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異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~  作者: 椿綺
第一章 始まりの村
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第六話 白い狼

森の橋を直した翌日


浩平はもう一度森へ向かっていた


「一応確認しておくか」


直したばかりの橋だ


何かあれば困る


橋は問題なかった


人が渡っても


荷車が通っても大丈夫そうだ


「これなら安心だな」


その時


カサッ


茂みが揺れた


浩平が振り向く


そこにいたのは


昨日の白い狼だった


「また会ったな」


白い狼は逃げない


ただ浩平を見ている


「何か用か?」


近付いてくる様子はない


だが


よく見ると


右の前足を怪我していた


「なるほど」


浩平は工具箱ではなく


腰の袋から布を取り出した


「修理するのは物だけじゃないからな」


近付くと


白い狼は少し警戒した


「大丈夫だ」


「噛むなら先に言ってくれ」


もちろん返事はない


浩平は苦笑する


ゆっくり傷を確認する


深くはない


だが走るには痛そうだった


その時


【依頼発生】


依頼内容 白い狼の手当て


依頼人 ???


報酬 ???


受注しますか?


YES/YES


「依頼人が分からないのは初めてだな」


浩平は表示に触れた


すると


薬草の知識


簡単な治療方法


動物への接し方


必要な情報が流れ込む


「便利なのは助かるな」


工具箱を開く


すると


見慣れない道具が増えていた


薬草を潰す器具


包帯を固定する道具


「今度は治療用か」


浩平は薬草を準備する


傷口を綺麗にし


薬を塗る


包帯を巻く


白い狼はじっと見ていた


「終わりだ」


立ち上がると


白い狼は前足を地面につけた


問題なく歩ける


「よかったな」


その瞬間


森の奥から低い唸り声が響いた


グルル……


黒い影が現れる


大きな狼型の魔物


一頭


二頭


三頭


白い狼の前に立ちはだかった


「怪我してるのに戦うつもりか」


白い狼が唸る


だが


浩平は前へ出た


「待て」


工具箱を開く


戦うためじゃない


仕事をするためだ


取り出したのは


強い音を出す道具


「こういう時は」


浩平は大きく息を吸う


ピィィィッ!


森中に音が響いた


黒い狼たちが動きを止める


耳を伏せ


周囲を警戒している


その隙に


浩平は近くの枝を拾った


地面へ強く叩きつける


バンッ!


大きな音が森へ響く


「こっちだ」


黒い狼たちの視線が浩平へ向く


その間に


白い狼は森の奥へ走り出した


黒い狼たちも追おうとする


しかし


浩平が間に立った


「そっちは通さない」


黒い狼たちは警戒する


だが


やがて森の奥へ消えていった


――――


静かになった森


浩平は工具箱を閉じる


「戦うより疲れるな」


その時


足元に小さな白い石が落ちていることに気付いた


拾い上げる


すると


工具箱が淡く光った


【素材を確認】


新たな加工が可能になります


「……素材?」


浩平は首を傾げる


工具が増えるだけじゃないのか


まだ知らない機能があるらしい


石をしまう


その瞬間


森の奥から


白い狼が一度だけ振り返った


金色の瞳が


静かに浩平を見ていた

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