろ」


包丁を持つ手が止まる


しばらく沈黙が続いた


やがて円は小さく頷く


「分かる?」


「母さんとは長い付き合いだからね」


息子は少し笑った


「隠せてないよ」


――――


そこへ


義娘がお茶を運んできた


「お義母さん」


「少し休みませんか」


円は微笑みながら椅子へ座る


椿綺は楽しそうに遊んでいる


その姿を見つめながら


円は静かに口を開いた


「ねえ」


「もし……」


「もう一度浩平に会えるとしたら」


息子と義娘は顔を見合わせる


「会いたい」


円は小さく笑う


「でも」


「そんなことあるわけないよね」


その笑顔は


どこか寂しかった


――――


義娘が静かに口を開く


「私は」


「会えるなら会ってほしいです」


円は驚いたように顔を上げる


「お父さん」


「きっと待ってます」


「お義母さんのこと」


息子も静かに頷いた


「俺もそう思う」


「親父なら」


「母さんに心配かけたままなんて嫌だと思う」


円は何も言えなかった


胸の奥が熱くなる


――――


その夜


円は一人で庭へ出る


見上げた夜空には


丸い月が浮かんでいた


「浩平」


自然と名前がこぼれる


「会いたいよ」


その言葉が風に溶けた瞬間


どこからともなく


優しい風が吹き抜ける


円は胸へ手を当てる


なぜだろう



すぐ近くに


浩平がいるような気がした


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ