第六十一話 鍵が示す場所
# 第六章 帰るための鍵
異世界で便利屋として多くの人を助けてきた浩平。
壊れた橋を直し
止まった時計を動かし
人と人との繋がりも少しずつ結んできました。
そんな浩平の前に現れた
「特別依頼」
その依頼は
これまでとはまったく違う意味を持つものになります。
そして少しずつ明かされる工具箱の秘密。
浩平が本当に向かうべき場所とはどこなのか。
新たな物語が、ここから始まります。
朝
浩平は宿の机へ
古びた鍵を置いていた
昨夜
工具箱から現れた一本の鍵
鉄とも銅とも違う
見たことのない金属でできている
「どこの鍵なんだろう」
何度見ても分からない
その時
工具箱が静かに光る
【目的地を更新しました】
浩平は工具箱を開く
蓋の裏へ
王都の地図が映し出される
昨日とは違う
光は王都ではなく
北の山々を指していた
「街の外か」
――――
浩平は職人ギルドを訪れた
「グラントさん」
「少し聞きたいことがあります」
「どうした」
浩平は古びた鍵を差し出した
「こんな鍵を見たことありませんか」
グラントは鍵を手に取り
何度も眺める
「いや」
「こんな鍵は見たことがない」
「だが……」
「古代遺跡から出土する道具に少し似ている気もする」
「古代遺跡ですか」
「ああ」
「北の山には古い神殿の跡がある」
「昔から誰も近寄らん場所だ」
浩平は小さく頷いた
「ありがとうございます」
――――
職人ギルドを出ようとした時
エリオットが駆け寄ってきた
「浩平さん」
「ちょうど良かった」
「北の山へ行くんですか」
浩平は驚く
「どうして分かったんですか」
「最近あの辺りで不思議な光を見たという報告がありまして」
「王城でも少し気になっていたんです」
「何か関係があるかもしれませんね」
浩平は工具箱へ目を向ける
偶然とは思えなかった
――――
昼過ぎ
北門へ向かう
門番へ挨拶をすると
門番は笑顔で送り出してくれた
「気を付けてな」
「ありがとうございます」
浩平は山道を歩き始める
風が木々を揺らし
鳥のさえずりが響く
しばらく歩くと
工具箱が再び光る
【目的地まで あと五百メートル】
「もうすぐか」
歩みを進める
やがて木々の向こうに
石造りの建物が姿を現した
崩れかけた柱
苔むした石畳
長い年月を感じさせる遺跡だった
浩平はゆっくりと立ち止まる
手の中の古びた鍵が
淡く光を放ち始める
まるで
この場所へ帰ってきたことを
喜んでいるようだった




