第四十六話 便利屋の仕事
時計塔の鐘は
今日も変わらず王都へ響いていた
規則正しく刻まれる音に
王城の職人たちは安堵の表情を浮かべている
「本当に助かりました」
王城管理官エリオットが深く頭を下げた
「時計塔は王都の象徴です」
「止まったままでは
市民にも不安を与えてしまいます」
浩平は少し照れながら笑う
「役に立てたなら良かったです」
――――
グラントが時計塔を見上げる
「浩平君」
「一つ聞いてもいいか」
「はい」
「君はどうして冒険者ではなく
便利屋なんだ?」
浩平は少し考えてから答えた
「魔物を倒す人は
たくさんいます」
「でも」
「壊れた物を直したり
困っている人を助けたりする仕事も
誰かがやらなければいけません」
「私は、その仕事が好きなんです」
グラントは静かに笑った
「なるほど」
「君らしい答えだ」
――――
その時だった
一人の若い職人が慌てて駆け込んできた
「管理官!」
「噴水の水が止まりました!」
「広場に人が集まってしまっています!」
エリオットは困った顔になる
「またか……」
浩平は思わず尋ねた
「よくあるんですか?」
「古い設備が多くてね」
「修理が追い付かないんです」
浩平は苦笑する
「王都も大変なんですね」
「町が大きい分だけ
困り事も多いんですよ」
――――
その時
工具箱が静かに光る
【新たな依頼を受信しました】
依頼内容 王都の噴水を修理してください
依頼人 王城管理部
受注しますか?
YES/YES
浩平は表示を見ると
静かに工具箱を閉じた
「行きましょう」
エリオットは少し驚く
「もう向かうのですか?」
「困っている人がいるなら」
「早い方がいいですから」
グラントは苦笑しながら頷いた
「やはり君は便利屋だな」
浩平も笑う
「それしか取り柄がありませんから」
三人は王城を後にし
王都の広場へ向かって歩き始めた
時計塔の鐘は
変わらず穏やかに
王都の時を刻み続けていた




