第六十八話 みんなでつないだ道
翌朝
まだ薄暗いうちから
崩落現場には人が集まっていた
職人たちは道具を準備し
商人たちは石材を運ぶ
衛兵は周囲の安全を確認する
誰に言われるでもなく
それぞれが動き始めていた
「皆さん」
「今日で終わらせましょう」
浩平の一言に
力強い返事が返ってくる
「おう」
――――
作業は昨日以上に順調だった
排水路は最後まで掘り終わり
流れを確認する
山から流れてきた水は
新しい水路を通り
勢いよく下流へ流れていった
「これなら大丈夫ですね」
浩平は静かに頷く
続いて
最後の石材が運ばれる
「せーの」
職人たちが息を合わせ
街道へ石を据え付ける
隙間を埋め
地面を固める
何度も確認を繰り返しながら
慎重に仕上げていく
――――
昼過ぎ
浩平は街道をゆっくり歩いた
足元に沈み込みはない
石のぐらつきもない
排水路も問題なく機能している
「完成です」
その言葉に
大きな拍手が響いた
誰からともなく笑顔が広がる
――――
ほどなくして
山間の村から荷馬車がやって来た
御者は恐る恐る街道へ車輪を乗せる
ゆっくりと進み
崩落していた場所を越える
荷馬車は止まることなく
村へ向かって走っていった
「渡れた」
「成功だ」
歓声が山へ響く
村人たちも駆け寄り
何度も頭を下げた
「ありがとうございました」
「これで安心して暮らせます」
浩平は微笑む
「皆さんのおかげです」
「私一人では完成できませんでした」
グラントが笑う
「違うな」
「お前がいたから」
「みんなが集まったんだ」
その言葉に
誰もが静かに頷いた
――――
工具箱が優しく光る
【依頼完了】
報酬を受け取りました
報酬
金貨三枚
『土木工具一式』を追加しました
表示が消えると
新たな文字が浮かび上がる
【特別依頼 更新】
浩平は静かに表示を見つめる
【最後の準備が整いました】
それだけ表示されると
工具箱は静かに光を失った
浩平は空を見上げる
青空の向こうには
まだ見ぬ未来が広がっている
その未来へ向かって
浩平はゆっくりと歩き始めた




