第五十八話 試される絆
翌朝
浩平はいつものように宿を出た
昨夜の出来事が
頭から離れない
石碑
老人
そして
【第一段階を確認しました】
工具箱は
それ以上何も語らなかった
「考えても仕方ないか」
浩平は苦笑しながら
王都の大通りを歩き始めた
――――
職人ギルドへ着くと
入口が慌ただしい
「どうしたんですか」
受付の女性が駆け寄る
「浩平さん」
「橋が壊れたそうなんです」
「橋?」
「王都の北にある石橋です」
「荷馬車が通れなくなってしまって」
浩平は静かに頷いた
「行きましょう」
その時
工具箱が淡く光る
【依頼発生】
依頼内容 石橋を安全に通行できるよう復旧してください
依頼人 王都の人々
受注しますか?
YES/YES
「お受けします」
――――
現場へ到着すると
橋の中央が崩れ
人々が立ち往生していた
商人
旅人
子ども連れの家族
誰もが困った表情を浮かべている
「思ったよりひどいな」
浩平は橋全体を見渡した
石材は残っている
土台も崩れていない
「直せます」
その一言に
周囲の空気が変わる
「本当か」
「はい」
「でも」
「一人では間に合いません」
浩平は振り返る
そこには
職人ギルドの職人たち
衛兵
そして以前助けた家具職人まで集まっていた
「俺たちも手伝います」
「便利屋さんには世話になりましたから」
商人も荷物を下ろす
「運ぶくらいなら任せてくれ」
衛兵も頷く
「安全確保は我々がやる」
浩平は思わず笑った
「ありがとうございます」
――――
工具箱を開く
石工用ハンマー
水平器
固定具
必要な道具が静かに並んでいた
浩平が指示を出す
「こちらを支えてください」
「石はこっちへ」
誰も迷わない
それぞれが自分の役割を果たしていく
やがて
最後の石がはめ込まれる
浩平はゆっくり頷いた
「これで大丈夫です」
恐る恐る荷馬車が橋を渡る
ギシッ
橋はびくともしない
「渡れた!」
歓声が上がる
拍手が広がる
浩平は少し照れながら頭をかいた
「皆さんのおかげです」
――――
工具箱が静かに光る
【依頼完了】
報酬を受け取りました
報酬
金貨一枚
『石工用工具』を追加しました
その表示が消えると
新たな文字が浮かび上がる
【第二段階を確認しました】
浩平は目を見開く
「また……」
その意味は
まだ分からない
しかし一つだけ
確かなことがあった
ここで築いた絆は
少しずつ
未来へつながり始めていた




