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異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~  作者: 椿綺
第五章 王都エルディア
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第四十一話 王都最初の依頼

### 第五章 王都エルディア


ここから第五章「王都エルディア」が始まります。


数々の依頼をこなしながら旅を続けてきた浩平は、ついに王国最大の都市・王都エルディアへたどり着きました。


この町では、これまで以上に多くの人との出会いと、新たな依頼が待っています。


便利屋・相沢浩平の新たな挑戦を、これからも見守っていただけると嬉しいです。


引き続き、『異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~』をよろしくお願いいたします。


「誰か便利屋はいないか!」


大通りに男の声が響き渡る


王都へ足を踏み入れたばかりの浩平は、その声に足を止めた


人だかりの中心では、一台の荷馬車が大きく傾いている


「車輪が外れた!」


「荷物が運べない!」


商人たちが慌ただしく動き回っていた


近くには冒険者もいたが、誰も手を出せずにいる


「魔物退治ならともかく……」


「馬車の修理は専門外だ」


そんな声が聞こえてくる


浩平は人垣をかき分け、一歩前へ出た


「見せてもらってもいいですか?」


商人は振り返る


「君が便利屋か?」


「はい」


「修理ならお任せください」


その瞬間――


【依頼発生】


依頼内容 荷馬車を修理してください


依頼人 商人 エドガー


受注しますか?


YES/YES


「お受けします」


――――


浩平は荷馬車の横へしゃがみ込む


外れていたのは車輪ではなかった


車軸を固定する鉄製の留め具が折れている


「なるほど」


工具箱を開く


中には


鍛冶用ハンマー


軸受け固定具


大型レンチが並んでいた


「交換すれば直ります」


浩平は折れた留め具を外し、新しい部品を取り付ける


車軸を確認する


車輪をゆっくり回す


ギィ……


問題なく回転する


「終わりました」


商人が恐る恐る馬車を押す


ギシ……


車輪は滑らかに回り始めた


「動いた!」


商人が思わず声を上げる


「本当に直った!」


周囲から感嘆の声が上がる


「早い……」


「もう終わったのか」


冒険者たちも驚いた表情で見つめていた


――――


その時だった


「すみません!」


若い配達員が慌てて駆け寄ってくる


「その荷物、今日中に王城へ届けないといけないんです!」


商人は胸をなで下ろした


「助かった……」


「間に合う!」


浩平は荷台を軽く叩く


「急いでください」


「でも、安全運転で」


商人は笑った


「ああ!」


「ありがとう、便利屋さん!」


馬車は再び走り出していく


王都の大通りには、いつもの活気が戻っていた


――――


工具箱が静かに光る


【依頼完了】


報酬を受け取りました


報酬


銀貨八枚


浩平は工具箱を閉じる


その様子を、広場を見下ろす建物の二階から、一人の男性が静かに見つめていた


年の頃は四十代半ば


落ち着いた身なりに、王都の職人ギルドの紋章を胸に付けている


「ほう……」


男は小さく微笑む


「噂は本当だったか」


「修理だけで、あれほど人を安心させるとは」


隣にいた女性職員が尋ねる


「ギルド長、お知り合いですか?」


男は首を横に振る


「いや」


「だが、あの便利屋には会ってみる価値がありそうだ」


その視線の先では、浩平が何事もなかったように工具箱を肩へ掛け、次の仕事を探して歩き始めていた


王都での便利屋としての日々が、静かに動き始める


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