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異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~  作者: 椿綺
第五章 王都エルディア
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第四十四話 王城からの依頼

浩平はグラントと並んで


王城へ向かって歩いていた


王都の中心にそびえ立つ王城は


近くで見ると


さらに大きく感じる


「立派ですね」


浩平が見上げると


グラントは小さく笑った


「何度見ても圧倒される」


「だが今日は


見物に来たわけじゃない」


「そうでしたね」


二人は城門をくぐる


厳重な警備を抜け


城の中庭を進んでいく


やがて一人の男性が待っていた


「お待ちしておりました」


深緑の制服を着た中年の男性だった


「私は王城管理官のエリオットです」


「職人ギルド長、急な呼び出しに応じていただき感謝します」


グラントが軽く頭を下げる


「こちらこそ」


「それで、今回は?」


エリオットは少し困ったように息を吐いた


「こちらへ」


――――


案内された先は


王城の一角にある大きな時計塔だった


塔の中では


数人の職人が頭を抱えている


巨大な歯車は止まり


振り子も動いていない


「王城の時計塔です」


「昨日から止まったままで……」


「原因が分からないのです」


その瞬間


【依頼発生】


依頼内容 時計塔を修理してください


依頼人 王城管理部


受注しますか?


YES/YES


浩平は静かに頷く


「お受けします」


――――


浩平は時計塔を見上げた


「大きいですね」


「王都中に時を知らせる時計です」


エリオットが答える


「一日でも止まれば


街全体に影響が出ます」


浩平は工具箱を開いた


中には


大型レンチ


歯車固定具


滑車用ロープ


時計塔専用と思われる工具まで並んでいる


「なるほど」


「今回は時計塔ですか」


ゆっくり階段を登り


歯車を一つずつ確認する


油切れではない


歯車の欠けでもない


「原因は……」


浩平は振り子へ手を伸ばす


指先で軽く触れた瞬間


わずかな違和感を覚えた


「これだ」


小さく呟く


しかし


その場ではまだ何も言わない


グラントが尋ねる


「分かったのか?」


浩平は振り返り


静かに頷いた


「はい」


「でも……」


「少し時間をください」


塔の窓から


夕日が差し込む


止まった時計は


静かなまま


二人を見下ろしていた


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