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異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~  作者: 椿綺
第六章 帰るための鍵
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第六十七話 それぞれの役割

朝日が山々を照らす頃


浩平たちは崩落現場へ到着した


街道は大きくえぐられ


岩や倒木が行く手を塞いでいる


「思った以上ですね」


浩平は周囲を見渡した


グラントが腕を組む


「一日では終わらんな」


「ですね」


浩平は静かに頷く


工具箱を開き


地形を確認していく


しばらく周囲を歩くと


一枚の図面が浮かび上がった


「まずは安全を確保しましょう」


浩平は地面へ棒で線を引く


「衛兵の皆さんはここから先を立入禁止にしてください」


「了解」


「職人の皆さんは倒木の撤去をお願いします」


「任せろ」


「エドガーさんたちは石材の運搬を」


「分かった」


「パン屋さんは休憩場所の準備をお願いします」


「腹が減ったら仕事にならねえからな」


周囲に笑いが広がる


――――


それぞれが持ち場へ向かう


誰一人


文句を言う者はいない


浩平も工具を手に取り


崩れた斜面を調べ始める


「このまま直しても」


「また崩れますね」


グラントが隣へ来る


「どうする」


「水の逃げ道を作ります」


浩平は山肌を指差した


「雨水がここへ集まってます」


「だから地盤が弱くなった」


「先に排水路を作れば」


「街道は長持ちします」


グラントは感心したように笑う


「なるほど」


「修理じゃなく」


「原因を直すわけか」


「その方が安心ですから」


――――


作業は順調に進んでいく


倒木が片付けられ


石材が運ばれ


排水路も少しずつ形になっていく


すると


遠くから子どもの声が聞こえた


「おーい」


山間の村の子どもたちだった


「頑張ってー」


「もう少しだよー」


小さな声援に


作業をしていた大人たちが笑顔になる


「よし」


「張り切るか」


職人たちは再び道具を握った


――――


夕方


その日の作業を終え


浩平は崩落現場を見渡した


まだ半分ほどしか終わっていない


それでも


朝とは景色が違う


「明日には」


「道が見えてきそうですね」


その時


工具箱が静かに光る


【進行状況】


復旧率 四十二%


浩平は苦笑した


「まだ半分にも届かないか」


グラントが肩を叩く


「焦るな」


「仕事は急ぐより確実だ」


「はい」


浩平は頷く


夕日に照らされた街道には


多くの人の足跡が残っていた


その一つひとつが


未来へ続く道を


少しずつ作り上げていた


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