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異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~  作者: 椿綺
第一章 始まりの村
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第五話 森の橋


宿を出た浩平に


「おーい 便利屋さん!」


聞き慣れた声が飛んできた


荷車の商人 ガルドだった


「昨日は助かった」


「おかげで商品も全部売れたよ」


そう言って小さな袋を差し出す


「干し肉だ


旅の足しにしてくれ」


「ありがとうございます」


浩平は笑って受け取った


その時


【依頼発生】


依頼内容 森の橋の修理


依頼人 ガルド


報酬 銀貨四枚


受注しますか?


YES/YES


「橋?」


ガルドが頷く


「森の近道に古い橋があるんだ」


「昨日通ったら今にも落ちそうでな」


「荷車じゃ怖くて渡れない」


浩平は迷わずYESに触れた


頭の中へ知識が流れ込む


橋の構造


荷重計算


木材の組み方


「相変わらず便利だな」


――――


森へ入ること三十分


問題の橋はすぐに見つかった


板は腐り


縄も切れかけている


「これは危ないな」


工具箱を開く


昨日までは無かった工具が増えていた


大工用の金槌


木工用クランプ


丈夫なロープ


浩平は苦笑する


「また増えてる」


もう驚きはしなかった


必要な仕事に


必要な道具が増える


それがこの工具箱らしい


――――


傷んだ板を外し


新しい木材へ交換する


支柱を補強し


ロープを張り直す


最後に全体へ体重を掛ける


ギシッ


橋は少し鳴っただけだった


「これなら大丈夫」


その時だった


奥の茂みが揺れた


ガサッ


浩平が振り向く


しかし誰もいない


「動物か?」


そう思い


再び橋へ目を向ける


茂みの奥では


一頭の白い狼が静かに浩平を見つめていた


敵意はない


まるで


仕事ぶりを確かめるような目だった


――――


村へ戻る途中


工具箱を開く


新しい工具が一本増えている


木工用の墨つぼ


木材へ真っ直ぐ印を付けるための道具だ


「橋を直したからか」


工具をしまい


静かに蓋を閉じる


その瞬間


工具箱の奥で


何かが一瞬だけ光った


だが


それが何だったのか


浩平は見ることができなかった

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