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異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~  作者: 椿綺
第六章 帰るための鍵
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第六十二話 古代の工房

浩平はゆっくりと遺跡へ足を踏み入れた


外から見た以上に


中は広く静まり返っている


石造りの通路には


長い年月を物語る傷跡が刻まれていた


「誰もいないのか」


小さく呟く


その声だけが


静かな遺跡へ響いていく


――――


工具箱が淡く光る


【案内を開始します】


「案内」


浩平は周囲を見回す


すると


床へ一本の細い光が伸びていく


「こっちか」


光を頼りに歩き始める


途中


崩れた柱が道を塞いでいた


浩平は柱を確認する


「持ち上げるのは危ないな」


工具箱を開く


中には


石工用ジャッキ


固定具


木製の支柱


必要な道具が並んでいた


慎重に柱を支え


崩れないよう固定する


ゆっくりと隙間を作ると


人ひとり通れる道が現れた


「よし」


浩平は静かに頷く


――――


さらに奥へ進む


壁には


見たことのない古い文字が刻まれていた


読むことはできない


それでも


工具箱が近付くにつれて


文字が淡く光り始める


「反応してる」


浩平が壁へ手を触れる


その瞬間


工具箱が再び光る


【歴代便利屋の工房】


表示は


それだけだった


「工房……」


浩平は思わず辺りを見回す


そこは神殿ではなかった


作業台


工具棚


砥石


炉の跡


誰かが仕事をしていた形跡が


今も残されていた


「便利屋の……工房」


浩平は静かに息をのむ


――――


工房の中央には


大きな石の台座があった


その中央には


鍵穴が一つ


浩平は胸ポケットから


古びた鍵を取り出す


「ここか」


ゆっくりと鍵穴へ近付ける


その時だった


工具箱が強く光る


【認証を確認】


【継承資格を確認】


【最終確認を開始します】


表示が次々と現れる


浩平は鍵を握ったまま動きを止めた


「継承資格……」


遺跡全体が


静かに震え始める


低い音が


工房の奥から響いてきた


ゴゴゴ……


閉ざされていた石壁が


ゆっくりと左右へ開いていく


その奥には


まだ誰も見たことのない部屋が


静かに姿を現していた


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