第四十七話 止まった噴水
王都の中央広場
普段なら勢いよく水を吹き上げる噴水の前には、多くの人が集まっていた
「水が出ないぞ」
「昨日までは普通だったのに」
子どもたちも心配そうに噴水を見つめている
浩平たちが広場へ到着すると、人々が自然と道を開けた
「便利屋さんが来た!」
誰かの声に、周囲の視線が浩平へ集まる
浩平は少し照れながら噴水へ近付いた
その時だった
【依頼発生】
依頼内容 王都の噴水を修理してください
依頼人 王城管理部
受注しますか?
YES/YES
「お受けします」
――――
浩平は噴水の縁へしゃがみ込み、水路を確認する
石材にひび割れはない
配管にも破損は見当たらない
「おかしいですね」
エリオットが尋ねる
「直せそうですか?」
浩平は首を横に振った
「噴水は壊れていません」
「え?」
「水が来ていないだけです」
グラントも噴水の中を覗き込む
「ということは……」
「原因は別の場所です」
――――
工具箱を開く
中には見慣れない道具が増えていた
探査棒
水準器
細い金属製の点検棒
浩平は探査棒を地面へ当てながら歩き始める
広場を一周
さらに一本裏の路地へ入る
やがて、ある場所で立ち止まった
「ここです」
そこには古びた石の蓋があった
エリオットが目を見開く
「地下水路の点検口……」
「最近は誰も入っていません」
浩平は静かに頷く
「原因は、この下にあります」
その場にいた人々が顔を見合わせる
「地下か……」
――――
浩平は石蓋へ手を掛ける
重い音を立てながら蓋が開く
地下から冷たい風が吹き上がった
暗い通路が奥へと続いている
浩平は工具箱を肩へ掛けた
「行ってみましょう」
その時だった
暗闇の奥から
ガラン……
何かが転がる音が響く
続いて
低いうなり声
グルルル……
広場の空気が一瞬で張り詰める
浩平は静かに暗闇を見つめた
「どうやら……」
「修理だけでは済まなそうですね」




